$A$ を $n$ 次正方行列とします。以下の2つの命題の真偽を判定します。 1. $A$ のある行が $(0, 0, \dots, 0)$ であるならば、$A$ は正則ではない。 2. $A$ が正則でないならば、$A$ のある行は $(0, 0, \dots, 0)$ である。
2025/5/14
## 問題4.1
1. 問題の内容
を 次正方行列とします。以下の2つの命題の真偽を判定します。
1. $A$ のある行が $(0, 0, \dots, 0)$ であるならば、$A$ は正則ではない。
2. $A$ が正則でないならば、$A$ のある行は $(0, 0, \dots, 0)$ である。
2. 解き方の手順
1. **命題1の真偽の判定:**
* のある行が であるとき、 の行列式は0になります。なぜなら、行列式はある行の要素とその余因子展開の積の和で計算できるからです。ある行が全て0であれば、行列式は0になります。
* 行列式が0である行列は正則ではありません。したがって、命題1は真です。
2. **命題2の真偽の判定:**
* が正則でない(つまり行列式が0)であっても、 のすべての行が であるとは限りません。
* 反例として、以下の行列を考えます:
A = \begin{pmatrix}
1 & 1 \\
1 & 1
\end{pmatrix}
この行列の行列式は なので正則ではありません。しかし、 のどの行も ではありません。
* したがって、命題2は偽です。
3. 最終的な答え
1. 命題1:真
2. 命題2:偽
## 問題4.2
1. 問題の内容
問題4.1において、「行」を「列」に置き換えた場合の2つの命題の真偽を判定します。
2. 解き方の手順
問題4.1と同様の考え方を使います。行列の性質として、行に関する性質は列に関しても成り立つことが多いです。
1. **命題1の真偽の判定:**
* のある列が であるとき、 の行列式は0になります。なぜなら、行列式はある列の要素とその余因子展開の積の和で計算できるからです。ある列が全て0であれば、行列式は0になります。
* 行列式が0である行列は正則ではありません。したがって、命題1は真です。
2. **命題2の真偽の判定:**
* が正則でない(つまり行列式が0)であっても、 のすべての列が であるとは限りません。
* 問題4.1で挙げた反例の行列は、列に関しても反例となります。
A = \begin{pmatrix}
1 & 1 \\
1 & 1
\end{pmatrix}
この行列の行列式は なので正則ではありません。しかし、 のどの列も ではありません。
* したがって、命題2は偽です。