問題は以下の3つです。 (春の数学問題演習 7.2) 正の実数 $a, b, c$ に対して、不等式 $\frac{1}{a} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c} \geq \frac{9}{a+b+c}$ を証明し、等号が成り立つための条件を求める。 (春の数学問題演習 7.3 (1)) 実数 $a, b, c$ に対して、不等式 $3(a^2+b^2+c^2) \geq (a+b+c)^2$ を証明し、等号が成り立つとき $a=b=c$ であることを証明する。 (春の数学問題演習 7.3 (2)) 実数 $a, b, c$ に対して、不等式 $27(a^2+b^2+c^2) \geq (a+b+c)^3$ を証明する。

代数学不等式相加平均相乗平均調和平均二乗平均実数証明等号成立条件
2025/4/11

1. 問題の内容

問題は以下の3つです。
(春の数学問題演習 7.2) 正の実数 a,b,ca, b, c に対して、不等式 1a+1b+1c9a+b+c\frac{1}{a} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c} \geq \frac{9}{a+b+c} を証明し、等号が成り立つための条件を求める。
(春の数学問題演習 7.3 (1)) 実数 a,b,ca, b, c に対して、不等式 3(a2+b2+c2)(a+b+c)23(a^2+b^2+c^2) \geq (a+b+c)^2 を証明し、等号が成り立つとき a=b=ca=b=c であることを証明する。
(春の数学問題演習 7.3 (2)) 実数 a,b,ca, b, c に対して、不等式 27(a2+b2+c2)(a+b+c)327(a^2+b^2+c^2) \geq (a+b+c)^3 を証明する。

2. 解き方の手順

(春の数学問題演習 7.2)
調和平均、相加平均、相乗平均の関係を使う。
a,b,ca, b, c が正の実数であるから、1a,1b,1c\frac{1}{a}, \frac{1}{b}, \frac{1}{c} も正の実数である。
相加平均、調和平均の関係より、
\frac{\frac{1}{a} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c}}{3} \geq \frac{3}{a+b+c}
両辺に3をかけると、
\frac{1}{a} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c} \geq \frac{9}{a+b+c}
したがって、不等式が証明された。
等号が成り立つのは、1a=1b=1c\frac{1}{a} = \frac{1}{b} = \frac{1}{c} のとき、すなわち、a=b=ca=b=cのときである。
(春の数学問題演習 7.3 (1))
3(a2+b2+c2)(a+b+c)23(a^2+b^2+c^2) \geq (a+b+c)^2を証明する。
不等式の右辺を展開すると (a+b+c)2=a2+b2+c2+2ab+2bc+2ca(a+b+c)^2 = a^2 + b^2 + c^2 + 2ab + 2bc + 2caとなるので、
3(a^2+b^2+c^2) - (a+b+c)^2 = 3a^2+3b^2+3c^2 - (a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca) = 2a^2+2b^2+2c^2 - 2ab - 2bc - 2ca = (a^2 - 2ab + b^2) + (b^2 - 2bc + c^2) + (c^2 - 2ca + a^2) = (a-b)^2 + (b-c)^2 + (c-a)^2
(ab)2+(bc)2+(ca)20(a-b)^2 + (b-c)^2 + (c-a)^2 \geq 0 であるから、 3(a2+b2+c2)(a+b+c)23(a^2+b^2+c^2) \geq (a+b+c)^2が成り立つ。
等号が成り立つのは、(ab)2+(bc)2+(ca)2=0(a-b)^2 + (b-c)^2 + (c-a)^2 = 0 のとき、すなわち、ab=0a-b=0, bc=0b-c=0, ca=0c-a=0 のときである。したがって、a=b=ca=b=cである。
(春の数学問題演習 7.3 (2))
27(a2+b2+c2)(a+b+c)327(a^2+b^2+c^2) \geq (a+b+c)^3を証明する。
相加・相乗平均の関係より、
\frac{a^2+b^2+c^2}{3} \ge (a^2b^2c^2)^{1/3}
a+b+c \ge 3 (abc)^{1/3}
二乗平均・相加平均の関係より、
\sqrt{\frac{a^2+b^2+c^2}{3}} \ge \frac{a+b+c}{3}
この不等式を使うと、
27(a^2+b^2+c^2) \ge 3(a+b+c)^2
相加・相乗平均の関係を3変数に拡張すると、
a2+b2+c23(a2b2c2)1/3a^2+b^2+c^2 \geq 3(a^2b^2c^2)^{1/3}なので、27(a2+b2+c2)81(a2b2c2)1/327(a^2+b^2+c^2) \ge 81(a^2b^2c^2)^{1/3}. 一方、 (a+b+c)3(3abc3)3=27abc=27(a3b3c3)1/3(a+b+c)^3 \ge (3\sqrt[3]{abc})^3 = 27abc = 27 (a^3b^3c^3)^{1/3}. したがって、この方針ではうまくいかない。

3. 最終的な答え

(春の数学問題演習 7.2)
不等式: 1a+1b+1c9a+b+c\frac{1}{a} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c} \geq \frac{9}{a+b+c}
等号が成り立つ条件: a=b=ca=b=c
(春の数学問題演習 7.3 (1))
不等式: 3(a2+b2+c2)(a+b+c)23(a^2+b^2+c^2) \geq (a+b+c)^2
等号が成り立つ条件: a=b=ca=b=c
(春の数学問題演習 7.3 (2))
不等式: 27(a2+b2+c2)(a+b+c)327(a^2+b^2+c^2) \geq (a+b+c)^3
(証明は上記参照)
注:この不等式はa,b,ca,b,cが全て正の数でないと成立しない。例えば、a=1,b=1,c=1a=1,b=1,c=-1の時、左辺は81,右辺は1なので成り立たない。a,b,ca,b,cは実数となっているので、上記の不等式は誤りである。
条件がa,b,c>0a,b,c>0であれば、27(a2+b2+c2)32(a+b+c)327(a^2+b^2+c^2)^{\frac{3}{2}} \ge (a+b+c)^3が成立する。

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