(1) 整数 $x, y$ が $65x + 432y = 1$ を満たすとき、最小の正の $y$ の値を求める。 (2) $\sqrt{6}$ を連分数展開して途中で打ち切ると、$\sqrt{6}$ の有理数による近似が得られる。 $\sqrt{6} \approx a + \frac{1}{b + \frac{1}{c + \frac{1}{d + \frac{1}{e}}}} = \frac{p}{q}$ と近似するとき、$p$ の値を求める。 (3) 2次行列 $A, B$ の積 $AB$ を定義通りに計算すると、成分のかけ算を8回行う。ここで $AB$ を7回の成分のかけ算で実行できる方法を見つけたと仮定する。このとき、4次行列 $P, Q$ の積 $PQ$ は $x$ 回の成分のかけ算で得られる。$x$ の値を求める。 ただし、$P = \begin{bmatrix} P_1 & P_2 \\ P_3 & P_4 \end{bmatrix}, Q = \begin{bmatrix} Q_1 & Q_2 \\ Q_3 & Q_4 \end{bmatrix}$ であり、$PQ = \begin{bmatrix} P_1Q_1 + P_2Q_3 & P_1Q_2 + P_2Q_4 \\ P_3Q_1 + P_4Q_3 & P_3Q_2 + P_4Q_4 \end{bmatrix}$ である。

数論不定方程式連分数行列の積
2025/4/28

1. 問題の内容

(1) 整数 x,yx, y65x+432y=165x + 432y = 1 を満たすとき、最小の正の yy の値を求める。
(2) 6\sqrt{6} を連分数展開して途中で打ち切ると、6\sqrt{6} の有理数による近似が得られる。
6a+1b+1c+1d+1e=pq\sqrt{6} \approx a + \frac{1}{b + \frac{1}{c + \frac{1}{d + \frac{1}{e}}}} = \frac{p}{q} と近似するとき、pp の値を求める。
(3) 2次行列 A,BA, B の積 ABAB を定義通りに計算すると、成分のかけ算を8回行う。ここで ABAB を7回の成分のかけ算で実行できる方法を見つけたと仮定する。このとき、4次行列 P,QP, Q の積 PQPQxx 回の成分のかけ算で得られる。xx の値を求める。
ただし、P=[P1P2P3P4],Q=[Q1Q2Q3Q4]P = \begin{bmatrix} P_1 & P_2 \\ P_3 & P_4 \end{bmatrix}, Q = \begin{bmatrix} Q_1 & Q_2 \\ Q_3 & Q_4 \end{bmatrix} であり、PQ=[P1Q1+P2Q3P1Q2+P2Q4P3Q1+P4Q3P3Q2+P4Q4]PQ = \begin{bmatrix} P_1Q_1 + P_2Q_3 & P_1Q_2 + P_2Q_4 \\ P_3Q_1 + P_4Q_3 & P_3Q_2 + P_4Q_4 \end{bmatrix} である。

2. 解き方の手順

(1) 65x+432y=165x + 432y = 1 を満たす整数 x,yx, y を求める。まず、拡張ユークリッド互除法を用いて特殊解を求める。
432=665+42432 = 6 \cdot 65 + 42
65=142+2365 = 1 \cdot 42 + 23
42=123+1942 = 1 \cdot 23 + 19
23=119+423 = 1 \cdot 19 + 4
19=44+319 = 4 \cdot 4 + 3
4=13+14 = 1 \cdot 3 + 1
したがって、
1=413=41(1944)=54119=5(23119)119=523619=5236(42123)=1123642=11(65142)642=11651742=116517(432665)=11365174321 = 4 - 1 \cdot 3 = 4 - 1 \cdot (19 - 4 \cdot 4) = 5 \cdot 4 - 1 \cdot 19 = 5 \cdot (23 - 1 \cdot 19) - 1 \cdot 19 = 5 \cdot 23 - 6 \cdot 19 = 5 \cdot 23 - 6 \cdot (42 - 1 \cdot 23) = 11 \cdot 23 - 6 \cdot 42 = 11 \cdot (65 - 1 \cdot 42) - 6 \cdot 42 = 11 \cdot 65 - 17 \cdot 42 = 11 \cdot 65 - 17 \cdot (432 - 6 \cdot 65) = 113 \cdot 65 - 17 \cdot 432
よって、65(113)+432(17)=165(113) + 432(-17) = 1
したがって、一般解は x=113+432k,y=1765kx = 113 + 432k, y = -17 - 65kkk は整数)。
y>0y > 0 より、1765k>0-17 - 65k > 0 、すなわち k<17650.26k < -\frac{17}{65} \approx -0.26
kk は整数なので、最大の kk1-1 である。
k=1k = -1 のとき y=1765(1)=17+65=48y = -17 - 65(-1) = -17 + 65 = 48
yy の最小値は 4848
(2) 6=2+(62)=2+1162=2+16+22=2+12+622=2+12+1262=2+12+16+2=2+12+14+(62)2+12+14=2+194=2+49=18+49=229\sqrt{6} = 2 + (\sqrt{6} - 2) = 2 + \frac{1}{\frac{1}{\sqrt{6}-2}} = 2 + \frac{1}{\frac{\sqrt{6}+2}{2}} = 2 + \frac{1}{2 + \frac{\sqrt{6}-2}{2}} = 2 + \frac{1}{2 + \frac{1}{ \frac{2}{\sqrt{6} - 2}}} = 2 + \frac{1}{2 + \frac{1}{\sqrt{6}+2}} = 2 + \frac{1}{2 + \frac{1}{4 + (\sqrt{6} - 2)}} \approx 2 + \frac{1}{2 + \frac{1}{4}} = 2 + \frac{1}{\frac{9}{4}} = 2 + \frac{4}{9} = \frac{18 + 4}{9} = \frac{22}{9}
したがって、p=22p = 22
(3) PQ=[P1Q1+P2Q3P1Q2+P2Q4P3Q1+P4Q3P3Q2+P4Q4]PQ = \begin{bmatrix} P_1Q_1 + P_2Q_3 & P_1Q_2 + P_2Q_4 \\ P_3Q_1 + P_4Q_3 & P_3Q_2 + P_4Q_4 \end{bmatrix}
P1Q1,P2Q3,P1Q2,P2Q4,P3Q1,P4Q3,P3Q2,P4Q4P_1Q_1, P_2Q_3, P_1Q_2, P_2Q_4, P_3Q_1, P_4Q_3, P_3Q_2, P_4Q_4 はすべて2次行列の積なので、各々7回の掛け算で計算できる。
したがって、P1Q1+P2Q3P_1Q_1 + P_2Q_3 の計算には 7+7+4=187 + 7 + 4 = 18 回の掛け算が必要。
P1Q2+P2Q4,P3Q1+P4Q3,P3Q2+P4Q4P_1Q_2 + P_2Q_4, P_3Q_1 + P_4Q_3, P_3Q_2 + P_4Q_4 も同様に18回の掛け算が必要。
したがって、PQPQ の計算に必要な掛け算の回数は 18×4=2818 \times 4 = 28。 よって,x=28x = 28

3. 最終的な答え

(1) 48
(2) 22
(3) 28

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