整数 $n$ に関する以下の6つの命題を証明します。 (1) $n^2 + n$ を 5 で割ったときの余りは 0, 1, 2 のいずれかである。 (2) $n^2$ を 7 で割ったときの余りは 0, 1, 2, 4 のいずれかである。 (3) $n^2 + 1$ は 3 の倍数ではない。 (4) $n$ を奇数とするとき、$n^2$ を 8 で割ったときの余りは 1 である。 (5) $n$ を奇数とするとき、$(n^2 + 3)(n^2 + 7)$ は 32 の倍数である。 (6) $n^9 - n^3$ は 9 の倍数である。

数論整数の性質合同式剰余倍数
2025/5/8

1. 問題の内容

整数 nn に関する以下の6つの命題を証明します。
(1) n2+nn^2 + n を 5 で割ったときの余りは 0, 1, 2 のいずれかである。
(2) n2n^2 を 7 で割ったときの余りは 0, 1, 2, 4 のいずれかである。
(3) n2+1n^2 + 1 は 3 の倍数ではない。
(4) nn を奇数とするとき、n2n^2 を 8 で割ったときの余りは 1 である。
(5) nn を奇数とするとき、(n2+3)(n2+7)(n^2 + 3)(n^2 + 7) は 32 の倍数である。
(6) n9n3n^9 - n^3 は 9 の倍数である。

