ある商店街に10軒の食品関係の商店があります。この中で、パンを売っている商店は6軒、ソフトクリームを売っている商店は8軒、清涼飲料を売っている商店は9軒です。どの商店も、パン、ソフトクリーム、清涼飲料のいずれか1つは売っています。このとき、パンもソフトクリームも清涼飲料も売っている商店は少なくとも何軒あるか求める問題です。

離散数学集合包除原理ベン図最小値
2025/3/17

1. 問題の内容

ある商店街に10軒の食品関係の商店があります。この中で、パンを売っている商店は6軒、ソフトクリームを売っている商店は8軒、清涼飲料を売っている商店は9軒です。どの商店も、パン、ソフトクリーム、清涼飲料のいずれか1つは売っています。このとき、パンもソフトクリームも清涼飲料も売っている商店は少なくとも何軒あるか求める問題です。

2. 解き方の手順

まず、ベン図で考えることを念頭に置きます。
全体の商店数を NN とし、パンを売っている商店の数を AA, ソフトクリームを売っている商店の数を BB, 清涼飲料を売っている商店の数を CC とします。
N=10N = 10, A=6A = 6, B=8B = 8, C=9C = 9 です。
ABCA \cup B \cup C は、パン、ソフトクリーム、清涼飲料のうち、少なくとも1つを売っている商店の数です。問題文より、どの商店も少なくとも1つは売っているので、ABC=N=10A \cup B \cup C = N = 10 です。
包除原理を用いて、
ABC=A+B+CABBCCA+ABC|A \cup B \cup C| = |A| + |B| + |C| - |A \cap B| - |B \cap C| - |C \cap A| + |A \cap B \cap C|
が成り立ちます。ここで、求めるべきはABC|A \cap B \cap C|の最小値です。
10=6+8+9ABBCCA+ABC10 = 6 + 8 + 9 - |A \cap B| - |B \cap C| - |C \cap A| + |A \cap B \cap C|
AB+BC+CAABC=6+8+910=13|A \cap B| + |B \cap C| + |C \cap A| - |A \cap B \cap C| = 6 + 8 + 9 - 10 = 13
ABmin(A,B)=min(6,8)=6|A \cap B| \le min(|A|, |B|) = min(6, 8) = 6
BCmin(B,C)=min(8,9)=8|B \cap C| \le min(|B|, |C|) = min(8, 9) = 8
CAmin(C,A)=min(9,6)=6|C \cap A| \le min(|C|, |A|) = min(9, 6) = 6
AB+BC+CA6+8+6=20|A \cap B| + |B \cap C| + |C \cap A| \le 6 + 8 + 6 = 20
ABC=AB+BC+CA13|A \cap B \cap C| = |A \cap B| + |B \cap C| + |C \cap A| - 13
ABC|A \cap B \cap C| を最小にするには、AB,BC,CA|A \cap B|, |B \cap C|, |C \cap A| を最小にすれば良い。
AB+BC+CA|A \cap B| + |B \cap C| + |C \cap A| が最小になるケースを考える。
ABC|A \cap B \cap C| の最小値を求めるために、
AB=x,BC=y,CA=z|A \cap B| = x, |B \cap C| = y, |C \cap A| = zと置く。
x+y+zABC=13x+y+z-|A \cap B \cap C|=13
AB=A+BAB|A \cup B| = |A| + |B| - |A \cap B| より、AB=A+BAB|A \cap B| = |A| + |B| - |A \cup B|
AB10|A \cup B| \le 10 なので、AB6+810=4|A \cap B| \ge 6 + 8 - 10 = 4
同様に、
BC8+910=7|B \cap C| \ge 8 + 9 - 10 = 7
CA9+610=5|C \cap A| \ge 9 + 6 - 10 = 5
よって、AB+BC+CA4+7+5=16|A \cap B| + |B \cap C| + |C \cap A| \ge 4 + 7 + 5 = 16
ABC=AB+BC+CA131613=3|A \cap B \cap C| = |A \cap B| + |B \cap C| + |C \cap A| - 13 \ge 16 - 13 = 3
別の考え方として、
ソフトクリームと清涼飲料を売っている商店は少なくとも7軒なので、その7軒全てがパンも売っているとすると ABC=7|A \cap B \cap C| = 7 となりそうですが、パンを売っている商店は6軒しかないので矛盾します。
パンを売っている商店の中で、ソフトクリームも清涼飲料も売っていない商店の数が最小になるようにすると、10=(6x)+(8x)+(9x)+x10 = (6-x)+(8-x)+(9-x)+x となるような xx の最小値を求めます。
N=A+B+C(AB)(BC)(CA)+ABCN = A + B + C - (A \cap B) - (B \cap C) - (C \cap A) + A \cap B \cap C
10=6+8+9ABBCAC+ABC10 = 6 + 8 + 9 - |A \cap B| - |B \cap C| - |A \cap C| + |A \cap B \cap C|
N(ABC)=10N(A \cup B \cup C) = 10
N(A)=6N(A) = 6
N(B)=8N(B) = 8
N(C)=9N(C) = 9
N(ABC)N(A)+N(B)+N(C)2N(ABC)N(A \cap B \cap C) \geq N(A) + N(B) + N(C) - 2N(A \cup B \cup C)
N(ABC)6+8+9210N(A \cap B \cap C) \geq 6 + 8 + 9 - 2 * 10
N(ABC)2320=3N(A \cap B \cap C) \geq 23 - 20 = 3

