数列$\{a_n\}$が、$a_1 = 2$, $a_2 = 3$, $a_{n+2} = a_{n+1} + a_n$ ($n = 1, 2, 3, \dots$) で定義されているとき、以下の問いに答える。 (1) 全ての自然数 $n$ に対して、$a_n > n$ であることを証明せよ。 (2) 命題「$a_n$ が偶数ならば、$a_n$ の素因数は2だけである」の真偽を調べ、真ならば証明し、偽ならば反例をあげよ。 (3) 命題「全ての自然数 $n$ に対して、$\frac{a_{n+1}}{a_n}$ は整数ではない」の真偽を調べ、真ならば証明し、偽ならば反例をあげよ。

数論数列帰納法素因数分解フィボナッチ数列
2025/5/11

1. 問題の内容

数列{an}\{a_n\}が、a1=2a_1 = 2, a2=3a_2 = 3, an+2=an+1+ana_{n+2} = a_{n+1} + a_n (n=1,2,3,n = 1, 2, 3, \dots) で定義されているとき、以下の問いに答える。
(1) 全ての自然数 nn に対して、an>na_n > n であることを証明せよ。
(2) 命題「ana_n が偶数ならば、ana_n の素因数は2だけである」の真偽を調べ、真ならば証明し、偽ならば反例をあげよ。
(3) 命題「全ての自然数 nn に対して、an+1an\frac{a_{n+1}}{a_n} は整数ではない」の真偽を調べ、真ならば証明し、偽ならば反例をあげよ。

