自然数 $n$ に対して、$n$ 以下の自然数のうち $n$ と互いに素であるものの個数を $\phi(n)$、正の約数の個数を $d(n)$ とする。 (1) $\phi(n) = d(n)$ となる $n$ を全て求める。 (2) $\phi(n)$ と $d(n)$ が共に平方数となる $n$ が無限に存在することを示す。

数論Eulerのφ関数約数関数整数の性質素数平方数
2025/4/29

1. 問題の内容

自然数 nn に対して、nn 以下の自然数のうち nn と互いに素であるものの個数を ϕ(n)\phi(n)、正の約数の個数を d(n)d(n) とする。
(1) ϕ(n)=d(n)\phi(n) = d(n) となる nn を全て求める。
(2) ϕ(n)\phi(n)d(n)d(n) が共に平方数となる nn が無限に存在することを示す。

2. 解き方の手順

(1) ϕ(n)=d(n)\phi(n) = d(n) となる nn を全て求める。
n=1n=1 のとき、ϕ(1)=1\phi(1) = 1, d(1)=1d(1) = 1 なので ϕ(1)=d(1)\phi(1) = d(1)
n=2n=2 のとき、ϕ(2)=1\phi(2) = 1, d(2)=2d(2) = 2 なので ϕ(2)d(2)\phi(2) \neq d(2)
n=3n=3 のとき、ϕ(3)=2\phi(3) = 2, d(3)=2d(3) = 2 なので ϕ(3)=d(3)\phi(3) = d(3)
n=4n=4 のとき、ϕ(4)=2\phi(4) = 2, d(4)=3d(4) = 3 なので ϕ(4)d(4)\phi(4) \neq d(4)
n=5n=5 のとき、ϕ(5)=4\phi(5) = 4, d(5)=2d(5) = 2 なので ϕ(5)d(5)\phi(5) \neq d(5)
n=6n=6 のとき、ϕ(6)=2\phi(6) = 2, d(6)=4d(6) = 4 なので ϕ(6)d(6)\phi(6) \neq d(6)
n=7n=7 のとき、ϕ(7)=6\phi(7) = 6, d(7)=2d(7) = 2 なので ϕ(7)d(7)\phi(7) \neq d(7)
n=8n=8 のとき、ϕ(8)=4\phi(8) = 4, d(8)=4d(8) = 4 なので ϕ(8)=d(8)\phi(8) = d(8)
n=9n=9 のとき、ϕ(9)=6\phi(9) = 6, d(9)=3d(9) = 3 なので ϕ(9)d(9)\phi(9) \neq d(9)
n=10n=10 のとき、ϕ(10)=4\phi(10) = 4, d(10)=4d(10) = 4 なので ϕ(10)=d(10)\phi(10) = d(10)
n=12n=12 のとき、ϕ(12)=4\phi(12) = 4, d(12)=6d(12) = 6 なので ϕ(12)d(12)\phi(12) \neq d(12)
n=pn = p (pp は素数) のとき、ϕ(p)=p1\phi(p) = p-1, d(p)=2d(p) = 2。よって p1=2p-1 = 2 から p=3p=3
n=pkn = p^k (pp は素数) のとき、ϕ(pk)=pkpk1=pk1(p1)\phi(p^k) = p^k - p^{k-1} = p^{k-1}(p-1), d(pk)=k+1d(p^k) = k+1
n=2kn = 2^k のとき、ϕ(2k)=2k2k1=2k1\phi(2^k) = 2^k - 2^{k-1} = 2^{k-1}, d(2k)=k+1d(2^k) = k+1
2k1=k+12^{k-1} = k+1 となる kk を探すと、k=1,2,3,4k=1, 2, 3, 4 で、k=1:1=2k=1: 1=2 (False), k=2:2=3k=2: 2=3 (False), k=3:4=4k=3: 4=4 (True), k=4:8=5k=4: 8=5 (False)。
よって n=23=8n=2^3 = 8 が解。
n=p1p2n = p_1 p_2 のとき、ϕ(n)=(p11)(p21)\phi(n) = (p_1-1)(p_2-1), d(n)=4d(n) = 4
(p11)(p21)=4(p_1-1)(p_2-1) = 4p11=1,p21=4p_1-1 = 1, p_2-1 = 4 はあり得ない (5は素数ではない)。
p11=2,p21=2p_1-1 = 2, p_2-1 = 2 のとき、p1=3,p2=3p_1=3, p_2=3 より n=9n=9ϕ(9)=6\phi(9) = 6, d(9)=3d(9) = 3
n=2pn=2p のとき、ϕ(n)=ϕ(2)ϕ(p)=p1\phi(n) = \phi(2)\phi(p) = p-1, d(n)=4d(n) = 4p1=4p-1 = 4 より p=5p=5n=10n=10ϕ(10)=4\phi(10)=4, d(10)=4d(10)=4
したがって、n=1,3,8,10n=1, 3, 8, 10
(2) ϕ(n)\phi(n)d(n)d(n) が共に平方数となる nn が無限に存在することを示す。
n=2kn = 2^k とする。d(2k)=k+1d(2^k) = k+1 が平方数となるには、k+1=m2k+1 = m^2 となる mm が必要。つまり k=m21k = m^2 - 1
このとき、n=2m21n = 2^{m^2-1} となる。
ϕ(2m21)=2m22\phi(2^{m^2-1}) = 2^{m^2-2} で、これが平方数になるには、m22m^2-2 が偶数である必要がある。
m2m^2 が偶数なら mm は偶数。よって m=2lm=2l とすれば、ϕ(2(2l)21)=24l22\phi(2^{(2l)^2-1}) = 2^{4l^2-2}
4l224l^2-2 が偶数なので、ϕ(24l21)\phi(2^{4l^2-1}) は平方数となる。
d(24l21)=4l2d(2^{4l^2-1}) = 4l^2 は平方数である。
したがって、n=24l21n = 2^{4l^2-1} (ただし ll は任意の自然数) は ϕ(n)\phi(n)d(n)d(n) が共に平方数となる nn である。
ll は無限に存在するので、nn も無限に存在する。

3. 最終的な答え

(1) n=1,3,8,10n = 1, 3, 8, 10
(2) n=24l21n = 2^{4l^2-1} (ll は任意の自然数) は ϕ(n)\phi(n)d(n)d(n) が共に平方数となる nn なので、条件を満たす nn は無限に存在する。

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