10個の品物の中に3個の不良品が入っている。この中から4個を同時に取り出すとき、取り出した4個に含まれる不良品の個数を確率変数 $X$ とする。$X$ の期待値と標準偏差を求めよ。

確率論・統計学確率変数期待値標準偏差組み合わせ
2025/5/20

1. 問題の内容

10個の品物の中に3個の不良品が入っている。この中から4個を同時に取り出すとき、取り出した4個に含まれる不良品の個数を確率変数 XX とする。XX の期待値と標準偏差を求めよ。

2. 解き方の手順

まず、確率変数 XX の取り得る値とその確率を求める。
XX は取り出した4個に含まれる不良品の個数なので、XX は 0, 1, 2, 3 のいずれかの値を取る。
取り出し方は全部で 10C4=10!4!6!=109874321=210{}_{10}C_4 = \frac{10!}{4!6!} = \frac{10 \cdot 9 \cdot 8 \cdot 7}{4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1} = 210 通り。
- X=0X = 0 のとき、不良品を1つも含まない。つまり、良品7個から4個を取り出す。その場合の数は 7C4=7!4!3!=765321=35{}_7C_4 = \frac{7!}{4!3!} = \frac{7 \cdot 6 \cdot 5}{3 \cdot 2 \cdot 1} = 35 通り。したがって、P(X=0)=35210=16P(X=0) = \frac{35}{210} = \frac{1}{6}
- X=1X = 1 のとき、不良品を1個、良品を3個取り出す。その場合の数は 3C17C3=37!3!4!=3765321=335=105{}_3C_1 \cdot {}_7C_3 = 3 \cdot \frac{7!}{3!4!} = 3 \cdot \frac{7 \cdot 6 \cdot 5}{3 \cdot 2 \cdot 1} = 3 \cdot 35 = 105 通り。したがって、P(X=1)=105210=12P(X=1) = \frac{105}{210} = \frac{1}{2}
- X=2X = 2 のとき、不良品を2個、良品を2個取り出す。その場合の数は 3C27C2=37!2!5!=37621=321=63{}_3C_2 \cdot {}_7C_2 = 3 \cdot \frac{7!}{2!5!} = 3 \cdot \frac{7 \cdot 6}{2 \cdot 1} = 3 \cdot 21 = 63 通り。したがって、P(X=2)=63210=310P(X=2) = \frac{63}{210} = \frac{3}{10}
- X=3X = 3 のとき、不良品を3個、良品を1個取り出す。その場合の数は 3C37C1=17=7{}_3C_3 \cdot {}_7C_1 = 1 \cdot 7 = 7 通り。したがって、P(X=3)=7210=130P(X=3) = \frac{7}{210} = \frac{1}{30}
次に、期待値 E(X)E(X) を求める。
E(X)=xiP(X=xi)=016+112+2310+3130=0+12+610+330=12+35+110=5+6+110=1210=65=1.2E(X) = \sum x_i P(X=x_i) = 0 \cdot \frac{1}{6} + 1 \cdot \frac{1}{2} + 2 \cdot \frac{3}{10} + 3 \cdot \frac{1}{30} = 0 + \frac{1}{2} + \frac{6}{10} + \frac{3}{30} = \frac{1}{2} + \frac{3}{5} + \frac{1}{10} = \frac{5+6+1}{10} = \frac{12}{10} = \frac{6}{5} = 1.2
次に、分散 V(X)V(X) を求める。
V(X)=E(X2)(E(X))2V(X) = E(X^2) - (E(X))^2
まず、E(X2)E(X^2) を求める。
E(X2)=xi2P(X=xi)=0216+1212+22310+32130=0+12+1210+930=12+65+310=5+12+310=2010=2E(X^2) = \sum x_i^2 P(X=x_i) = 0^2 \cdot \frac{1}{6} + 1^2 \cdot \frac{1}{2} + 2^2 \cdot \frac{3}{10} + 3^2 \cdot \frac{1}{30} = 0 + \frac{1}{2} + \frac{12}{10} + \frac{9}{30} = \frac{1}{2} + \frac{6}{5} + \frac{3}{10} = \frac{5+12+3}{10} = \frac{20}{10} = 2
V(X)=2(1.2)2=21.44=0.56V(X) = 2 - (1.2)^2 = 2 - 1.44 = 0.56
最後に、標準偏差 σ(X)\sigma(X) を求める。
σ(X)=V(X)=0.56=56100=1425=145\sigma(X) = \sqrt{V(X)} = \sqrt{0.56} = \sqrt{\frac{56}{100}} = \sqrt{\frac{14}{25}} = \frac{\sqrt{14}}{5}

3. 最終的な答え

期待値: E(X)=1.2E(X) = 1.2
標準偏差: σ(X)=145\sigma(X) = \frac{\sqrt{14}}{5}

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