与えられた3次方程式 $x^3 - 3x - 1 = 0$ の解 $\alpha$ について、以下の3つの事柄を示す問題です。 (1) $\alpha$ は整数ではない。 (2) $\alpha$ は有理数ではない。 (3) $\alpha$ は $p + q\sqrt{3}$ (ただし、$p, q$ は有理数) の形で表せない。

代数学3次方程式解の性質有理数解無理数代数
2025/5/12

1. 問題の内容

与えられた3次方程式 x33x1=0x^3 - 3x - 1 = 0 の解 α\alpha について、以下の3つの事柄を示す問題です。
(1) α\alpha は整数ではない。
(2) α\alpha は有理数ではない。
(3) α\alphap+q3p + q\sqrt{3} (ただし、p,qp, q は有理数) の形で表せない。

2. 解き方の手順

(1) α\alpha は整数ではないことを示す。
もし α\alpha が整数解を持つと仮定すると、α\alpha1-1 の約数でなければならない(整数解の候補は ±1\pm 1)。
α=1\alpha = 1 のとき、133(1)1=131=301^3 - 3(1) - 1 = 1 - 3 - 1 = -3 \neq 0
α=1\alpha = -1 のとき、(1)33(1)1=1+31=10(-1)^3 - 3(-1) - 1 = -1 + 3 - 1 = 1 \neq 0
したがって、α\alpha は整数解を持たない。
(2) α\alpha は有理数ではないことを示す。
もし α\alpha が有理数解を持つと仮定すると、有理数解定理より、α\alpha±11\frac{\pm 1}{1} の形になる必要がある。つまり、整数解の候補と同様に、有理数解の候補は ±1\pm 1 となる。しかし、(1) で示したように、±1\pm 1 は解ではない。したがって、α\alpha は有理数解を持たない。
(3) α\alphap+q3p + q\sqrt{3} の形で表せないことを示す。
α=p+q3\alpha = p + q\sqrt{3} と仮定する (ここで、p,qp, q は有理数)。
α33α1=0\alpha^3 - 3\alpha - 1 = 0 に代入すると、
(p+q3)33(p+q3)1=0(p + q\sqrt{3})^3 - 3(p + q\sqrt{3}) - 1 = 0
p3+3p2q3+3p(q3)2+(q3)33p3q31=0p^3 + 3p^2q\sqrt{3} + 3p(q\sqrt{3})^2 + (q\sqrt{3})^3 - 3p - 3q\sqrt{3} - 1 = 0
p3+3p2q3+9pq2+3q333p3q31=0p^3 + 3p^2q\sqrt{3} + 9pq^2 + 3q^3\sqrt{3} - 3p - 3q\sqrt{3} - 1 = 0
(p3+9pq23p1)+(3p2q+3q33q)3=0(p^3 + 9pq^2 - 3p - 1) + (3p^2q + 3q^3 - 3q)\sqrt{3} = 0
ppqq は有理数であるから、p3+9pq23p1p^3 + 9pq^2 - 3p - 13p2q+3q33q3p^2q + 3q^3 - 3q も有理数である。
したがって、
p3+9pq23p1=0p^3 + 9pq^2 - 3p - 1 = 0
3p2q+3q33q=03p^2q + 3q^3 - 3q = 0
2番目の式から 3q(p2+q21)=03q(p^2 + q^2 - 1) = 0
したがって、q=0q = 0 または p2+q2=1p^2 + q^2 = 1
(i) q=0q = 0 の場合、1番目の式は p33p1=0p^3 - 3p - 1 = 0 となる。これは α\alpha が有理数解を持つ場合と同じであり、(2) より、そのような pp は存在しない。
(ii) p2+q2=1p^2 + q^2 = 1 の場合、q2=1p2q^2 = 1 - p^2 を1番目の式に代入すると、
p3+9p(1p2)3p1=0p^3 + 9p(1-p^2) - 3p - 1 = 0
p3+9p9p33p1=0p^3 + 9p - 9p^3 - 3p - 1 = 0
8p3+6p1=0-8p^3 + 6p - 1 = 0
8p36p+1=08p^3 - 6p + 1 = 0
p=cosθp = \cos \theta と置くと、8cos3θ6cosθ+1=08 \cos^3 \theta - 6 \cos \theta + 1 = 0
2(4cos3θ3cosθ)+1=02(4 \cos^3 \theta - 3 \cos \theta) + 1 = 0
2cos3θ+1=02 \cos 3\theta + 1 = 0
cos3θ=12\cos 3\theta = -\frac{1}{2}
3θ=2π3+2nπ3\theta = \frac{2\pi}{3} + 2n\pi または 3θ=4π3+2nπ3\theta = \frac{4\pi}{3} + 2n\pi (ただし、nn は整数)。
θ=2π9+2nπ3\theta = \frac{2\pi}{9} + \frac{2n\pi}{3} または θ=4π9+2nπ3\theta = \frac{4\pi}{9} + \frac{2n\pi}{3}
したがって、p=cos2π9p = \cos \frac{2\pi}{9}, cos8π9\cos \frac{8\pi}{9}, cos14π9\cos \frac{14\pi}{9}, cos4π9\cos \frac{4\pi}{9}, cos10π9\cos \frac{10\pi}{9}, cos16π9\cos \frac{16\pi}{9}
これらの値は有理数ではないので、pp は有理数という仮定に矛盾する。
以上より、α\alphap+q3p + q\sqrt{3} の形で表せない。

3. 最終的な答え

(1) α\alpha は整数ではない。
(2) α\alpha は有理数ではない。
(3) α\alphap+q3p + q\sqrt{3} (ただし、p,qp, q は有理数) の形で表せない。

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