数列$\{a_n\}$の階差数列を$\{b_n\}$とします。 (1) $\{a_n\}$が等比数列ならば、$\{b_n\}$もまた等比数列であることを示してください。 (2) $\{b_n\}$が等比数列であっても、$\{a_n\}$は等比数列とは限らないことを示してください。反例を挙げてください。

代数学数列等比数列階差数列証明反例
2025/4/30

1. 問題の内容

数列{an}\{a_n\}の階差数列を{bn}\{b_n\}とします。
(1) {an}\{a_n\}が等比数列ならば、{bn}\{b_n\}もまた等比数列であることを示してください。
(2) {bn}\{b_n\}が等比数列であっても、{an}\{a_n\}は等比数列とは限らないことを示してください。反例を挙げてください。

2. 解き方の手順

(1) {an}\{a_n\}が等比数列であるとき、ある定数rrが存在し、an=a1rn1a_n = a_1 r^{n-1}と表すことができます。ただし、a1a_1は初項です。
階差数列{bn}\{b_n\}は、bn=an+1anb_n = a_{n+1} - a_nで定義されます。したがって、
bn=an+1an=a1rna1rn1=a1rn1(r1)b_n = a_{n+1} - a_n = a_1 r^n - a_1 r^{n-1} = a_1 r^{n-1}(r-1).
rrが1でないとき、bn=a1(r1)rn1b_n = a_1 (r-1)r^{n-1}. したがって、{bn}\{b_n\}は初項a1(r1)a_1(r-1)、公比rrの等比数列です。
r=1r=1のとき、an=a1a_n = a_1となり、数列は定数数列になります。すると、bn=an+1an=a1a1=0b_n = a_{n+1} - a_n = a_1 - a_1 = 0となるため、bn=0b_n = 0となり、これも等比数列です。
(2) {bn}\{b_n\}が等比数列であるとき、{an}\{a_n\}が必ずしも等比数列とならない例を挙げます。
例えば、{bn}={1,2,4,8,...}\{b_n\} = \{1, 2, 4, 8, ...\}とします。このとき、bn=2n1b_n = 2^{n-1}です。
{an}\{a_n\}の初項をa1=1a_1 = 1とすると、
a2=a1+b1=1+1=2a_2 = a_1 + b_1 = 1 + 1 = 2
a3=a2+b2=2+2=4a_3 = a_2 + b_2 = 2 + 2 = 4
a4=a3+b3=4+4=8a_4 = a_3 + b_3 = 4 + 4 = 8
a5=a4+b4=8+8=16a_5 = a_4 + b_4 = 8 + 8 = 16
したがって、{an}={1,2,4,8,16,...}\{a_n\} = \{1, 2, 4, 8, 16, ...\}となります。
この数列{an}\{a_n\}は、an=2n1a_n = 2^{n-1}で与えられ、等比数列となります。
しかし、別の例として、{bn}={1,2,4,8,...}\{b_n\} = \{1, 2, 4, 8, ...\}を同じく考え、a1=0a_1 = 0とします。すると、
a2=a1+b1=0+1=1a_2 = a_1 + b_1 = 0 + 1 = 1
a3=a2+b2=1+2=3a_3 = a_2 + b_2 = 1 + 2 = 3
a4=a3+b3=3+4=7a_4 = a_3 + b_3 = 3 + 4 = 7
a5=a4+b4=7+8=15a_5 = a_4 + b_4 = 7 + 8 = 15
したがって、{an}={0,1,3,7,15,...}\{a_n\} = \{0, 1, 3, 7, 15, ...\}となります。
この数列はan=2n11a_n = 2^{n-1} - 1で表されます。この数列は等比数列ではありません。なぜなら、a1=0,a2=1,a3=3a_1 = 0, a_2 = 1, a_3 = 3なので、a2/a1a_2 / a_1が定義できず、a3/a2=3a_3/a_2 = 3ですが、a4/a3=7/3a_4/a_3 = 7/3となるため、公比が一定ではありません。

3. 最終的な答え

(1) {an}\{a_n\}が等比数列ならば、{bn}\{b_n\}も等比数列である。(証明は上記参照)
(2) {bn}\{b_n\}が等比数列であっても、{an}\{a_n\}が等比数列とは限らない。
反例:{bn}={2n1},a1=0\{b_n\} = \{2^{n-1}\}, a_1 = 0のとき、{an}={2n11}\{a_n\} = \{2^{n-1} - 1\}となり、これは等比数列ではない。

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