2. 解き方の手順

(1) n2+nn^2 + n を 5 で割ったときの余りを考える。nn を 5 で割った余りは 0, 1, 2, 3, 4 のいずれかである。それぞれの場合について n2+nn^2 + n を 5 で割った余りを計算する。
- n=5kn = 5k のとき, n2+n=(5k)2+5k=25k2+5k=5(5k2+k)n^2 + n = (5k)^2 + 5k = 25k^2 + 5k = 5(5k^2 + k) なので、余りは 0。
- n=5k+1n = 5k + 1 のとき, n2+n=(5k+1)2+(5k+1)=25k2+10k+1+5k+1=25k2+15k+2=5(5k2+3k)+2n^2 + n = (5k + 1)^2 + (5k + 1) = 25k^2 + 10k + 1 + 5k + 1 = 25k^2 + 15k + 2 = 5(5k^2 + 3k) + 2 なので、余りは 2。
- n=5k+2n = 5k + 2 のとき, n2+n=(5k+2)2+(5k+2)=25k2+20k+4+5k+2=25k2+25k+6=5(5k2+5k+1)+1n^2 + n = (5k + 2)^2 + (5k + 2) = 25k^2 + 20k + 4 + 5k + 2 = 25k^2 + 25k + 6 = 5(5k^2 + 5k + 1) + 1 なので、余りは 1。
- n=5k+3n = 5k + 3 のとき, n2+n=(5k+3)2+(5k+3)=25k2+30k+9+5k+3=25k2+35k+12=5(5k2+7k+2)+2n^2 + n = (5k + 3)^2 + (5k + 3) = 25k^2 + 30k + 9 + 5k + 3 = 25k^2 + 35k + 12 = 5(5k^2 + 7k + 2) + 2 なので、余りは 2。
- n=5k+4n = 5k + 4 のとき, n2+n=(5k+4)2+(5k+4)=25k2+40k+16+5k+4=25k2+45k+20=5(5k2+9k+4)n^2 + n = (5k + 4)^2 + (5k + 4) = 25k^2 + 40k + 16 + 5k + 4 = 25k^2 + 45k + 20 = 5(5k^2 + 9k + 4) なので、余りは 0。
したがって、n2+nn^2 + n を 5 で割った余りは 0, 1, 2 のいずれかである。
(2) n2n^2 を 7 で割ったときの余りを考える。nn を 7 で割った余りは 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6 のいずれかである。それぞれの場合について n2n^2 を 7 で割った余りを計算する。
- n=7kn = 7k のとき, n2=(7k)2=49k2=7(7k2)n^2 = (7k)^2 = 49k^2 = 7(7k^2) なので、余りは 0。
- n=7k+1n = 7k + 1 のとき, n2=(7k+1)2=49k2+14k+1=7(7k2+2k)+1n^2 = (7k + 1)^2 = 49k^2 + 14k + 1 = 7(7k^2 + 2k) + 1 なので、余りは 1。
- n=7k+2n = 7k + 2 のとき, n2=(7k+2)2=49k2+28k+4=7(7k2+4k)+4n^2 = (7k + 2)^2 = 49k^2 + 28k + 4 = 7(7k^2 + 4k) + 4 なので、余りは 4。
- n=7k+3n = 7k + 3 のとき, n2=(7k+3)2=49k2+42k+9=7(7k2+6k+1)+2n^2 = (7k + 3)^2 = 49k^2 + 42k + 9 = 7(7k^2 + 6k + 1) + 2 なので、余りは 2。
- n=7k+4n = 7k + 4 のとき, n2=(7k+4)2=49k2+56k+16=7(7k2+8k+2)+2n^2 = (7k + 4)^2 = 49k^2 + 56k + 16 = 7(7k^2 + 8k + 2) + 2 なので、余りは 2。
- n=7k+5n = 7k + 5 のとき, n2=(7k+5)2=49k2+70k+25=7(7k2+10k+3)+4n^2 = (7k + 5)^2 = 49k^2 + 70k + 25 = 7(7k^2 + 10k + 3) + 4 なので、余りは 4。
- n=7k+6n = 7k + 6 のとき, n2=(7k+6)2=49k2+84k+36=7(7k2+12k+5)+1n^2 = (7k + 6)^2 = 49k^2 + 84k + 36 = 7(7k^2 + 12k + 5) + 1 なので、余りは 1。
したがって、n2n^2 を 7 で割った余りは 0, 1, 2, 4 のいずれかである。
(3) n2+1n^2 + 1 が 3 の倍数ではないことを示す。nn を 3 で割った余りは 0, 1, 2 のいずれかである。
- n=3kn = 3k のとき, n2+1=(3k)2+1=9k2+1=3(3k2)+1n^2 + 1 = (3k)^2 + 1 = 9k^2 + 1 = 3(3k^2) + 1 なので、余りは 1。
- n=3k+1n = 3k + 1 のとき, n2+1=(3k+1)2+1=9k2+6k+1+1=9k2+6k+2=3(3k2+2k)+2n^2 + 1 = (3k + 1)^2 + 1 = 9k^2 + 6k + 1 + 1 = 9k^2 + 6k + 2 = 3(3k^2 + 2k) + 2 なので、余りは 2。
- n=3k+2n = 3k + 2 のとき, n2+1=(3k+2)2+1=9k2+12k+4+1=9k2+12k+5=3(3k2+4k+1)+2n^2 + 1 = (3k + 2)^2 + 1 = 9k^2 + 12k + 4 + 1 = 9k^2 + 12k + 5 = 3(3k^2 + 4k + 1) + 2 なので、余りは 2。
