(1) $1-ab \neq 0$ のとき、2次正方行列 $\begin{bmatrix} 1 & a \\ b & 1 \end{bmatrix}$ が正則であることを示す。 (2) $n$次正方行列 $A, B$ に対して、$I - AB$ が正則行列であるとき、$2n$次正方行列 $\begin{bmatrix} I & A \\ B & I \end{bmatrix}$ が正則であることを示す。
2025/5/8
1. 問題の内容
(1) のとき、2次正方行列 が正則であることを示す。
(2) 次正方行列 に対して、 が正則行列であるとき、次正方行列 が正則であることを示す。
2. 解き方の手順
(1) 行列 の行列式を計算します。行列式が0でないことを示せば、この行列は正則であると言えます。行列式は、 となります。条件より、 なので、行列式は0ではありません。したがって、この行列は正則です。
(2) 行列 の正則性を示すために、ある行列 が存在して、
(ここでは次の単位行列)となることを示します。
を (は次の正方行列)とおきます。
これを計算すると、以下の連立方程式を得ます。
3番目の式から、を得ます。
これを1番目の式に代入すると、 となり、 が得られます。
条件より、 は正則なので、 となります。
したがって、 となります。
次に、4番目の式から、を得ます。
これを2番目の式に代入すると、 となり、 が得られます。
したがって、 となり、 となります。
最後に、 となります。
よって、
とすることで、
は正則であることが示されました。
3. 最終的な答え
(1) ならば、2次正方行列 は正則である。
(2) 次正方行列 に対して、 が正則行列ならば、次正方行列 は正則である。