与えられた以下の5つの命題を証明する問題です。 (1) $\sqrt{2}$ は有理数でないことを示せ。 (2) $0.999999\dots = 1$ であることを示せ。 (3) 無限小数 $a$ が循環小数ならば $a$ は有理数であることを示せ。 (4) 任意の実数 $a$ は有限小数または無限小数で表されることを示せ。 (5) 任意の実数 $\alpha$ はある単調増加な有理数列の極限となることを示せ。

数論無理数有理数実数無限小数数列背理法
2025/5/8

1. 問題の内容

与えられた以下の5つの命題を証明する問題です。
(1) 2\sqrt{2} は有理数でないことを示せ。
(2) 0.999999=10.999999\dots = 1 であることを示せ。
(3) 無限小数 aa が循環小数ならば aa は有理数であることを示せ。
(4) 任意の実数 aa は有限小数または無限小数で表されることを示せ。
(5) 任意の実数 α\alpha はある単調増加な有理数列の極限となることを示せ。

2. 解き方の手順

(1) 2\sqrt{2} は有理数でないことの証明 (背理法)
2\sqrt{2} が有理数であると仮定すると、互いに素な自然数 m,nm, n を用いて 2=mn\sqrt{2} = \frac{m}{n} と表せる。
両辺を2乗すると、
2=m2n22 = \frac{m^2}{n^2}
2n2=m22n^2 = m^2
したがって、m2m^2 は偶数である。m2m^2 が偶数であるとき、mm も偶数である。
m=2km = 2k ( kk は自然数)とおくと、
2n2=(2k)2=4k22n^2 = (2k)^2 = 4k^2
n2=2k2n^2 = 2k^2
したがって、n2n^2 は偶数である。n2n^2 が偶数であるとき、nn も偶数である。
mmnn も偶数となり、互いに素であるという仮定に矛盾する。
よって、2\sqrt{2} は有理数ではない。
(2) 0.999999=10.999999\dots = 1 であることの証明
x=0.999999x = 0.999999\dots とおく。
10x=9.99999910x = 9.999999\dots
10xx=9.9999990.999999=910x - x = 9.999999\dots - 0.999999\dots = 9
9x=99x = 9
x=1x = 1
よって、0.999999=10.999999\dots = 1
(3) 無限小数 aa が循環小数ならば aa は有理数であることの証明
aa が循環小数であるとき、循環部分が繰り返される。
例として、a=0.123a = 0.\overline{123} を考える。
1000a=123.1231000a = 123.\overline{123}
1000aa=123.1230.123=1231000a - a = 123.\overline{123} - 0.\overline{123} = 123
999a=123999a = 123
a=123999=41333a = \frac{123}{999} = \frac{41}{333}
一般に、a=0.a1a2ana = 0.\overline{a_1a_2\dots a_n} と表せる場合、
10na=a1a2an.a1a2an10^n a = a_1a_2\dots a_n.\overline{a_1a_2\dots a_n}
(10n1)a=a1a2an(10^n - 1)a = a_1a_2\dots a_n
a=a1a2an10n1a = \frac{a_1a_2\dots a_n}{10^n - 1} となり、aa は有理数である。
(4) 任意の実数 aa は有限小数または無限小数で表されることの証明
実数 aa を整数部分 nn と小数部分 bb に分ける。nn は整数である。0b<10 \le b < 1 である。
bb に対して、10進数展開を行うことを考える。
b1=10bb_1 = \lfloor 10b \rfloor
b2=100b10b1b_2 = \lfloor 100b - 10b_1 \rfloor
b3=1000b100b110b2b_3 = \lfloor 1000b - 100b_1 - 10b_2 \rfloor
...
この操作を繰り返すと、b=0.b1b2b3...b = 0.b_1b_2b_3... となる。
ここで、bib_i は0から9までの整数である。
有限回で終了する場合、有限小数となる。
無限に続く場合、無限小数となる。
したがって、任意の実数 aa は有限小数または無限小数で表される。
(5) 任意の実数 α\alpha はある単調増加な有理数列の極限となることの証明
任意の実数 α\alpha を与える。
an=10nα10na_n = \frac{\lfloor 10^n \alpha \rfloor}{10^n} と定義する。
このとき、ana_n は有理数である。
また、an=10nα10n10nα10n=αa_n = \frac{\lfloor 10^n \alpha \rfloor}{10^n} \le \frac{10^n \alpha}{10^n} = \alpha である。
10an=10nα10n110 a_n = \frac{\lfloor 10^n \alpha \rfloor}{10^{n-1}}
10an10α10 a_n \le 10 \alpha
10n+1an+1=10n+1α10^{n+1} a_{n+1} = \lfloor 10^{n+1} \alpha \rfloor
an+1=10n+1α10n+1a_{n+1} = \frac{\lfloor 10^{n+1} \alpha \rfloor}{10^{n+1}}
10n+1α1010nα\lfloor 10^{n+1} \alpha \rfloor \ge 10 \lfloor 10^n \alpha \rfloor であるから、
an+1=10n+1α10n+11010nα10n+1=10nα10n=ana_{n+1} = \frac{\lfloor 10^{n+1} \alpha \rfloor}{10^{n+1}} \ge \frac{10 \lfloor 10^n \alpha \rfloor}{10^{n+1}} = \frac{\lfloor 10^n \alpha \rfloor}{10^n} = a_n
よって、ana_n は単調増加数列である。
さらに、nn \to \infty のとき、anαa_n \to \alpha となる。
したがって、任意の実数 α\alpha はある単調増加な有理数列の極限となる。

