不等式の証明には、両辺の2乗の差を考える方法が有効です。
まず、両辺が0以上であることから、2乗しても大小関係は変わりません。
したがって、
(∣a∣+2∣b∣)2−∣a+2b∣2≥0 を示せばよいことになります。
(∣a∣+2∣b∣)2 を展開すると、 (∣a∣+2∣b∣)2=∣a∣2+4∣a∣∣b∣+4∣b∣2=a2+4∣ab∣+4b2 となります。
∣a+2b∣2 を展開すると、 ∣a+2b∣2=(a+2b)2=a2+4ab+4b2 となります。
したがって、
(∣a∣+2∣b∣)2−∣a+2b∣2=(a2+4∣ab∣+4b2)−(a2+4ab+4b2)=4∣ab∣−4ab=4(∣ab∣−ab) となります。
ここで、∣ab∣≥ab であるから、∣ab∣−ab≥0 となります。 したがって、
(∣a∣+2∣b∣)2−∣a+2b∣2=4(∣ab∣−ab)≥0 が成り立ちます。
これにより、
(∣a∣+2∣b∣)2≥∣a+2b∣2 が示されました。
両辺の平方根をとることで、
∣a∣+2∣b∣≥∣a+2b∣ が証明されました。
次に、等号が成り立つ場合を考えます。
等号が成り立つのは、∣ab∣−ab=0 のとき、つまり、∣ab∣=ab のときです。 ∣ab∣=ab が成り立つのは、ab≥0 のときです。