いずれの場合も n2+1n^2 + 1 を 3 で割った余りは 0 にならないので、n2+1n^2 + 1 は 3 の倍数ではない。
(4) nn を奇数とするとき、n2n^2 を 8 で割ったときの余りは 1 であることを示す。nn が奇数なので、n=2k+1n = 2k + 1 と表せる。
n2=(2k+1)2=4k2+4k+1=4k(k+1)+1n^2 = (2k + 1)^2 = 4k^2 + 4k + 1 = 4k(k + 1) + 1
kk または k+1k + 1 は偶数なので、k(k+1)k(k + 1) は偶数である。したがって、k(k+1)=2lk(k + 1) = 2l と表せる。
n2=4(2l)+1=8l+1n^2 = 4(2l) + 1 = 8l + 1
したがって、n2n^2 を 8 で割ったときの余りは 1 である。
(5) nn を奇数とするとき、(n2+3)(n2+7)(n^2 + 3)(n^2 + 7) は 32 の倍数であることを示す。nn が奇数なので、n=2k+1n = 2k + 1 と表せる。
n2=(2k+1)2=4k2+4k+1n^2 = (2k + 1)^2 = 4k^2 + 4k + 1
(n2+3)(n2+7)=(4k2+4k+1+3)(4k2+4k+1+7)=(4k2+4k+4)(4k2+4k+8)=4(k2+k+1)4(k2+k+2)=16(k2+k+1)(k2+k+2)(n^2 + 3)(n^2 + 7) = (4k^2 + 4k + 1 + 3)(4k^2 + 4k + 1 + 7) = (4k^2 + 4k + 4)(4k^2 + 4k + 8) = 4(k^2 + k + 1) \cdot 4(k^2 + k + 2) = 16(k^2 + k + 1)(k^2 + k + 2)
k2+k=k(k+1)k^2 + k = k(k + 1) は連続する整数の積なので偶数である。したがって、k2+k=2lk^2 + k = 2l と表せる。
16(2l+1)(2l+2)=16(2l+1)2(l+1)=32(2l+1)(l+1)16(2l + 1)(2l + 2) = 16(2l + 1) \cdot 2(l + 1) = 32(2l + 1)(l + 1)
したがって、(n2+3)(n2+7)(n^2 + 3)(n^2 + 7) は 32 の倍数である。
(6) n9n3n^9 - n^3 は 9 の倍数であることを示す。
n9n3=n3(n61)=n3(n31)(n3+1)=n3(n1)(n2+n+1)(n+1)(n2n+1)=(n1)n(n+1)n2(n2+n+1)(n2n+1)n^9 - n^3 = n^3(n^6 - 1) = n^3(n^3 - 1)(n^3 + 1) = n^3(n - 1)(n^2 + n + 1)(n + 1)(n^2 - n + 1) = (n - 1)n(n + 1)n^2(n^2 + n + 1)(n^2 - n + 1)
(n1)n(n+1)(n - 1)n(n + 1) は連続する 3 つの整数の積なので、3 の倍数である。
n9n3=n3(n61)=n3(n21)(n4+n2+1)=n3(n1)(n+1)(n4+n2+1)=(n1)n(n+1)n2(n4+n2+1)n^9 - n^3 = n^3(n^6 - 1) = n^3(n^2 - 1)(n^4 + n^2 + 1) = n^3(n-1)(n+1)(n^4 + n^2 + 1) = (n-1)n(n+1)n^2(n^4 + n^2 + 1).
n0,1,2(mod3)n \equiv 0, 1, 2 \pmod 3 で場合分けする。
- n0(mod3)n \equiv 0 \pmod 3 ならば n30(mod9)n^3 \equiv 0 \pmod 9 なので、n9n30(mod9)n^9 - n^3 \equiv 0 \pmod 9.
- n1(mod3)n \equiv 1 \pmod 3 ならば、n=3k+1n = 3k + 1. n3=(3k+1)3=27k3+27k2+9k+1n^3 = (3k+1)^3 = 27k^3 + 27k^2 + 9k + 1. n9n31(9k+1)9k0(mod9)n^9 - n^3 \equiv 1 - (9k+1) \equiv -9k \equiv 0 \pmod 9.
- n2(mod3)n \equiv 2 \pmod 3 ならば、n=3k+2n = 3k + 2. n3=(3k+2)3=27k3+54k2+36k+8n^3 = (3k+2)^3 = 27k^3 + 54k^2 + 36k + 8. n9n32923=5128=504=956n^9 - n^3 \equiv 2^9 - 2^3 = 512-8 = 504 = 9 * 56 なので n9n3n^9-n^3 は9の倍数。
よってn9n3n^9 - n^3 は 9 の倍数である。

3. 最終的な答え

(1) n2+nn^2 + n を 5 で割った余りは 0, 1, 2 のいずれかである。
(2) n2n^2 を 7 で割った余りは 0, 1, 2, 4 のいずれかである。
(3) n2+1n^2 + 1 は 3 の倍数ではない。
(4) nn を奇数とするとき、n2n^2 を 8 で割ったときの余りは 1 である。
(5) nn を奇数とするとき、(n2+3)(n2+7)(n^2 + 3)(n^2 + 7) は 32 の倍数である。
(6) n9n3n^9 - n^3 は 9 の倍数である。

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