減衰振動に関する問題です。 (a) 運動方程式 $m \frac{d^2x}{dt^2} = -kx - \eta \frac{dx}{dt}$ から、$\eta = 2m\gamma$, $\omega_0 = \sqrt{\frac{k}{m}}$ として、以下の2階線形斉次微分方程式を導出し、$\gamma$ の次元を求めます。 $$\frac{d^2x}{dt^2} + 2\gamma \frac{dx}{dt} + \omega_0^2 x(t) = 0$$ (b) 式(1)の解を $x = e^{-\gamma t} f(t)$ とおき、式(1)を満たすには $\ddot{f} + (\omega_0^2 - \gamma^2) f = 0$ となることを示します。 (c) 粘性抵抗が小さい場合 ($\omega_0 > \gamma$) に、$\omega_1 = \sqrt{\omega_0^2 - \gamma^2}$ という $\omega_1$ を定義します。$f(t)$ の従う式は単振動の式と同じになります。$x = e^{-\gamma t} f(t)$ の時間変化について一般解を求め、グラフの概形を図示します。 (d) 粘性抵抗が大きい場合 ($\gamma > \omega_0$) に、$f(t)$ の従う式は $\ddot{f} - \sigma^2 f = 0$ となり ($\sigma = \sqrt{\gamma^2 - \omega_0^2}$)、 $f(t) = e^{\sigma t}$ および $f(t) = e^{-\sigma t}$ がこの式を満たすことを示します。運動方程式の一般解が $x(t) = A e^{-(\gamma - \sigma)t} + B e^{-(\gamma + \sigma)t}$ であることを論じ、$x(t)$ のグラフの概形を図示します。 (e) $\gamma = \omega_0$ の場合、$f = at + b$ が解となることを論じ、$x(t)$ のグラフについて概形を図示します。 (f) 粘性抵抗係数 $\eta$ の値に対して、$x(t)$ のグラフの概形は定性的にどのように変化するか、$\omega_0 \geq \gamma$ の範囲と $\gamma > \omega_0$ の場合について論じます。 (g) 式(1)の解を $x = ae^{\lambda t}$ とおき、式(1)を満たすには $\lambda^2 + 2\gamma \lambda + \omega_0^2 = 0$ であることを示し、$\lambda$ の解を求めます。 (h) $\omega_0 > \gamma$ の場合について、上記の $\lambda$ に対して得られる $x$ の基本解の線形結合を用いることで、一般解を示し、これが(c)の結果と等しいことを論じます。
2025/5/21
## 問題の回答
1. 問題の内容
減衰振動に関する問題です。
(a) 運動方程式 から、, として、以下の2階線形斉次微分方程式を導出し、 の次元を求めます。
(b) 式(1)の解を とおき、式(1)を満たすには となることを示します。
(c) 粘性抵抗が小さい場合 () に、 という を定義します。 の従う式は単振動の式と同じになります。 の時間変化について一般解を求め、グラフの概形を図示します。
(d) 粘性抵抗が大きい場合 () に、 の従う式は となり ()、 および がこの式を満たすことを示します。運動方程式の一般解が であることを論じ、 のグラフの概形を図示します。
(e) の場合、 が解となることを論じ、 のグラフについて概形を図示します。
(f) 粘性抵抗係数 の値に対して、 のグラフの概形は定性的にどのように変化するか、 の範囲と の場合について論じます。
(g) 式(1)の解を とおき、式(1)を満たすには であることを示し、 の解を求めます。
(h) の場合について、上記の に対して得られる の基本解の線形結合を用いることで、一般解を示し、これが(c)の結果と等しいことを論じます。
2. 解き方の手順
(a)
運動方程式 を変形します。まず、両辺を で割ります。
, を代入すると、
移項して整理すると、
の次元は、 の係数であることから、時間の逆数 です。
(b)
を式(1)に代入します。
まず、 と を計算します。
これらを式(1)に代入すると、
で割って整理すると、
(c)
の場合、 と定義すると、 の従う式は となり、単振動の式と同じになります。
したがって、 の一般解は となります。
より、一般解は
グラフは、減衰しながら振動する関数となります。
(d)
の場合、 と定義すると、 の従う式は となります。
を代入すると、 となり、解となります。
同様に、 を代入すると、 となり、解となります。
したがって、 の一般解は となります。
より、一般解は
グラフは、指数関数的に減衰する関数の和となります。
(e)
の場合、 を に代入します。
なので、となります。より、なので、は任意の値をとることができます。
より、となります。
グラフは、が増加するにつれて、により減衰していきます。
(f)
の場合、減衰振動となり、 の場合、過減衰となります。 が小さいほど振動が大きくなり、 が大きいほど減衰が早くなります。
(g)
を式(1)に代入すると、
で割ると、
の解は、解の公式より
(h)
の場合、 となります。
したがって、基本解は と となります。
線形結合を用いると、一般解は
オイラーの公式 を用いると、
, とおくと、
これは(c)の結果と同じです。
3. 最終的な答え
(a) 、 の次元は
(b)
(c)
(d)
(e)
(f) の場合、減衰振動。 の場合、過減衰。
(g) ,
(h) (これは(c)の結果と同じ)