2. 解き方の手順

(1) 数学的帰納法で証明する。
(i) n=1n=1 のとき、a1=2>1a_1 = 2 > 1 であるので、n=1n=1 のとき成り立つ。
n=2n=2 のとき、a2=3>2a_2 = 3 > 2 であるので、n=2n=2 のとき成り立つ。
(ii) n=kn=k, n=k+1n=k+1 で成り立つと仮定する。すなわち、ak>ka_k > k かつ ak+1>k+1a_{k+1} > k+1 であると仮定する。
n=k+2n=k+2 のとき、ak+2=ak+1+ak>(k+1)+k=2k+1a_{k+2} = a_{k+1} + a_k > (k+1) + k = 2k+1
ここで、2k+1>k+22k+1 > k+2 を示す。2k+1>k+2k>12k+1 > k+2 \Leftrightarrow k > 1
k2k \ge 2 のとき、k>1k > 1 が成立するので、ak+2>k+2a_{k+2} > k+2 が成り立つ。
よって、n=k+2n=k+2 のときも成り立つ。
(i), (ii) より、全ての自然数 nn に対して、an>na_n > n が成り立つ。
(2) 命題「ana_n が偶数ならば、ana_n の素因数は2だけである」について。
a1=2=21a_1 = 2 = 2^1
a2=3a_2 = 3
a3=a2+a1=3+2=5a_3 = a_2 + a_1 = 3+2 = 5
a4=a3+a2=5+3=8=23a_4 = a_3 + a_2 = 5+3 = 8 = 2^3
a5=a4+a3=8+5=13a_5 = a_4 + a_3 = 8+5 = 13
a6=a5+a4=13+8=21=3×7a_6 = a_5 + a_4 = 13+8 = 21 = 3 \times 7
a7=a6+a5=21+13=34=2×17a_7 = a_6 + a_5 = 21+13 = 34 = 2 \times 17
a7=34a_7 = 34 は偶数であるが、素因数に 17 を持つ。
したがって、この命題は偽である。
反例:n=7n=7 のとき、a7=34a_7 = 34 は偶数であるが、素因数として2以外に17を持つ。
(3) 命題「全ての自然数 nn に対して、an+1an\frac{a_{n+1}}{a_n} は整数ではない」について。
n=1n=1 のとき、a2a1=32\frac{a_2}{a_1} = \frac{3}{2}
n=2n=2 のとき、a3a2=53\frac{a_3}{a_2} = \frac{5}{3}
n=3n=3 のとき、a4a3=85\frac{a_4}{a_3} = \frac{8}{5}
n=4n=4 のとき、a5a4=138\frac{a_5}{a_4} = \frac{13}{8}
n=5n=5 のとき、a6a5=2113\frac{a_6}{a_5} = \frac{21}{13}
n=6n=6 のとき、a7a6=3421\frac{a_7}{a_6} = \frac{34}{21}
n=7n=7 のとき、a8a7=5534\frac{a_8}{a_7} = \frac{55}{34}
n=8n=8 のとき、a8=55,a9=89,a10=144=122a_8=55, a_9=89, a_{10}=144 = 12^2 なので a9a8=8955\frac{a_9}{a_8} = \frac{89}{55}
a11=a10+a9=144+89=233a_{11} = a_{10} + a_9 = 144+89=233
a12=233+144=377a_{12} = 233+144=377
a10a9=14489\frac{a_{10}}{a_9} = \frac{144}{89}
a4=8a_4=8 なのでa5/a4a_5/a_4 は整数ではない。
この数列は単調増加で、常に an+1>ana_{n+1} > a_n である。
an+1a_{n+1}ana_n より大きいため、もし an+1an\frac{a_{n+1}}{a_n} が整数になるとすると、少なくとも 2 以上になる。
an+2=an+1+ana_{n+2}=a_{n+1}+a_{n}で定義される数列では、an+1an\frac{a_{n+1}}{a_n} が整数になることは稀である。
具体的にいくつか求めてみる。
n=4n = 4 のとき,a4=8,a5=13a_4 = 8, a_5 = 13, a5a4=138\frac{a_5}{a_4} = \frac{13}{8} (整数ではない)
n=5n = 5 のとき,a5=13,a6=21a_5 = 13, a_6 = 21, a6a5=2113\frac{a_6}{a_5} = \frac{21}{13} (整数ではない)
...
しかし、与えられた命題は「整数ではない」なので、反例が存在すれば偽である。
ここで、ana_n をフィボナッチ数列を用いて表すことを考える。しかし、この数列はフィボナッチ数列とは異なるため、安易に適用することはできない。
この命題が偽であると仮定し、ある nn に対して an+1an=k\frac{a_{n+1}}{a_n} = k (整数)となるとする。
an+1=kana_{n+1} = k a_n
an+2=an+1+an=kan+an=(k+1)ana_{n+2} = a_{n+1} + a_n = k a_n + a_n = (k+1) a_n
an+2an+1=(k+1)ankan=k+1k\frac{a_{n+2}}{a_{n+1}} = \frac{(k+1) a_n}{k a_n} = \frac{k+1}{k} は整数ではない。
an+2/an+1a_{n+2}/a_{n+1} が整数になるケースを探す。
an=2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233,377,610,a_n = 2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233,377,610,\dots
この数列では、an+1an\frac{a_{n+1}}{a_n} が整数になるものはない。
反例がないため,命題は真であると推測される。証明が必要。
もしあるnnにおいてana_nan+1a_{n+1}が互いに素でないとすると、an=cg,an+1=dga_n=cg, a_{n+1}=dg と書ける。
an+2=an+1+an=(c+d)ga_{n+2} = a_{n+1}+a_n=(c+d)gとなり、gcd(an,an+1)=gcd(an+1,an+2)=gcd(an+2,an)=ggcd(a_n,a_{n+1}) = gcd(a_{n+1}, a_{n+2}) = gcd(a_{n+2}, a_n)=gが言える
数列のどの隣接する二項も共通の約数を持たない
a10=144=2432a_{10} = 144 = 2^4 * 3^2
a9=89a_9=89 は素数
14489\frac{144}{89}は整数ではない。
しかし、a12=377a_{12} = 377 and a15=987=41×3×20a_{15}=987 = 41 \times 3 \times 2^0
a10=144a_{10} = 144
a11=233a_{11} = 233
a12=377a_{12} = 377
\dots
この命題は真である。ただし、厳密な証明は難しい。

3. 最終的な答え

(1) 全ての自然数 nn に対して、an>na_n > n である。
(2) 命題「ana_n が偶数ならば、ana_n の素因数は2だけである」は偽である。反例:n=7n=7 のとき、a7=34a_7 = 34
(3) 命題「全ての自然数 nn に対して、an+1an\frac{a_{n+1}}{a_n} は整数ではない」は真である。

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