3. 最終的な答え

3 軒

「離散数学」の関連問題

全体集合 $U$ の部分集合 $A, B$ に対して、要素の個数が $n(U) = 20, n(A \cup B) = 17, n(B) = 9$ であるとき、以下の集合の要素の個数を求めます。 (3...

集合集合の要素数ベン図
2025/5/15

与えられた画像に掲載されている数学の問題を解きます。具体的には以下の問題を解きます。 * 問題25:5個の文字 a, a, b, b, c から3個の文字を選んで、1列に並べる方法は何通りあるか。...

場合の数組み合わせ順列約数確率
2025/5/15

集合 $A = \{1, 2, 3\}$ と集合 $B = \{1, 3, 5\}$ が与えられたとき、これらの和集合 $A \cup B$ を求める問題です。

集合和集合
2025/5/15

全体集合$U$と、その部分集合$A, B$について、次の集合を求める問題です。 (1) $\overline{B}$ (2) $\overline{A \cap B}$ (3) $A \cap \ov...

集合集合演算補集合共通部分和集合
2025/5/15

問題は集合に関するものです。 練習6では、集合$A = \{1, 2, 3, 4, 5, 6, 7\}$、$B = \{2, 4, 6, 8\}$、$C = \{1, 3\}$が与えられています。以下...

集合集合演算共通部分和集合約数素数
2025/5/15

与えられた集合のすべての部分集合を求める問題です。具体的には、(1) $\{1, 2\}$ と (2) $\{a, b, c\}$ の部分集合をそれぞれリストアップします。

集合論部分集合組み合わせ
2025/5/15

集合の関係を包含関係($\subset$)または等号(=)を用いて表す問題です。具体的には、以下の3つの問題があります。 (1) $A = \{1, 2, 4, 8\}$ と $B = \{1, 2,...

集合包含関係集合の要素
2025/5/15

問題は、集合 $A$ と集合 $B$ が与えられたとき、$\overline{A \cap B}$ を求めることです。これは、$A$ と $B$ の共通部分の補集合を求めることを意味します。

集合論ド・モルガンの法則補集合共通部分和集合
2025/5/15

図のA, B, C, D, Eの各領域を、隣り合った領域が異なる色になるように塗り分ける。指定された色の数をすべて使う必要がある。以下のそれぞれの場合について、塗り分け方が何通りあるかを求める。 (1...

塗り分けグラフ理論場合の数
2025/5/15

1, 1, 2, 2, 3, 3 の6つの数字を1列に並べる。 (1) 相異なる並べ方は全部で何通りあるか。 (2) 同じ数字が隣り合わない並べ方は何通りあるか。

順列組合せ重複順列包除原理
2025/5/15