直角三角形 $ABC$ において、$AB=3$, $BC=4$, $CA=5$ とする。$\triangle ABC$ の内接円の中心を $I$ とし、内接円と辺 $AB$ の接点を $H$, 辺 $BC$ との交点を $D$ とする。また、直線 $AI$ と内接円との交点を $P, Q$ とする。ただし、$AP < AQ$ とする。 (1) 線分 $BH$ の長さを求めよ。 (2) 線分 $AD$ の長さを求めよ。 (3) 線分 $AP$ の長さを求めよ。

1. 問題の内容

直角三角形 $ABC$ において、$AB=3$, $BC=4$, $CA=5$ とする。$\triangle ABC$ の内接円の中心を $I$ とし、内接円と辺 $AB$ の接点を $H$, 辺 $BC$ との交点を $D$ とする。また、直線 $AI$ と内接円との交点を $P, Q$ とする。ただし、$AP < AQ$ とする。

(1) 線分 $BH$ の長さを求めよ。

(2) 線分 $AD$ の長さを求めよ。

(3) 線分 $AP$ の長さを求めよ。

2. 解き方の手順

(1) $BH$ の長さを求める。

$\triangle ABC$ は直角三角形なので、内接円の半径 $r$ は、$r = \frac{AB+BC-CA}{2} = \frac{3+4-5}{2} = 1$ となる。

内接円と $AB$ の接点を $H$ としているので、$BH = BD = x$, $AH = AE = 3 - x$, $CE = CD = 4 - x$ と表せる。

$AC = AE + CE = (3-x) + (4-x) = 7 - 2x$ なので、$7 - 2x = 5$ となり、$2x = 2$ より $x = 1$ となる。

したがって、$BH = 1$ である。

(2) $AD$ の長さを求める。

$BD = BH = 1$ であるから、$CD = BC - BD = 4 - 1 = 3$ となる。

$\triangle ABD$ において、余弦定理を用いると、

$AD^2 = AB^2 + BD^2 - 2AB \cdot BD \cos B$

$\cos B = \frac{AB}{BC} = \frac{3}{5}$ であるから、

$AD^2 = 3^2 + 1^2 - 2 \cdot 3 \cdot 1 \cdot \frac{3}{5} = 9 + 1 - \frac{18}{5} = 10 - \frac{18}{5} = \frac{50-18}{5} = \frac{32}{5}$

よって、$AD = \sqrt{\frac{32}{5}} = \frac{4\sqrt{2}}{\sqrt{5}} = \frac{4\sqrt{10}}{5}$

(3) $AP$ の長さを求める。

$AI$ は $\angle BAC$ の二等分線であるから、$AI$ は $\angle BAC$ を二等分する。

$\sin(\frac{A}{2}) = \frac{r}{AI}$

$\cos A = \frac{AB}{AC} = \frac{3}{5}$, $\sin A = \frac{BC}{AC} = \frac{4}{5}$

$\sin^2(\frac{A}{2}) = \frac{1 - \cos A}{2} = \frac{1 - \frac{3}{5}}{2} = \frac{\frac{2}{5}}{2} = \frac{1}{5}$

$\sin(\frac{A}{2}) = \frac{1}{\sqrt{5}}$

$\cos^2(\frac{A}{2}) = \frac{1 + \cos A}{2} = \frac{1 + \frac{3}{5}}{2} = \frac{\frac{8}{5}}{2} = \frac{4}{5}$

$\cos(\frac{A}{2}) = \frac{2}{\sqrt{5}}$

$AI = \frac{r}{\sin(\frac{A}{2})} = \frac{1}{\frac{1}{\sqrt{5}}} = \sqrt{5}$

$AP \cdot AQ = AH^2 = 2^2 = 4$

$AP + AQ = 2 \cdot AI = 2\sqrt{5}$

$AP(2\sqrt{5}-AP) = 4$

$2\sqrt{5}AP - AP^2 = 4$

$AP^2 - 2\sqrt{5}AP + 4 = 0$

$AP = \frac{2\sqrt{5} \pm \sqrt{20 - 16}}{2} = \frac{2\sqrt{5} \pm \sqrt{4}}{2} = \frac{2\sqrt{5} \pm 2}{2} = \sqrt{5} \pm 1$

ただし、$AP < AQ$ なので、$AP = \sqrt{5} - 1$

3. 最終的な答え

(1) $BH = 1$

(2) $AD = \frac{4\sqrt{10}}{5}$

(3) $AP = \sqrt{5} - 1$