$A$ を正の定数として、以下の微分方程式を解く。 (a) $\frac{d^2 y}{dx^2} = -\frac{dy}{dx} (x+1)^{-1}$ で、初期条件 $\frac{dy}{dx}(0) = 2$, $y(0) = 1$ を満たす解を求める。ヒントとして、$w = \frac{dy}{dx}$ とおいて、$w$ に関する1階微分方程式に変換する。 (b) $\frac{dy}{dx} = x(y^2 - A^2)$ で、$y(0) = 1$ を満たす解を求める。

1. 問題の内容

$A$ を正の定数として、以下の微分方程式を解く。

(a) $\frac{d^2 y}{dx^2} = -\frac{dy}{dx} (x+1)^{-1}$ で、初期条件 $\frac{dy}{dx}(0) = 2$, $y(0) = 1$ を満たす解を求める。ヒントとして、$w = \frac{dy}{dx}$ とおいて、$w$ に関する1階微分方程式に変換する。

(b) $\frac{dy}{dx} = x(y^2 - A^2)$ で、$y(0) = 1$ を満たす解を求める。

2. 解き方の手順

(a) まず、$w = \frac{dy}{dx}$ とおく。すると、$\frac{d^2 y}{dx^2} = \frac{dw}{dx}$ となるので、与えられた微分方程式は $\frac{dw}{dx} = -\frac{w}{x+1}$ となる。

これは変数分離形の微分方程式なので、$\frac{dw}{w} = -\frac{dx}{x+1}$ と変形できる。

両辺を積分すると、$\int \frac{dw}{w} = \int -\frac{dx}{x+1}$ より、$\ln|w| = -\ln|x+1| + C_1$ となる。

$e$ の指数関数をとると、$|w| = e^{-\ln|x+1| + C_1} = e^{C_1} e^{-\ln|x+1|} = e^{C_1} \frac{1}{|x+1|}$ となる。

したがって、$w = \frac{C_2}{x+1}$ ($C_2$ は定数) と書ける。

初期条件 $\frac{dy}{dx}(0) = w(0) = 2$ より、$2 = \frac{C_2}{0+1}$ なので、$C_2 = 2$ となる。

よって、$w = \frac{dy}{dx} = \frac{2}{x+1}$ である。

これを積分すると、$y = \int \frac{2}{x+1} dx = 2\ln|x+1| + C_3$ となる。

初期条件 $y(0) = 1$ より、$1 = 2\ln|0+1| + C_3 = 2\ln(1) + C_3 = 0 + C_3$ なので、$C_3 = 1$ となる。

したがって、$y = 2\ln|x+1| + 1$ である。

(b) $\frac{dy}{dx} = x(y^2 - A^2)$ は変数分離形なので、$\frac{dy}{y^2 - A^2} = x dx$ と変形できる。

左辺を部分分数分解すると、$\frac{1}{y^2 - A^2} = \frac{1}{(y-A)(y+A)} = \frac{1}{2A} \left( \frac{1}{y-A} - \frac{1}{y+A} \right)$ となる。

したがって、$\int \frac{dy}{y^2 - A^2} = \frac{1}{2A} \int \left( \frac{1}{y-A} - \frac{1}{y+A} \right) dy = \frac{1}{2A} (\ln|y-A| - \ln|y+A|) = \frac{1}{2A} \ln \left| \frac{y-A}{y+A} \right|$ となる。

右辺は、$\int x dx = \frac{1}{2}x^2 + C_4$ となる。

よって、$\frac{1}{2A} \ln \left| \frac{y-A}{y+A} \right| = \frac{1}{2}x^2 + C_4$ である。

$\ln \left| \frac{y-A}{y+A} \right| = A x^2 + 2 A C_4 = A x^2 + C_5$ となる。

$\left| \frac{y-A}{y+A} \right| = e^{Ax^2 + C_5} = e^{C_5} e^{Ax^2} = C_6 e^{Ax^2}$ となる。

$\frac{y-A}{y+A} = C_7 e^{Ax^2}$ となる。

$y-A = (y+A) C_7 e^{Ax^2}$ なので、$y(1 - C_7 e^{Ax^2}) = A (1 + C_7 e^{Ax^2})$ となり、$y = A \frac{1 + C_7 e^{Ax^2}}{1 - C_7 e^{Ax^2}}$ となる。

初期条件 $y(0) = 1$ より、$1 = A \frac{1 + C_7 e^0}{1 - C_7 e^0} = A \frac{1 + C_7}{1 - C_7}$ なので、$\frac{1}{A} = \frac{1+C_7}{1-C_7}$ となる。

$1 - C_7 = A (1+C_7)$ なので、$1 - C_7 = A + A C_7$ となり、$1-A = C_7 (1+A)$ となる。

$C_7 = \frac{1-A}{1+A}$ となる。

したがって、$y = A \frac{1 + \frac{1-A}{1+A} e^{Ax^2}}{1 - \frac{1-A}{1+A} e^{Ax^2}} = A \frac{1+A + (1-A)e^{Ax^2}}{1+A - (1-A)e^{Ax^2}} = A \frac{(1+A) + (1-A)e^{Ax^2}}{(1+A) - (1-A)e^{Ax^2}}$ である。

3. 最終的な答え

(a) $y = 2\ln|x+1| + 1$

(b) $y = A \frac{(1+A) + (1-A)e^{Ax^2}}{(1+A) - (1-A)e^{Ax^2}}$