3. 最終的な答え

(1) 2\sqrt{2} は有理数ではない。
(2) 0.999999=10.999999\dots = 1
(3) 無限小数 aa が循環小数ならば aa は有理数である。
(4) 任意の実数 aa は有限小数または無限小数で表される。
(5) 任意の実数 α\alpha はある単調増加な有理数列の極限となる。

「数論」の関連問題

数列 $a_n = 3 \cdot 4^n - 6$ が与えられている。$a_n$ が7の倍数であるための必要十分条件は、$n$ がある数で割ったときに余りが別の数になるという。その割る数と余りを求め...

合同式数列剰余
2025/5/9

数列 $a_n$ が $a_n = 3 \cdot 4^n - 6$ で与えられているとき、$a_n$ が7の倍数であるための必要十分条件は、$n$ がある数で割るとある数余るという形で表される。この...

合同式整数の性質数列
2025/5/9

数列 $a_n$ が $a_n = 3 \cdot 4^n + 6$ で定義されているとき、$a_n$ が7の倍数となるための $n$ の必要十分条件は、$n$ がある数で割るとある数余るという形にな...

合同式等比数列周期性剰余
2025/5/9

問題1:方程式 $19x - 11y = 1$ を満たす整数の組 $(x, y)$ のうち、$x$ の値が最も100に近いのは、$y$ がいくつのときか。 問題2:方程式 $xy + 3x + 5y ...

不定方程式整数解ユークリッドの互除法約数
2025/5/9

学籍番号の下2桁を2倍し、100を足した数を求め、その数を2つの素数の和で表す。学籍番号は「2401068」とする。

素数素数分解整数の性質
2025/5/9

問題は、素因数分解とゴールドバッハ予想に関するものです。具体的には、与えられた数値を素因数分解したり、2つの素数の和で表現したりします。問題1から5は素因数分解、問題6から9は与えられた数を2つの素数...

素因数分解ゴールドバッハ予想素数整数の性質
2025/5/9

$\sqrt{2}$ が無理数であることを用いて、$3 - 5\sqrt{2}$ が無理数であることを証明する問題です。

無理数背理法代数的数
2025/5/9

7進法で表すと3桁になる正の整数がある。この整数を11進法で表すと、やはり3桁になり、数字の順序が逆になる。この整数を10進法で表わせ。

進法整数方程式
2025/5/8

$n$ は自然数とする。命題「$n$ は素数である $\Rightarrow$ $n$ は奇数である」が偽であることを示す。

素数命題反例論理
2025/5/8

$\sqrt{2}$ が無理数であることを利用して、$1 + 3\sqrt{2}$ が無理数であることを証明します。

無理数背理法証明
2025/5/8