与えられた定積分 $I = \int_{0}^{\infty} \frac{\sin(x)}{x} dx$ の値を求める問題です。

解析学定積分ディリクレ積分パラメータ積分微分積分部分積分arctan
2025/3/18

1. 問題の内容

与えられた定積分
I=0sin(x)xdxI = \int_{0}^{\infty} \frac{\sin(x)}{x} dx
の値を求める問題です。

2. 解き方の手順

この積分はディリクレ積分と呼ばれ、様々な方法で計算できます。ここでは、パラメータ積分を用いる方法を示します。
まず、以下の関数 I(t)I(t) を定義します。
I(t)=0etxsin(x)xdxI(t) = \int_{0}^{\infty} e^{-tx} \frac{\sin(x)}{x} dx
ここで、t0t \geq 0 とします。
I(0)I(0) が求める積分 II に一致することに注意してください。つまり、I(0)=II(0) = I です。
次に、I(t)I(t)tt で微分します。
dI(t)dt=ddt0etxsin(x)xdx\frac{dI(t)}{dt} = \frac{d}{dt} \int_{0}^{\infty} e^{-tx} \frac{\sin(x)}{x} dx
積分記号の中で微分すると、
dI(t)dt=0t(etxsin(x)x)dx=0xetxsin(x)xdx\frac{dI(t)}{dt} = \int_{0}^{\infty} \frac{\partial}{\partial t} \left( e^{-tx} \frac{\sin(x)}{x} \right) dx = \int_{0}^{\infty} -x e^{-tx} \frac{\sin(x)}{x} dx
dI(t)dt=0etxsin(x)dx\frac{dI(t)}{dt} = -\int_{0}^{\infty} e^{-tx} \sin(x) dx
この積分は、部分積分を2回行うことで計算できます。
A=etxsin(x)dxA = \int e^{-tx} \sin(x) dx とおくと、
A=etxcos(x)tetxcos(x)dxA = -e^{-tx} \cos(x) - t \int e^{-tx} \cos(x) dx
A=etxcos(x)t(etxsin(x)+tetxsin(x)dx)A = -e^{-tx} \cos(x) - t (e^{-tx} \sin(x) + t \int e^{-tx} \sin(x) dx)
A=etxcos(x)tetxsin(x)t2AA = -e^{-tx} \cos(x) - t e^{-tx} \sin(x) - t^2 A
(1+t2)A=etx(cos(x)+tsin(x))(1+t^2) A = -e^{-tx} (\cos(x) + t \sin(x))
A=etx(cos(x)+tsin(x))1+t2A = \frac{-e^{-tx}(\cos(x) + t\sin(x))}{1+t^2}
したがって、
0etxsin(x)dx=[etx(cos(x)+tsin(x))1+t2]0\int_{0}^{\infty} e^{-tx} \sin(x) dx = \left[ \frac{-e^{-tx}(\cos(x) + t\sin(x))}{1+t^2} \right]_{0}^{\infty}
=01(1+0)1+t2=11+t2= 0 - \frac{-1(1+0)}{1+t^2} = \frac{1}{1+t^2}
よって、
dI(t)dt=11+t2\frac{dI(t)}{dt} = - \frac{1}{1+t^2}
両辺を tt で積分すると、
I(t)=arctan(t)+CI(t) = -\arctan(t) + C
ここで、CC は積分定数です。
tt \to \infty のとき、I(t)0I(t) \to 0 なので、
0=arctan()+C=π2+C0 = -\arctan(\infty) + C = -\frac{\pi}{2} + C
よって、C=π2C = \frac{\pi}{2}
したがって、I(t)=arctan(t)+π2I(t) = -\arctan(t) + \frac{\pi}{2}
I(0)=arctan(0)+π2=0+π2=π2I(0) = -\arctan(0) + \frac{\pi}{2} = 0 + \frac{\pi}{2} = \frac{\pi}{2}

3. 最終的な答え

π2\frac{\pi}{2}

「解析学」の関連問題

はい、承知しました。画像に写っている問題は、与えられた関数に対して2階偏導関数を求める問題です。具体的には、以下の4つの関数について、それぞれの2階偏導関数を計算します。

偏微分多変数関数2階偏導関数
2025/7/28

$0 \le x \le \pi$ のとき、関数 $y = \sqrt{3} \cos x + \sin x$ の最大値と最小値を求めよ。

三角関数最大値最小値関数の合成三角関数の微分
2025/7/28

問題は以下の2つの関数を指定された変数で微分することです。 問1: $G = H - TS$ を $T$ で微分する。 問2: $C = \frac{24C_0}{t+24}$ を $t$ で微分する...

微分導関数変数変換定数
2025/7/28

与えられた積分を計算し、その結果を用いて関数 $f(x)$ をフーリエ正弦級数で表す問題です。積分は $\int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} x \sin(nx)...

フーリエ級数積分部分積分三角関数
2025/7/28

$0 \le \theta \le \frac{\pi}{2}$ のとき、関数 $y = \sin 2\theta - \cos 2\theta$ の最大値と最小値を求め、そのときの $\theta$...

三角関数最大値最小値合成
2025/7/28

$0 \leq \theta \leq \frac{\pi}{2}$ のとき、関数 $y = \sin 2\theta - \cos 2\theta$ の最大値と最小値を求め、そのときの $\thet...

三角関数最大値最小値三角関数の合成微分
2025/7/28

$0 \le \theta \le \frac{\pi}{2}$ のとき、関数 $y = \sin{2\theta} - \cos{2\theta}$ の最大値と最小値を求め、そのときの$\theta...

三角関数最大値最小値関数の合成微分
2025/7/28

## 微分方程式の問題

微分方程式積分因子線形微分方程式
2025/7/28

立方体$V$を平面 $x=0, x=1, y=0, y=1, z=0, z=1$ で囲む。$V$の表面のうち、$xy$平面上ではない部分を$A$とする。ベクトル場 $\vec{a} = (2xy, y...

ベクトル解析面積分ストークスの定理線積分
2025/7/28

平面 $x=0$, $x=1$, $y=0$, $y=1$, $z=0$, $z=1$ で囲まれる立体を $V$ とする。その表面で、$xy$ 平面上にない部分を $A$ とする。ベクトル場 $\ma...

ベクトル解析面積分ストークスの定理多変数ベクトル場
2025/7/28