$0 \le x \le \frac{\pi}{2}$ に対して、関数 $f(x)$ が積分 $f(x) = \int_{0}^{\pi} |\sin t - \sin x| dt$ で定義されている。 (1) $f(0)$ を求める。 (2) $f(x)$ を求める。 (3) $f(x)$ の最小値とそのときの $x$ の値を求める。

1. 問題の内容

$0 \le x \le \frac{\pi}{2}$ に対して、関数 $f(x)$ が積分 $f(x) = \int_{0}^{\pi} |\sin t - \sin x| dt$ で定義されている。

(1) $f(0)$ を求める。

(2) $f(x)$ を求める。

(3) $f(x)$ の最小値とそのときの $x$ の値を求める。

2. 解き方の手順

(1) $f(0)$ を求める。

$f(0) = \int_{0}^{\pi} |\sin t - \sin 0| dt = \int_{0}^{\pi} |\sin t| dt = \int_{0}^{\pi} \sin t dt = [-\cos t]_{0}^{\pi} = -\cos \pi - (-\cos 0) = -(-1) - (-1) = 1 + 1 = 2$

(2) $f(x)$ を求める。

$f(x) = \int_{0}^{\pi} |\sin t - \sin x| dt$ を計算する。

$\sin t - \sin x = 0$ となる $t$ を求めると、$\sin t = \sin x$ より、$t = x$ または $t = \pi - x$ となる。

$0 \le x \le \frac{\pi}{2}$ より、$0 \le x \le \pi$ かつ $0 \le \pi - x \le \pi$ であるから、$0 \le t \le \pi$ の範囲で $t = x$ と $t = \pi - x$ が $|\sin t - \sin x|$ の符号が変わる点になる可能性がある。

$f(x) = \int_{0}^{x} (\sin x - \sin t) dt + \int_{x}^{\pi - x} (\sin t - \sin x) dt + \int_{\pi - x}^{\pi} (\sin x - \sin t) dt$

$= \int_{0}^{x} \sin x dt - \int_{0}^{x} \sin t dt + \int_{x}^{\pi - x} \sin t dt - \int_{x}^{\pi - x} \sin x dt + \int_{\pi - x}^{\pi} \sin x dt - \int_{\pi - x}^{\pi} \sin t dt$

$= [t \sin x]_{0}^{x} - [-\cos t]_{0}^{x} + [-\cos t]_{x}^{\pi - x} - [t \sin x]_{x}^{\pi - x} + [t \sin x]_{\pi - x}^{\pi} - [-\cos t]_{\pi - x}^{\pi}$

$= x \sin x - (-\cos x + \cos 0) + (-\cos(\pi - x) + \cos x) - ((\pi - x)\sin x - x \sin x) + (\pi \sin x - (\pi - x)\sin x) - (-\cos \pi + \cos(\pi - x))$

$= x \sin x + \cos x - 1 - \cos x + \cos x - \pi \sin x + x \sin x + x \sin x + \pi \sin x - \pi \sin x + x \sin x - (1 - \cos x)$

$= x \sin x + \cos x - 1 + \cos x - \pi \sin x + 2 x \sin x + \pi \sin x - (-(-1) + \cos x)$

$= 4 x \sin x - 2\sin x \frac{\pi}{2}- 2 + 2 \cos x$

$= x \sin x + x \sin x + x \sin x - x \sin x +2 \cos x$

場合分けを行う。

$\sin x \ge 0$ かつ $0 \le x \le \frac{\pi}{2}$ で $\sin t \ge \sin x$ と $\sin t \le \sin x$ の場合を考える。

$t < x$ の時$\sin t<\sin x$, $\int_0^x (\sin x - \sin t) dt = x \sin x + \cos x - 1$

$x < t < \pi - x$ の時 $\sin t > \sin x$, $\int_x^{\pi - x} (\sin t - \sin x) dt = - \cos(\pi - x) + \cos(x) - (\pi - x -x) \sin x = 2\cos x - (\pi - 2x) \sin x$

$\pi - x < t < \pi$ の時$\sin t < \sin x$, $\int_{\pi - x}^{\pi} (\sin x - \sin t) dt = (\pi - (\pi - x)) \sin x + (\cos \pi - \cos(\pi-x)) = x \sin x - 1 - \cos x$

$f(x) = x \sin x + \cos x - 1 + 2\cos x - (\pi - 2x) \sin x + x \sin x - 1 - \cos x$

$f(x) = 2x \sin x + 2 \cos x - 2 - \pi \sin x + 2x \sin x$

$f(x) = (4x - \pi)\sin x + 2 \cos x - 2$

(3) $f(x)$ の最小値を求める。

$f'(x) = (4x - \pi)\cos x + 4 \sin x - 2 \sin x = (4x - \pi) \cos x + 2 \sin x$

$f'(x) = 0$ を満たす $x$ を求める。

$f'(\frac{\pi}{6}) = (\frac{2\pi}{3} - \pi) \frac{\sqrt{3}}{2} + 2 (\frac{1}{2}) = - \frac{\pi}{3} \frac{\sqrt{3}}{2} + 1 = 1 - \frac{\pi \sqrt{3}}{6} \approx 1 - \frac{3.14 * 1.73}{6} \approx 1 - 0.9 \approx 0.1 > 0$

$f'(0) = - \pi < 0$.

$x = \frac{\pi}{2}$ の時 $f(\frac{\pi}{2}) = 4(\frac{\pi}{2}) - \pi + 2*0 - 2 = 2\pi - \pi - 2 = \pi - 2 \approx 3.14 - 2 = 1.14$

$x = 0$ の時 $f(0) = - \pi * 0 + 2 * 1 - 2 = 0$

$f(x) = (4x-\pi) \sin x + 2 \cos x - 2 = 0$.

$f'(x) = 0$ の時、$f'(x)$ の正負から、$x=0$で$f(x)$は最小値0を取ることが予想できる

3. 最終的な答え

(1) $f(0) = 2$

(2) $f(x) = (4x - \pi) \sin x + 2 \cos x - 2$

(3) $f(x)$ の最小値は $0$ で、そのときの $x$ の値は $0$