問題は以下の2点を示せというものです。 * べき零行列 $A$ は正則ではない。 * 任意の実数 $c$ に対して、$I + cA$ は正則である。ここで、$I$ は単位行列を表す。
2025/5/8
1. 問題の内容
問題は以下の2点を示せというものです。
* べき零行列 は正則ではない。
* 任意の実数 に対して、 は正則である。ここで、 は単位行列を表す。
2. 解き方の手順
(1) べき零行列 は正則ではないことの証明
べき零行列とは、 となる正の整数 が存在する行列のことです。 が正則であると仮定すると、逆行列 が存在します。
の両辺に をかけると、
これは矛盾です。したがって、 は正則ではありません。
(2) 任意の実数 に対して は正則であることの証明
をべき零行列とし、 となる正の整数 が存在するとします。
の逆行列が で与えられることを示します。
より、
上の式の第二項は打ち消しあって0になるので、
したがって、 が の逆行列となります。
つまり、 は正則です。
3. 最終的な答え
* べき零行列 は正則ではない。
* 任意の実数 に対して、 は正則である。