(1) 0 (零行列)
零行列は逆行列を持ちません。なぜなら、任意の行列 A に対して、0A = A0 = 0 となり、単位行列 I になることはないからです。
(2) E (単位行列)
単位行列 E の逆行列は E 自身です。なぜなら、EE = E = I だからです。
(3) 正則な行列 A, B に対して、AB
A と B が正則なので、それぞれの逆行列 A−1 と B−1 が存在します。 積 AB の逆行列は (AB)−1=B−1A−1 です。 なぜなら、(AB)(B−1A−1)=A(BB−1)A−1=AIA−1=AA−1=I であり、同様に (B−1A−1)(AB)=I となるからです。 (4) 正則な行列 A, B に対して、A + B
A + B の逆行列は一般的には求められません。
A と B が正則であっても、A + B が正則であるとは限りません。また、A + B が正則だったとしても、A−1 と B−1 を用いて簡単に表すことはできません。 与えられた条件だけでは何もわかりません。
(5) (12) この行列は 1x2 の行列であり、正方行列ではないため、逆行列を持ちません。
(6) (112−103) この行列は 2x3 の行列であり、正方行列ではないため、逆行列を持ちません。
(7) (cosθsinθ−sinθcosθ) この行列を回転行列と呼びます。
逆行列は (cosθ−sinθsinθcosθ) です。 確認:(cosθsinθ−sinθcosθ)(cosθ−sinθsinθcosθ)=(cos2θ+sin2θsinθcosθ−cosθsinθcosθsinθ−sinθcosθsin2θ+cos2θ)=(1001) (8) 2025 (スカラー)
スカラー 2025 を 1x1 の行列とみなすと、逆数は 20251 です。 (9) (3145) 行列 A=(acbd) の逆行列は A−1=ad−bc1(d−c−ba) です。 この行列の行列式は (3)(5) - (4)(1) = 15 - 4 = 11 です。
よって、逆行列は 111(5−1−43)=(5/11−1/11−4/113/11) です。 (10) (4−6−69) この行列の行列式は (4)(9) - (-6)(-6) = 36 - 36 = 0 です。
行列式が 0 なので、逆行列を持ちません。
(11) 2−32−14−1313 この行列の1行目と3行目が同じなので、行列式は0です。したがって、逆行列を持ちません。
(12) 2−3−1−142312 行列式を計算します:
2(4⋅2−1⋅2)−(−1)(−3⋅2−1⋅(−1))+3(−3⋅2−4⋅(−1))=2(8−2)+1(−6+1)+3(−6+4)=2(6)+1(−5)+3(−2)=12−5−6=1 余因子行列を計算します:
C11=4⋅2−1⋅2=6 C12=−(−3⋅2−1⋅(−1))=5 C13=−3⋅2−4⋅(−1)=−2 C21=−(−1⋅2−3⋅2)=8 C22=2⋅2−3⋅(−1)=7 C23=−(2⋅2−(−1)⋅(−1))=−3 C31=−1⋅1−3⋅4=−13 C32=−(2⋅1−3⋅(−3))=−11 C33=2⋅4−(−1)⋅(−3)=5 余因子行列は 68−1357−11−2−35 転置余因子行列(随伴行列)は 65−287−3−13−115 逆行列は 1165−287−3−13−115=65−287−3−13−115