自然数 $n$ と0以上の整数 $x_1, x_2, ..., x_{2n}$ について、以下の条件を考える。 条件1: $\sum_{k=1}^n x_k \leq n$ 条件2: $\sum_{k=1}^{n+1} x_k \geq n+1$ 条件3: $\sum_{k=n+1}^{2n} x_k = 2n$ (1) $\sum_{k=1}^n x_k = m$ ( $m$ は0以上 $n$ 以下の整数) のとき、条件2かつ条件3を満たす0以上の整数の組 $(x_{n+1}, x_{n+2}, ..., x_{2n})$ の個数を $m, n$ で表せ。 (2) $1$以上 $n$ 以下の整数 $m$ に対して、$_{2n+m-2}C_{2n-2} = {}_{2n+m-1}C_{2n-1} + {}_{2n+m-2}C_{2n-1}$ を示せ。 (3) 条件1かつ条件2かつ条件3を満たす0以上の整数の組 $(x_1, x_2, ..., x_{2n})$ の個数を $n$ で表せ。

離散数学組み合わせ数列不等式数え上げ
2025/5/8

1. 問題の内容

自然数 nn と0以上の整数 x1,x2,...,x2nx_1, x_2, ..., x_{2n} について、以下の条件を考える。
条件1: k=1nxkn\sum_{k=1}^n x_k \leq n
条件2: k=1n+1xkn+1\sum_{k=1}^{n+1} x_k \geq n+1
条件3: k=n+12nxk=2n\sum_{k=n+1}^{2n} x_k = 2n
(1) k=1nxk=m\sum_{k=1}^n x_k = m ( mm は0以上 nn 以下の整数) のとき、条件2かつ条件3を満たす0以上の整数の組 (xn+1,xn+2,...,x2n)(x_{n+1}, x_{n+2}, ..., x_{2n}) の個数を m,nm, n で表せ。
(2) 11以上 nn 以下の整数 mm に対して、2n+m2C2n2=2n+m1C2n1+2n+m2C2n1_{2n+m-2}C_{2n-2} = {}_{2n+m-1}C_{2n-1} + {}_{2n+m-2}C_{2n-1} を示せ。
(3) 条件1かつ条件2かつ条件3を満たす0以上の整数の組 (x1,x2,...,x2n)(x_1, x_2, ..., x_{2n}) の個数を nn で表せ。

2. 解き方の手順

(1) k=1nxk=m\sum_{k=1}^n x_k = m のとき、条件2は k=1n+1xkn+1\sum_{k=1}^{n+1} x_k \geq n+1 となるので、xn+1n+1mx_{n+1} \geq n+1 - m
条件3は k=n+12nxk=2n\sum_{k=n+1}^{2n} x_k = 2n
xn+1=xn+1+n+1mx_{n+1} = x'_{n+1} + n+1-m (xn+1x'_{n+1} は0以上の整数)とおくと、xn+1+n+1m+k=n+22nxk=2nx'_{n+1} + n+1-m + \sum_{k=n+2}^{2n} x_k = 2n。よって、k=n+22nxk+xn+1=2n(n+1m)=n1+m\sum_{k=n+2}^{2n} x_k + x'_{n+1} = 2n - (n+1-m) = n-1+m
この方程式の0以上の整数解の個数は、nn 個の変数についての和が n1+mn-1+m となる場合の数なので、(n1+m)+(n1)Cn1=2n+m2Cn1{}^{(n-1+m) + (n-1)}C_{n-1} = {}^{2n+m-2}C_{n-1}
(2) パスカルの公式 nCk=n1Ck+n1Ck1{}_{n}C_{k} = {}_{n-1}C_{k} + {}_{n-1}C_{k-1} を用いる。
2n+m2C2n2=2n+m3C2n2+2n+m3C2n3{}_{2n+m-2}C_{2n-2} = {}_{2n+m-3}C_{2n-2} + {}_{2n+m-3}C_{2n-3}
与えられた式 2n+m2C2n2=2n+m1C2n12n+m2C2n1{}_{2n+m-2}C_{2n-2} = {}_{2n+m-1}C_{2n-1} - {}_{2n+m-2}C_{2n-1} を示す。
右辺 =2n+m1C2n12n+m2C2n1= {}_{2n+m-1}C_{2n-1} - {}_{2n+m-2}C_{2n-1}
2n+m1C2n1=2n+m2C2n1+2n+m2C2n2{}_{2n+m-1}C_{2n-1} = {}_{2n+m-2}C_{2n-1} + {}_{2n+m-2}C_{2n-2}より、
2n+m1C2n12n+m2C2n1=2n+m2C2n2{}_{2n+m-1}C_{2n-1} - {}_{2n+m-2}C_{2n-1} = {}_{2n+m-2}C_{2n-2}
よって、2n+m2C2n2=2n+m1C2n12n+m2C2n1{}_{2n+m-2}C_{2n-2} = {}_{2n+m-1}C_{2n-1} - {}_{2n+m-2}C_{2n-1} が示された。
(3) 条件1: k=1nxkn\sum_{k=1}^n x_k \leq n
条件2: k=1n+1xkn+1\sum_{k=1}^{n+1} x_k \geq n+1
条件3: k=n+12nxk=2n\sum_{k=n+1}^{2n} x_k = 2n
条件1よりk=1nxk=m\sum_{k=1}^n x_k = m (m=0,1,...,nm=0,1,...,n)とおく。条件1, 2, 3を同時に満たす整数の組の個数を求める。
mm を固定して、条件2, 3を満たす個数を求める。
k=1nxk=m\sum_{k=1}^n x_k = mのとき、(1)より条件2, 3を満たす個数は2n+m2Cn1{}^{2n+m-2}C_{n-1}
よって、条件1, 2, 3を満たす整数の組の個数は、
m=0n2n+m2Cn1\sum_{m=0}^n {}^{2n+m-2}C_{n-1}となる。
ここで2n2Cn1+2n1Cn1+...+3n2Cn1=3n1Cn{}_{2n-2}C_{n-1} + {}_{2n-1}C_{n-1} + ... + {}_{3n-2}C_{n-1} = {}_{3n-1}C_n
${}_{2n-2}C_{n-1} = {}_{2n-1}C_{n}
n=3n1Cn1n = {}_{3n-1}C_{n-1}を用いる。
よって、答えは3n1Cn{}_{3n-1}C_{n}

3. 最終的な答え

(1) 2n+m2Cn1{}^{2n+m-2}C_{n-1}
(2) 2n+m2C2n2=2n+m1C2n12n+m2C2n1{}_{2n+m-2}C_{2n-2} = {}_{2n+m-1}C_{2n-1} - {}_{2n+m-2}C_{2n-1} (証明終わり)
(3) 3n1Cn{}_{3n-1}C_n

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