与えられた関数 $f(x)$ が $f(x) = \begin{cases} x^2 \sin{\frac{1}{x}} & (x \ne 0) \\ 0 & (x = 0) \end{cases}$ で定義されているとき、$f'(0)$ を求め、その過程でなぜ絶対値記号が現れるのかを問う問題です。

解析学微分極限関数の連続性三角関数はさみうちの原理
2025/4/7

1. 問題の内容

与えられた関数 f(x)f(x)
f(x)={x2sin1x(x0)0(x=0)f(x) = \begin{cases} x^2 \sin{\frac{1}{x}} & (x \ne 0) \\ 0 & (x = 0) \end{cases}
で定義されているとき、f(0)f'(0) を求め、その過程でなぜ絶対値記号が現れるのかを問う問題です。

2. 解き方の手順

まず、f(0)f'(0) の定義に従って計算します。
f(0)=limh0f(0+h)f(0)hf'(0) = \lim_{h \to 0} \frac{f(0+h) - f(0)}{h}
f(0)=0f(0) = 0 であるから、
f(0)=limh0f(h)h=limh0h2sin1hh=limh0hsin1hf'(0) = \lim_{h \to 0} \frac{f(h)}{h} = \lim_{h \to 0} \frac{h^2 \sin{\frac{1}{h}}}{h} = \lim_{h \to 0} h \sin{\frac{1}{h}}
ここで、1sin1h1-1 \le \sin{\frac{1}{h}} \le 1 が常に成り立ちます。
次に、この不等式に hh を掛けます。ここで、hh の符号によって場合分けが必要です。
* h>0h > 0 のとき: hhsin1hh-h \le h \sin{\frac{1}{h}} \le h
* h<0h < 0 のとき: hhsin1hhh \le h \sin{\frac{1}{h}} \le -h
この2つの場合をまとめて、hsin1hh \sin{\frac{1}{h}}h-|h|h|h| の間に挟まれると言えます。
したがって、
hhsin1hh-|h| \le h \sin{\frac{1}{h}} \le |h|
ここで、はさみうちの原理を用いると、limh0h=0\lim_{h \to 0} -|h| = 0 かつ limh0h=0\lim_{h \to 0} |h| = 0 であるから、
limh0hsin1h=0\lim_{h \to 0} h \sin{\frac{1}{h}} = 0
したがって、f(0)=0f'(0) = 0 となります。
質問にある「なぜ絶対値がつくのか」ですが、hh が負の値を取る場合を考慮する必要があるからです。不等式に hh を掛ける際に、hh が負であれば不等号の向きが反転するため、絶対値記号を用いて場合分けをせずに不等式を表す必要が生じます。

3. 最終的な答え

f(0)=0f'(0) = 0
絶対値は、hh が負の値をとる場合を考慮するために必要です。