複素数平面上の点 $\frac{1}{2}$ を中心とする半径 $\frac{1}{2}$ の円周から原点を除いた曲線を $C$ とする。 (1) 曲線 $C$ 上の複素数 $z$ に対し、$\frac{1}{z}$ の実部は 1 であることを示せ。 (2) $\alpha$, $\beta$ を曲線 $C$ 上の相異なる複素数とするとき、$\frac{1}{\alpha^2} + \frac{1}{\beta^2}$ がとりうる範囲を複素数平面上に図示せよ。 (3) $\gamma$ を (2) で求めた範囲に属さない複素数とするとき、$\frac{1}{\gamma}$ の実部がとりうる値の最大値と最小値を求めよ。

代数学複素数複素数平面実部図示
2025/8/12

1. 問題の内容

複素数平面上の点 12\frac{1}{2} を中心とする半径 12\frac{1}{2} の円周から原点を除いた曲線を CC とする。
(1) 曲線 CC 上の複素数 zz に対し、1z\frac{1}{z} の実部は 1 であることを示せ。
(2) α\alpha, β\beta を曲線 CC 上の相異なる複素数とするとき、1α2+1β2\frac{1}{\alpha^2} + \frac{1}{\beta^2} がとりうる範囲を複素数平面上に図示せよ。
(3) γ\gamma を (2) で求めた範囲に属さない複素数とするとき、1γ\frac{1}{\gamma} の実部がとりうる値の最大値と最小値を求めよ。

2. 解き方の手順

(1) 曲線 CC 上の複素数 zz は、z12=12|z - \frac{1}{2}| = \frac{1}{2} を満たす。このとき、z=x+yiz = x + yi (x,yx, y は実数) とおくと、x+yi12=12|x + yi - \frac{1}{2}| = \frac{1}{2} であるから、
(x12)2+y2=(12)2(x - \frac{1}{2})^2 + y^2 = (\frac{1}{2})^2
x2x+14+y2=14x^2 - x + \frac{1}{4} + y^2 = \frac{1}{4}
x2x+y2=0x^2 - x + y^2 = 0
x2+y2=xx^2 + y^2 = x
zzˉ=xz \bar{z} = x
1z=zˉzzˉ=zˉx\frac{1}{z} = \frac{\bar{z}}{z \bar{z}} = \frac{\bar{z}}{x}
1z\frac{1}{z} の実部は xx=1\frac{x}{x} = 1 である。ただし、z0z \neq 0 とする。
(2) 1α2+1β2=(1α+1β)22αβ\frac{1}{\alpha^2} + \frac{1}{\beta^2} = (\frac{1}{\alpha} + \frac{1}{\beta})^2 - \frac{2}{\alpha \beta}
1α=1+ai\frac{1}{\alpha} = 1 + ai, 1β=1+bi\frac{1}{\beta} = 1 + bi (ただし、a,ba, b は実数、aba \neq b
1α+1β=2+(a+b)i\frac{1}{\alpha} + \frac{1}{\beta} = 2 + (a + b)i
1α2+1β2=(2+(a+b)i)22(1+ai)(1+bi)\frac{1}{\alpha^2} + \frac{1}{\beta^2} = (2 + (a + b)i)^2 - 2 (1 + ai)(1 + bi)
1α2+1β2=4+4(a+b)i(a+b)221αβ\frac{1}{\alpha^2} + \frac{1}{\beta^2} = 4 + 4(a + b)i - (a + b)^2 - 2 \frac{1}{\alpha \beta}
1αβ=(1+ai)(1+bi)=1+ai+biab=1ab+(a+b)i\frac{1}{\alpha \beta} = (1+ai)(1+bi) = 1+ai+bi-ab = 1-ab+(a+b)i
(1+(a+b)i)22(1ab+(a+b)i)=4(a+b)2+4(a+b)i2(1ab+(a+b)i)(1 + (a + b)i)^2 - 2(1 - ab + (a+b)i) = 4- (a+b)^2 + 4(a+b)i -2(1-ab+(a+b)i)
= 4(a2+2ab+b2)+4(a+b)i2+2ab2(a+b)i=2a22abb2+2ab+2(a+b)i4 - (a^2+2ab+b^2) + 4(a+b)i -2+2ab-2(a+b)i = 2 - a^2 -2ab - b^2+2ab + 2(a+b)i
=2a2b2+2(a+b)i= 2-a^2-b^2 + 2(a+b)i
z=2a2b2+2(a+b)i=x+yiz = 2 - a^2 - b^2 + 2(a + b)i = x + yi
x=2a2b2,y=2(a+b)x = 2 - a^2 - b^2, y = 2(a + b)
a+b=y2a + b = \frac{y}{2}
x=2a2b2x = 2 - a^2 - b^2
aba \neq b より、 y2=a+b\frac{y}{2} = a + b
y22=a2+2ab+b2\frac{y}{2}^2 = a^2 + 2ab + b^2
(ab)2>0(a - b)^2 > 0
a22ab+b2>0a^2 - 2ab + b^2 > 0
a2+b2>2aba^2 + b^2 > 2ab
aba \neq b であるので、a2+b2+2ab4aba^2 + b^2 + 2ab \neq 4ab
a2+b2=(y2)22aba^2+b^2 = (\frac{y}{2})^2 - 2ab
x=2((y2)22ab)=2y24(12(y2)2)x = 2 - ((\frac{y}{2})^2 - 2ab) = 2 - \frac{y^2}{4} - (\frac{1}{2} (\frac{y}{2})^2)
αβ\alpha \ne \beta より、aba \ne b なので、4y24(12y24)4 - \frac{y^2}{4} - (\frac{1}{2} \frac{y^2}{4})
もし a=ba = -b ならば y=0y = 0, x=22a2<2x = 2 - 2a^2 < 2 となる。
x<2x < 2
y=0y = 0
x=2a2b2x=2 - a^2 -b^2
1α2+1β2\frac{1}{\alpha^2} + \frac{1}{\beta^2}22 を頂点とする放物線で、実数部は 22 未満。
(3) γ\gamma は(2)で求めた範囲に属さない複素数なので, γ\gamma は実軸上の2以上の点。
γ=x,x2\gamma = x, x \geq 2
1γ\frac{1}{\gamma} の実部は 1x\frac{1}{x} であり、x2x \geq 2 なので、1x12\frac{1}{x} \leq \frac{1}{2}
1γ\frac{1}{\gamma} の実部の最大値は 12\frac{1}{2}
1x\frac{1}{x}xx \to \infty のとき 0 に近づくので、1γ\frac{1}{\gamma} の実部の最小値は 0 。

3. 最終的な答え

(1) 1z\frac{1}{z} の実部は 1 である。
(2) 実部が2未満の放物線。
(3) 最大値: 12\frac{1}{2}, 最小値: 0

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