質量 $m$ の物体に力 $F_x = -kx$ が働く運動を考える。ただし、$t=0$ のとき $x=4$ で静止していたとする。 (1) この物体の $x$ 軸方向の運動方程式を書き下す。 (2) $x(t) = e^{\alpha t}$ と置いて運動方程式に代入し、$\alpha$ の値を求める。ただし、$i^2 = -1$ となる虚数単位 $i$ を用いてよい。また、$\alpha$ の解が複数あることに注意する。 (3) 前問の $\alpha$ の解が2つある場合、$x(t)$ の解は $x(t) = A e^{\alpha_1 t} + B e^{\alpha_2 t}$ と定数 $A, B$ を使って2つの解の足し算として表される。初期条件 ($t=0$ のときの位置および速度) を使って定数 $A, B$ を求める。

応用数学力学運動方程式微分方程式単振動初期条件複素数
2025/8/8

1. 問題の内容

質量 mm の物体に力 Fx=kxF_x = -kx が働く運動を考える。ただし、t=0t=0 のとき x=4x=4 で静止していたとする。
(1) この物体の xx 軸方向の運動方程式を書き下す。
(2) x(t)=eαtx(t) = e^{\alpha t} と置いて運動方程式に代入し、α\alpha の値を求める。ただし、i2=1i^2 = -1 となる虚数単位 ii を用いてよい。また、α\alpha の解が複数あることに注意する。
(3) 前問の α\alpha の解が2つある場合、x(t)x(t) の解は x(t)=Aeα1t+Beα2tx(t) = A e^{\alpha_1 t} + B e^{\alpha_2 t} と定数 A,BA, B を使って2つの解の足し算として表される。初期条件 (t=0t=0 のときの位置および速度) を使って定数 A,BA, B を求める。

2. 解き方の手順

(1) 運動方程式を立てる。ニュートンの運動方程式 F=maF = ma より、ma=kxma = -kx。加速度 aaxx の2階微分 d2xdt2\frac{d^2x}{dt^2} なので、運動方程式は
md2xdt2=kxm \frac{d^2x}{dt^2} = -kx
となる。
(2) x(t)=eαtx(t) = e^{\alpha t} を運動方程式に代入する。まず、dxdt=αeαt\frac{dx}{dt} = \alpha e^{\alpha t}d2xdt2=α2eαt\frac{d^2x}{dt^2} = \alpha^2 e^{\alpha t} である。
したがって、運動方程式は
mα2eαt=keαtm \alpha^2 e^{\alpha t} = -k e^{\alpha t}
となる。eαt0e^{\alpha t} \neq 0 より、両辺を eαte^{\alpha t} で割ると
mα2=km \alpha^2 = -k
α2=km\alpha^2 = -\frac{k}{m}
α=±km=±ikm\alpha = \pm \sqrt{-\frac{k}{m}} = \pm i \sqrt{\frac{k}{m}}
となる。したがって、α1=ikm\alpha_1 = i \sqrt{\frac{k}{m}}, α2=ikm\alpha_2 = -i \sqrt{\frac{k}{m}} である。
(3) 一般解 x(t)=Aeα1t+Beα2tx(t) = A e^{\alpha_1 t} + B e^{\alpha_2 t} に初期条件を適用する。
x(t)=Aeikmt+Beikmtx(t) = A e^{i \sqrt{\frac{k}{m}} t} + B e^{-i \sqrt{\frac{k}{m}} t}
t=0t=0 のとき x(0)=4x(0) = 4 より、
x(0)=Ae0+Be0=A+B=4x(0) = A e^0 + B e^0 = A + B = 4
また、v(t)=dxdt=AikmeikmtBikmeikmtv(t) = \frac{dx}{dt} = A i \sqrt{\frac{k}{m}} e^{i \sqrt{\frac{k}{m}} t} - B i \sqrt{\frac{k}{m}} e^{-i \sqrt{\frac{k}{m}} t}
t=0t=0 のとき v(0)=0v(0) = 0 より、
v(0)=AikmBikm=ikm(AB)=0v(0) = A i \sqrt{\frac{k}{m}} - B i \sqrt{\frac{k}{m}} = i \sqrt{\frac{k}{m}} (A - B) = 0
したがって、AB=0A - B = 0、つまり A=BA = B である。
A+B=4A + B = 4 より、2A=42A = 4 なので、A=2A = 2。したがって、B=2B = 2 である。

3. 最終的な答え

(1) md2xdt2=kxm \frac{d^2x}{dt^2} = -kx
(2) α=±ikm\alpha = \pm i \sqrt{\frac{k}{m}}
(3) A=2A = 2, B=2B = 2

「応用数学」の関連問題

傾斜角30°の斜面上に質量 $m$ の物体Pがあり、滑車を通して質量 $M$ の物体Qと繋がれている。Pと斜面間の静止摩擦係数は $\frac{1}{3}$、動摩擦係数は $\frac{1}{2\sq...

力学運動方程式摩擦力斜面
2025/8/9

Jリーグのチケット売り場で、発売開始時に600人が並んでいる。1分間に20人が新たに並び、窓口が2つあり、1つの窓口で1分間に30人にチケットを売ることができるとき、何分で人がいなくなるか。

線形モデル時間計算割合
2025/8/9

川の流速が時速2kmの川に沿ったA町とB町の間を船で往復する。上りは1時間30分、下りは50分かかる。船の静水での速さとA町とB町の間の道のりを求めよ。

速さ距離時間方程式文章問題
2025/8/9

ボールが落下する距離 $y$ (m) と時間 $x$ (秒) の関係が $y = 5x^2$ で表されるとき、以下の問題を解きます。 (1) 0秒から2秒後までの平均の速さを求めます。 (2) 4秒後...

運動平均速度二次関数物理
2025/8/9

川に沿ってA町とB町があり、船がA町からB町まで下るのに2時間、B町からA町まで上るのに4時間かかります。船の静水での速さは時速12kmで、川の流れの速さは一定です。川の流れの速さとA町とB町の間の距...

速度距離文章問題方程式
2025/8/9

妹が9時に出発し、姉が9時15分に出発して自転車で追いかけるとき、姉が妹に追いつく時刻を求める問題です。妹の速度は毎分80m、姉の速度は毎分200mです。

速さ距離時間方程式文章題
2025/8/8

質量 $m_1$ と $m_2$ の2つの物体が互いに力を及ぼし合いながら運動しており、それ以外の力は働いていない場合を考える。それぞれの物体の運動方程式と作用・反作用の法則から、2つの物体の運動量の...

力学運動量運動方程式作用反作用の法則微分
2025/8/8

質量 $m$ の物体に $F_y = -mg$ の重力が働き、時刻 $t=0$ で $y=8$ の位置に静止していた場合について、以下の問いに答えます。 (1) この物体のy軸方向の運動方程式を書け。...

力学運動方程式積分エネルギー
2025/8/8

質量 $m$ の物体に重力 $F_y = -mg$ が働いている。時刻 $t=0$ で、物体の位置は $y=8$ であり、静止している。以下の問いに答えよ。 (1) この物体の $y$ 軸方向の運動方...

力学運動方程式積分加速度速度位置
2025/8/8

質量 $m$ の物体に重力 $F_y = -mg$ のみが働くとき、時刻 $t=0$ で $y=8$ の位置に静止していた物体の、y軸方向の運動方程式を求める問題です。

運動方程式力学微分方程式ニュートンの法則重力
2025/8/8