$p$ を 3 以上の素数とする。自然数 $x, y, k$ があり、$x^2 - y^2 = k$ を満たしている。 (1) $x, y$ が奇数のとき、$k$ は 8 の倍数となることを示す。 (2) $k = 4p^2$ とするとき、$x, y$ をそれぞれ $p$ を用いて表せ。また、$x \le 1000$ を満たすような $x, y$ の組 $(x, y)$ の個数を求めよ。 (3) $k = 4p^2$ のとき、$x$ と $y$ の最小公倍数を求めよ。

数論整数の性質素数因数分解最大公約数最小公倍数
2025/5/19

1. 問題の内容

pp を 3 以上の素数とする。自然数 x,y,kx, y, k があり、x2y2=kx^2 - y^2 = k を満たしている。
(1) x,yx, y が奇数のとき、kk は 8 の倍数となることを示す。
(2) k=4p2k = 4p^2 とするとき、x,yx, y をそれぞれ pp を用いて表せ。また、x1000x \le 1000 を満たすような x,yx, y の組 (x,y)(x, y) の個数を求めよ。
(3) k=4p2k = 4p^2 のとき、xxyy の最小公倍数を求めよ。

2. 解き方の手順

(1) x,yx, y が奇数のとき、x=2m+1,y=2n+1x = 2m+1, y = 2n+1 (m, n は整数) と表せる。
このとき、
x2y2=(2m+1)2(2n+1)2=(4m2+4m+1)(4n2+4n+1)=4m2+4m4n24n=4(m2+mn2n)=4(m(m+1)n(n+1))x^2 - y^2 = (2m+1)^2 - (2n+1)^2 = (4m^2 + 4m + 1) - (4n^2 + 4n + 1) = 4m^2 + 4m - 4n^2 - 4n = 4(m^2 + m - n^2 - n) = 4(m(m+1) - n(n+1))
m(m+1)m(m+1)n(n+1)n(n+1) はそれぞれ偶数であるから、m(m+1)=2a,n(n+1)=2bm(m+1) = 2a, n(n+1) = 2b (a, b は整数) と表せる。
よって、
x2y2=4(2a2b)=8(ab)x^2 - y^2 = 4(2a - 2b) = 8(a-b)
したがって、k=x2y2k = x^2 - y^2 は 8 の倍数となる。
(2) k=4p2k = 4p^2 のとき、x2y2=4p2x^2 - y^2 = 4p^2
(x+y)(xy)=4p2(x+y)(x-y) = 4p^2
x+yx+yxyx-y の偶奇は一致し、x+y>xy>0x+y > x-y > 0 である。
4p2=2p2p=4pp=2p22=4p24p^2 = 2p \cdot 2p = 4p \cdot p = 2p^2 \cdot 2 = 4 \cdot p^2 の可能性がある。
素数 pp は 3 以上の奇数なので、4p24p^2 は偶数であり、4p2=(2p)24p^2 = (2p)^2 であり、4p24p^2 の約数は、1,2,4,p,2p,4p,p2,2p2,4p21, 2, 4, p, 2p, 4p, p^2, 2p^2, 4p^2 となる。
(x+y,xy)=(2p,2p),(4p,p),(2p2,2),(4p2,1)(x+y, x-y) = (2p, 2p), (4p, p), (2p^2, 2), (4p^2, 1) の可能性がある。
しかし、x+yx+yxyx-y は偶奇が一致する必要があるので、
(x+y,xy)=(2p2,2)(x+y, x-y) = (2p^2, 2) のみ考える。
x+y=2p2,xy=2x+y = 2p^2, x-y = 2
2x=2p2+2x=p2+12x = 2p^2 + 2 \Rightarrow x = p^2 + 1
2y=2p22y=p212y = 2p^2 - 2 \Rightarrow y = p^2 - 1
x=p2+11000x = p^2 + 1 \le 1000 より、p2999p^2 \le 999
p99931.6p \le \sqrt{999} \approx 31.6
pp は 3 以上の素数なので、p=3,5,7,11,13,17,19,23,29,31p = 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31 の 10 個。
したがって、組 (x,y)(x, y) の個数は 10 個。
(3) k=4p2k = 4p^2 のとき、x=p2+1,y=p21x = p^2 + 1, y = p^2 - 1
x=p2+1=(p+1)(p1)+2x = p^2 + 1 = (p+1)(p-1) + 2
y=p21=(p+1)(p1)y = p^2 - 1 = (p+1)(p-1)
pp は素数なので、p+1,p1p+1, p-1 は偶数。
x=p2+1,y=(p1)(p+1)x = p^2 + 1, y = (p-1)(p+1)
最小公倍数 LCM(x,y)=xyGCD(x,y)LCM(x, y) = \frac{xy}{GCD(x, y)}
GCD(x,y)=GCD(p2+1,(p+1)(p1))=GCD(p2+1,p21)=GCD(p2+1(p21),p21)=GCD(2,p21)=2GCD(x, y) = GCD(p^2 + 1, (p+1)(p-1)) = GCD(p^2+1, p^2-1) = GCD(p^2+1-(p^2-1), p^2-1) = GCD(2, p^2-1) = 2
よって、LCM(x,y)=(p2+1)(p21)2=p412LCM(x, y) = \frac{(p^2+1)(p^2-1)}{2} = \frac{p^4 - 1}{2}

3. 最終的な答え

(1) kk は 8 の倍数となる。(証明終わり)
(2) x=p2+1,y=p21x = p^2 + 1, y = p^2 - 1, 組 (x,y)(x, y) の個数は 10 個。
(3) 最小公倍数は p412\frac{p^4 - 1}{2}

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