振動数 $f_0$ [Hz] のサイレンを乗せた自動車が、点Oを中心とする半径 $r$ [m] の円周上を一定の速さ $v$ [m/s] で左回りに走っています。円の外側の点Pに人が立ち、音速を $V$ [m/s] とします。 (1) 円周上で、最大振動数 $f_H$ [Hz] の音が発せられた点をA、振動数 $f_0$ [Hz] の音が発せられた点をB、最小振動数 $f_L$ [Hz] の音が発せられた点をCとします。 (2) $v$ と $f_0$ を、$f_H$, $f_L$, $V$ を用いてそれぞれ表します。 (3) $f_H = 525$ [Hz], $f_L = 495$ [Hz], $V = 340$ [m/s] であるとき、$f_H$ [Hz] の音を聞く周期が $9.42$ [s] であった。$v$ と $r$ を求めます。 (4) (3)において、距離OPが $2r$ [m] に等しいとき、 (ア) $f_H$ [Hz] の音を聞いて、次に $f_L$ [Hz] の音を聞くまでには、どれだけの時間がかかるか。 (イ) $f_0$ [Hz] の音を聞いて、次に $f_L$ [Hz] の音を聞き、再び $f_0$ [Hz] の音を聞くまでには、どれだけの時間がかかるか。

応用数学ドップラー効果音波円運動物理
2025/4/30

1. 問題の内容

振動数 f0f_0 [Hz] のサイレンを乗せた自動車が、点Oを中心とする半径 rr [m] の円周上を一定の速さ vv [m/s] で左回りに走っています。円の外側の点Pに人が立ち、音速を VV [m/s] とします。
(1) 円周上で、最大振動数 fHf_H [Hz] の音が発せられた点をA、振動数 f0f_0 [Hz] の音が発せられた点をB、最小振動数 fLf_L [Hz] の音が発せられた点をCとします。
(2) vvf0f_0 を、fHf_H, fLf_L, VV を用いてそれぞれ表します。
(3) fH=525f_H = 525 [Hz], fL=495f_L = 495 [Hz], V=340V = 340 [m/s] であるとき、fHf_H [Hz] の音を聞く周期が 9.429.42 [s] であった。vvrr を求めます。
(4) (3)において、距離OPが 2r2r [m] に等しいとき、
(ア) fHf_H [Hz] の音を聞いて、次に fLf_L [Hz] の音を聞くまでには、どれだけの時間がかかるか。
(イ) f0f_0 [Hz] の音を聞いて、次に fLf_L [Hz] の音を聞き、再び f0f_0 [Hz] の音を聞くまでには、どれだけの時間がかかるか。

2. 解き方の手順

(1) 最大振動数は、自動車が観測者に近づくときに聞こえ、最小振動数は遠ざかるときに聞こえます。したがって、AはPに最も近づく点、CはPから最も遠ざかる点、BはAとCの中間の点になります。円周上なので、AはPに最も近づく点、CはPから最も遠ざかる点、BはOからPに向かう点になります。
(2) ドップラー効果の式より、fH=VVvf0f_H = \frac{V}{V-v} f_0fL=VV+vf0f_L = \frac{V}{V+v} f_0 が成り立ちます。
これらの式から vvf0f_0 を求めます。
fH(Vv)=Vf0f_H(V-v) = V f_0
fL(V+v)=Vf0f_L(V+v) = V f_0
fH(Vv)=fL(V+v)f_H(V-v) = f_L(V+v)
fHVfHv=fLV+fLvf_H V - f_H v = f_L V + f_L v
fHVfLV=fLv+fHvf_H V - f_L V = f_L v + f_H v
V(fHfL)=v(fH+fL)V(f_H - f_L) = v(f_H + f_L)
v=fHfLfH+fLVv = \frac{f_H - f_L}{f_H + f_L} V
fHVfHv=Vf0f_H V - f_H v = V f_0
f0=fHfHvVf_0 = f_H - \frac{f_H v}{V}
f0=fHfHVfHfLfH+fLVf_0 = f_H - \frac{f_H}{V} \frac{f_H - f_L}{f_H + f_L} V
f0=fHfHfHfLfH+fL=fH(1fHfLfH+fL)=fHfH+fL(fHfL)fH+fL=fH2fLfH+fLf_0 = f_H - f_H \frac{f_H - f_L}{f_H + f_L} = f_H(1 - \frac{f_H - f_L}{f_H + f_L}) = f_H \frac{f_H + f_L - (f_H - f_L)}{f_H + f_L} = f_H \frac{2f_L}{f_H + f_L}
f0=2fHfLfH+fLf_0 = \frac{2 f_H f_L}{f_H + f_L}
(3) 周期 T=9.42T = 9.42 [s] で fHf_H の音を聞いたので、円周の長さを LL とすると、L=2πrL = 2 \pi r であり、v=L/T=2πr/Tv = L/T = 2 \pi r / T となります。
(2)で求めた vv を代入すると、fHfLfH+fLV=2πrT\frac{f_H - f_L}{f_H + f_L} V = \frac{2 \pi r}{T} となります。
r=TV2πfHfLfH+fLr = \frac{T V}{2\pi} \frac{f_H - f_L}{f_H + f_L}
v=525495525+495340=301020340=134340=10v = \frac{525 - 495}{525 + 495} 340 = \frac{30}{1020} 340 = \frac{1}{34} 340 = 10 [m/s]
r=9.42×3402×3.14×301020=9.42×3406.28×134=3202.86.28×134=510×134=15r = \frac{9.42 \times 340}{2 \times 3.14} \times \frac{30}{1020} = \frac{9.42 \times 340}{6.28} \times \frac{1}{34} = \frac{3202.8}{6.28} \times \frac{1}{34} = 510 \times \frac{1}{34} = 15 [m]
(4) OP=2r のとき、円周上にあり、A,CはPを中心とした直径上にあります。BはOPの延長線上にあります。円の中心角を考えると、
(ア) fHf_H から fLf_L までにかかる時間は、半周分なので、T/2=9.42/2=4.71T/2 = 9.42/2 = 4.71 [s]
(イ) f0f_0 から fLf_L までにかかる時間は、半周分なので、T/2=4.71T/2 = 4.71 [s]。fLf_L から f0f_0 までも同様に、T/2=4.71T/2 = 4.71 [s]。合計 4.71+4.71=9.424.71+4.71=9.42 [s]

3. 最終的な答え

(1) AはPに最も近づく点、BはOからPに向かう点、CはPから最も遠ざかる点。
(2) v=fHfLfH+fLVv = \frac{f_H - f_L}{f_H + f_L} V, f0=2fHfLfH+fLf_0 = \frac{2 f_H f_L}{f_H + f_L}
(3) v=10v = 10 [m/s], r=15r = 15 [m]
(4) (ア) 4.714.71 [s] (イ) 9.429.42 [s]

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