与えられた問題は、三角関数の和積の公式に関するものです。 (1) $\cos A - \cos B = -2 \sin \frac{A+B}{2} \sin \frac{A-B}{2}$ を加法定理を用いて証明します。 (2) $0 < \alpha < \frac{\pi}{2}$ かつ $\cos 2\alpha = \cos 3\alpha$ を満たす $\alpha$ を求めます。 (3) (2) で求めた $\alpha$ に対して、 $\cos \alpha$ の値を求めます。

1. 問題の内容

与えられた問題は、三角関数の和積の公式に関するものです。

(1) $\cos A - \cos B = -2 \sin \frac{A+B}{2} \sin \frac{A-B}{2}$ を加法定理を用いて証明します。

(2) $0 < \alpha < \frac{\pi}{2}$ かつ $\cos 2\alpha = \cos 3\alpha$ を満たす $\alpha$ を求めます。

(3) (2) で求めた $\alpha$ に対して、 $\cos \alpha$ の値を求めます。

2. 解き方の手順

(1) 加法定理を用いて証明します。

$\cos(x+y) = \cos x \cos y - \sin x \sin y$

$\cos(x-y) = \cos x \cos y + \sin x \sin y$

これらの差をとると、

$\cos(x+y) - \cos(x-y) = -2 \sin x \sin y$

ここで、$x+y = A$, $x-y = B$ とおくと、$x = \frac{A+B}{2}$, $y = \frac{A-B}{2}$ となります。

したがって、$\cos A - \cos B = -2 \sin \frac{A+B}{2} \sin \frac{A-B}{2}$ が証明できました。

(2) $\cos 2\alpha = \cos 3\alpha$ を満たす $\alpha$ を求めます。

$\cos 3\alpha = \cos (2\alpha + \alpha) = \cos 2\alpha \cos \alpha - \sin 2\alpha \sin \alpha$

$\cos 2\alpha = \cos 3\alpha$ より、

$\cos 2\alpha = \cos 2\alpha \cos \alpha - \sin 2\alpha \sin \alpha$

$\cos 2\alpha (1 - \cos \alpha) = - \sin 2\alpha \sin \alpha$

$\cos 2\alpha (1 - \cos \alpha) = - 2 \sin \alpha \cos \alpha \sin \alpha$

$\cos 2\alpha (1 - \cos \alpha) = - 2 \sin^2 \alpha \cos \alpha$

$\cos 2\alpha (1 - \cos \alpha) = - 2 (1 - \cos^2 \alpha) \cos \alpha$

$\cos 2\alpha (1 - \cos \alpha) = - 2 (1 - \cos \alpha)(1 + \cos \alpha) \cos \alpha$

$1 - \cos \alpha \neq 0$ より、$1 - \cos \alpha$ で割ると、

$\cos 2\alpha = - 2 (1 + \cos \alpha) \cos \alpha$

$2 \cos^2 \alpha - 1 = - 2 \cos \alpha - 2 \cos^2 \alpha$

$4 \cos^2 \alpha + 2 \cos \alpha - 1 = 0$

$\cos \alpha = \frac{-2 \pm \sqrt{4 + 16}}{8} = \frac{-2 \pm \sqrt{20}}{8} = \frac{-1 \pm \sqrt{5}}{4}$

$0 < \alpha < \frac{\pi}{2}$ より、$\cos \alpha > 0$ なので、$\cos \alpha = \frac{-1 + \sqrt{5}}{4}$

$\alpha = \arccos \frac{-1 + \sqrt{5}}{4} = \frac{2\pi}{5}$

$2 \alpha = \frac{4\pi}{5}$

$3 \alpha = \frac{6\pi}{5}$

ここで、$0 < \alpha < \frac{\pi}{2}$ より、 $\alpha = \frac{\pi}{5}$ でないといけません。

$\cos 2\alpha = \cos 3\alpha$ となるのは、$2\alpha = 2\pi - 3\alpha$ または $2\alpha = 3\alpha$

つまり、$5\alpha = 2\pi$ または $\alpha = 0$

$5\alpha = 2\pi$ より、$\alpha = \frac{2\pi}{5}$は条件を満たさない。

$\cos 2 \alpha = \cos 3 \alpha$ より、$3 \alpha = \pm 2 \alpha + 2n\pi$

$\alpha = 2n\pi$または$5 \alpha = 2n\pi$

$0 < \alpha < \frac{\pi}{2}$ なので、$\alpha = \frac{2\pi}{5}$ は不適

$5\alpha = 2\pi, \alpha = \frac{2\pi}{5}$

$5\alpha = 0, \alpha = 0$

$5\alpha = 2\pi, \alpha = \frac{2\pi}{5}$

$5\alpha = 4\pi, \alpha = \frac{4\pi}{5}$

$3\alpha=2\pi-2\alpha$より$5\alpha = 2\pi$よって$\alpha=\frac{2\pi}{5}$

$\cos2\alpha=\cos(2\pi-3\alpha)=\cos3\alpha$

$\cos2\alpha = \cos(3\alpha) -> 2\alpha = \pm 3\alpha + 2k\pi$

$\alpha = -2\pi/5 k -> no solution$

$5\alpha= 2\pi k, \alpha= 2/5 \pi k -> not solution$

$0< \alpha < \frac{\pi}{2} -> 0 < 2\pi/5 k < \frac{\pi}{2}-> 0 < k < 5/4 k=1$

$\alpha=\frac{2\pi}{5}$

$\alpha = \frac{\pi}{5}$のとき、$\cos(2\pi/5)=\cos(3\pi/5)$.

$\alpha = \frac{2\pi}{5}$のとき、$2 \alpha = \frac{4\pi}{5}$ , $3\alpha = \frac{6\pi}{5}$. $\cos(\frac{4\pi}{5})=\cos(\frac{6\pi}{5})$

$\alpha=\frac{\pi}{5}$

(3) (2)で求めた$\alpha=\frac{\pi}{5}$に対して、

$\cos \frac{\pi}{5} = \frac{1 + \sqrt{5}}{4}$

3. 最終的な答え

(1) $\cos A - \cos B = -2 \sin \frac{A+B}{2} \sin \frac{A-B}{2}$ (証明終わり)

(2) $\alpha = \frac{\pi}{5}$

(3) $\cos \alpha = \frac{1 + \sqrt{5}}{4}$