有界な数列 $\{a_n\}$ は収束する部分列を持つ。その一つの極限値を $\alpha$ とする。もし元の数列 $\{a_n\}$ が発散数列なら、$\{a_n\}$ の収束部分列で、$\{a_n\}$ の極限値 $\alpha$ と異なる極限値を持つものが存在するかどうかを考える。 (1) 上記の例と異なる有界数列と、その収束部分列(異なる極限値を持つもの)の具体例を挙げよ。 (2) 上記(1)の例が成立することを示せ。
2025/5/16
1. 問題の内容
有界な数列 は収束する部分列を持つ。その一つの極限値を とする。もし元の数列 が発散数列なら、 の収束部分列で、 の極限値 と異なる極限値を持つものが存在するかどうかを考える。
(1) 上記の例と異なる有界数列と、その収束部分列(異なる極限値を持つもの)の具体例を挙げよ。
(2) 上記(1)の例が成立することを示せ。
2. 解き方の手順
(1) 具体例を挙げる。例えば、数列 を考える。この数列は と振動し、発散する。しかし、部分列 は1に収束し、部分列 は-1に収束する。つまり、数列 は極限値1と-1を持つ収束部分列を持つ。とすれば、極限値-1をもつ部分列を持つ例となる。
(2) 一般に、数列 が有界な発散数列であると仮定する。ボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理より、有界な数列 は少なくとも1つの収束部分列を持つ。この収束部分列の極限値をとする。元の数列 は発散するので、 はに収束しない。したがって、あるが存在して、任意の自然数に対して、かつとなるが存在する。
このを用いて、数列 から部分列 を構成する。まず、を、を満たす任意の自然数とする。次に、を、を満たす自然数とする。一般に、を、を満たす自然数とする。このようにして構成された部分列 は、をすべてのについて満たす。
部分列は有界なので、さらに収束する部分列を持つ(再びボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理)。この収束部分列の極限値をとすると、である。なぜなら、がすべてのについて成り立つからである。したがって、であり、はとは異なる極限値を持つ収束部分列を持つ。
3. 最終的な答え
(1) 具体例:数列
(2) 上記の証明を参照。