この問題は、微分と関数の関係について問うものです。具体的には、以下の3つの問いに答える必要があります。 (1) 微分可能な関数の和と定数倍の微分について、成り立つ性質を答える。 (2) 関数 $f(x) = (x+3)^2$ の微分を、微分の定義を用いて計算した結果と、(1)で答えた性質を用いて計算した結果を比較する。 (3) 関数の積の微分 $(f(x)g(x))' = f'(x)g'(x)$ が成り立つかどうかを調べ、成り立たない場合は反例を挙げ、成り立つ場合はそのことを示す。

解析学微分関数の微分積の微分微分の定義
2025/5/9

1. 問題の内容

この問題は、微分と関数の関係について問うものです。具体的には、以下の3つの問いに答える必要があります。
(1) 微分可能な関数の和と定数倍の微分について、成り立つ性質を答える。
(2) 関数 f(x)=(x+3)2f(x) = (x+3)^2 の微分を、微分の定義を用いて計算した結果と、(1)で答えた性質を用いて計算した結果を比較する。
(3) 関数の積の微分 (f(x)g(x))=f(x)g(x)(f(x)g(x))' = f'(x)g'(x) が成り立つかどうかを調べ、成り立たない場合は反例を挙げ、成り立つ場合はそのことを示す。

2. 解き方の手順

(1) 微分可能な関数の和と定数倍の微分について成り立つ性質は、次の2つです。
* 和の微分: (f(x)+g(x))=f(x)+g(x)(f(x) + g(x))' = f'(x) + g'(x)
* 定数倍の微分: (cf(x))=cf(x)(cf(x))' = cf'(x) (ただし、cc は定数)
(2) まず、微分の定義を用いて f(x)=(x+3)2f(x) = (x+3)^2 を微分します。微分の定義は次の通りです。
f(x)=limh0f(x+h)f(x)hf'(x) = \lim_{h \to 0} \frac{f(x+h) - f(x)}{h}
f(x+h)=(x+h+3)2=(x+3)2+2(x+3)h+h2f(x+h) = (x+h+3)^2 = (x+3)^2 + 2(x+3)h + h^2
f(x+h)f(x)=2(x+3)h+h2f(x+h) - f(x) = 2(x+3)h + h^2
f(x+h)f(x)h=2(x+3)+h\frac{f(x+h) - f(x)}{h} = 2(x+3) + h
したがって、f(x)=limh0(2(x+3)+h)=2(x+3)=2x+6f'(x) = \lim_{h \to 0} (2(x+3) + h) = 2(x+3) = 2x + 6
次に、(1)の性質を用いて f(x)f(x) を微分します。まず、f(x)=(x+3)2=x2+6x+9f(x) = (x+3)^2 = x^2 + 6x + 9 と展開します。
x2x^2 の微分は 2x2x6x6x の微分は 6699 の微分は 00 であるため、和の微分と定数倍の微分より、f(x)=2x+6+0=2x+6f'(x) = 2x + 6 + 0 = 2x + 6
したがって、微分の定義と(1)の性質を用いて計算した結果は一致します。
(3) 関数の積の微分は一般には成り立ちません。つまり、(f(x)g(x))f(x)g(x)(f(x)g(x))' \neq f'(x)g'(x) です。正しい積の微分公式は、
(f(x)g(x))=f(x)g(x)+f(x)g(x)(f(x)g(x))' = f'(x)g(x) + f(x)g'(x)
です。
反例を挙げます。例えば、f(x)=xf(x) = xg(x)=xg(x) = x とすると、f(x)g(x)=x2f(x)g(x) = x^2 であり、(f(x)g(x))=2x(f(x)g(x))' = 2x です。一方、f(x)=1f'(x) = 1g(x)=1g'(x) = 1 なので、f(x)g(x)=1×1=1f'(x)g'(x) = 1 \times 1 = 1 となり、(f(x)g(x))f(x)g(x)(f(x)g(x))' \neq f'(x)g'(x) であることがわかります。

3. 最終的な答え

(1) 微分可能な関数の和の微分は、それぞれの関数の微分の和に等しい。定数倍の微分は、定数と関数の微分の積に等しい。
(f(x)+g(x))=f(x)+g(x)(f(x) + g(x))' = f'(x) + g'(x)
(cf(x))=cf(x)(cf(x))' = cf'(x)
(2) 微分の定義を用いて計算した結果と、(1)で答えた性質を用いて計算した結果は一致する。f(x)=2x+6f'(x) = 2x + 6
(3) 関数の積の微分 (f(x)g(x))=f(x)g(x)(f(x)g(x))' = f'(x)g'(x) は一般には成り立たない。反例:f(x)=xf(x) = xg(x)=xg(x) = x のとき、(f(x)g(x))=2x(f(x)g(x))' = 2x だが、f(x)g(x)=1f'(x)g'(x) = 1 である。

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