正方行列 $A$ は単位行列 $I$ ではないべき等行列である (つまり $A^2 = A$ を満たす)。このとき、$A$ は正則ではないことを示す。

代数学線形代数行列べき等行列正則行列逆行列背理法
2025/5/8

1. 問題の内容

正方行列 AA は単位行列 II ではないべき等行列である (つまり A2=AA^2 = A を満たす)。このとき、AA は正則ではないことを示す。

2. 解き方の手順

AA が正則であると仮定する。このとき、逆行列 A1A^{-1} が存在する。A2=AA^2 = A の両辺に左から A1A^{-1} をかけると、
A1A2=A1AA^{-1}A^2 = A^{-1}A
(A1A)A=A1A(A^{-1}A)A = A^{-1}A
IA=IIA = I
A=IA = I
これは、AA が単位行列 II ではないという仮定に矛盾する。したがって、AA は正則ではない。
別解:
AAが正則であると仮定すると、AAの逆行列A1A^{-1}が存在する。A2=AA^2=Aの両辺に右からA1A^{-1}をかけると、
A2A1=AA1A^2A^{-1}=AA^{-1}
A(AA1)=AA1A(AA^{-1})=AA^{-1}
AI=IAI=I
A=IA=I
これは、AA が単位行列 II ではないという仮定に矛盾する。したがって、AA は正則ではない。
さらに別解:
背理法を用いる。
AAが正則であると仮定する。このとき、ある行列BBが存在して、AB=BA=IAB=BA=Iを満たす。
問題文より、A2=AA^2=Aであるから、
A2B=ABA^2B = AB
A(AB)=ABA(AB)=AB
AI=IAI = I
A=IA = I
これは、AAは単位行列ではないという仮定に矛盾する。したがって、AAは正則ではない。

3. 最終的な答え

Aは正則ではない。