与えられた4つの4次元ベクトル $a_1, a_2, a_3, b$ に対して、以下の問いに答えます。 (1) 3次元ベクトル $x = (x, y, z)$ に対し、$f(x) = xa_1 + ya_2 + za_3$ で定義される線形写像 $f$ の表現行列を求めます。 (2) $f(x) = b$ を満たす $x$ が高々一つしか存在しないための条件を求めます。 (3) (2)の条件が満たされないとき、 (a) $f(x) = b$ が解を持つ条件とその時の解を求めます。 (b) $a_1, a_2, a_3$ が満たす非自明な関係式を一つ挙げ、この関係式が $a_1, a_2, a_3$ の配置について何を表しているか説明します。 (c) (a)で答えた条件を満たす $b$ 全体がなす図形を求めます。 (d) (2)の条件を解き、(任意定数を取り換えることで) (c)の結果を確かめます。 (4) (2)の条件が満たされるか否かに関わらず、$f(x)=b$は一般に必ず解を持つか述べます。

代数学線形代数線形写像表現行列線形独立rank連立一次方程式4次元ベクトル
2025/5/26

1. 問題の内容

与えられた4つの4次元ベクトル a1,a2,a3,ba_1, a_2, a_3, b に対して、以下の問いに答えます。
(1) 3次元ベクトル x=(x,y,z)x = (x, y, z) に対し、f(x)=xa1+ya2+za3f(x) = xa_1 + ya_2 + za_3 で定義される線形写像 ff の表現行列を求めます。
(2) f(x)=bf(x) = b を満たす xx が高々一つしか存在しないための条件を求めます。
(3) (2)の条件が満たされないとき、
(a) f(x)=bf(x) = b が解を持つ条件とその時の解を求めます。
(b) a1,a2,a3a_1, a_2, a_3 が満たす非自明な関係式を一つ挙げ、この関係式が a1,a2,a3a_1, a_2, a_3 の配置について何を表しているか説明します。
(c) (a)で答えた条件を満たす bb 全体がなす図形を求めます。
(d) (2)の条件を解き、(任意定数を取り換えることで) (c)の結果を確かめます。
(4) (2)の条件が満たされるか否かに関わらず、f(x)=bf(x)=bは一般に必ず解を持つか述べます。

2. 解き方の手順

(1) 線形写像 f(x)=xa1+ya2+za3f(x) = xa_1 + ya_2 + za_3 の表現行列を AA とすると、A=(a1 a2 a3)A = (a_1 \ a_2 \ a_3) となります。したがって、
A=(22410321a314)A = \begin{pmatrix} 2 & 2 & 4 \\ -1 & 0 & 3 \\ -2 & 1 & a \\ -3 & -1 & 4 \end{pmatrix}
(2) f(x)=bf(x) = b の解が高々一つしかないための条件は、AA の列ベクトル a1,a2,a3a_1, a_2, a_3 が線形独立であることです。つまり、rank(A)=3\text{rank}(A) = 3 となることです。
AAの第1列、第2列、第3列からなる小行列式のうち、少なくとも一つが0でないことが条件です。例えば、上から3行からなる正方行列の行列式を計算すると、
22410321a=2(03)2(a+6)+4(10)=6+2a124=2a22\begin{vmatrix} 2 & 2 & 4 \\ -1 & 0 & 3 \\ -2 & 1 & a \end{vmatrix} = 2(0-3) - 2(-a+6) + 4(-1-0) = -6 + 2a - 12 -4 = 2a - 22.
2a2202a - 22 \neq 0 つまり、a11a \neq 11のとき、解が高々一つしかありません。
(3) (a) (2)の条件が満たされないとき、つまり a=11a=11 のとき、f(x)=bf(x)=b が解を持つ条件を求めます。AAbb を加えた拡大行列 (A b)(A \ b) を作ります。解を持つ条件は rank(A)=rank(A b)\text{rank}(A) = \text{rank}(A \ b) となることです。
A=(2241032111314)A = \begin{pmatrix} 2 & 2 & 4 \\ -1 & 0 & 3 \\ -2 & 1 & 11 \\ -3 & -1 & 4 \end{pmatrix}
rank(A)<3\text{rank}(A) < 3 なので、解を持つためには bba1,a2,a3a_1, a_2, a_3 の線形結合で表される必要があります。
f(x)=bf(x) = b は以下の連立一次方程式と同値です。
2x+2y+4z=b12x + 2y + 4z = b_1
x+0y+3z=b2-x + 0y + 3z = b_2
2x+y+11z=b3-2x + y + 11z = b_3
3xy+4z=b4-3x - y + 4z = b_4
この連立一次方程式が解を持つ条件を求めます。
2x+2y+4z=b12x + 2y + 4z = b_1
x=3zb2x = 3z - b_2
2(3zb2)+y+11z=b3-2(3z - b_2) + y + 11z = b_3
3(3zb2)y+4z=b4-3(3z - b_2) - y + 4z = b_4
y=b3+6z2b211z=b32b25zy = b_3 + 6z - 2b_2 - 11z = b_3 - 2b_2 -5z
9z+3b2(b32b25z)+4z=b4-9z + 3b_2 - (b_3 - 2b_2 - 5z) + 4z = b_4
9z+3b2b3+2b2+5z+4z=b4-9z + 3b_2 - b_3 + 2b_2 + 5z + 4z = b_4
5b2b3=b45b_2 - b_3 = b_4
b45b2+b3=0b_4 - 5b_2 + b_3 = 0
2(3zb2)+2(b32b25z)+4z=b12(3z - b_2) + 2(b_3 - 2b_2 - 5z) + 4z = b_1
6z2b2+2b34b210z+4z=b16z - 2b_2 + 2b_3 - 4b_2 - 10z + 4z = b_1
2b36b2=b12b_3 - 6b_2 = b_1
b1+6b22b3=0b_1 + 6b_2 - 2b_3 = 0
解を持つ条件は、 b1+6b22b3=0b_1 + 6b_2 - 2b_3 = 0 かつ b45b2+b3=0b_4 - 5b_2 + b_3 = 0 が成り立つことです。
このとき、x=3zb2x = 3z - b_2, y=b32b25zy = b_3 - 2b_2 - 5z なので、解は (3zb2,b32b25z,z)(3z - b_2, b_3 - 2b_2 - 5z, z) (zは任意)となります。
(3) (b) a=11a=11のとき、a1,a2,a3a_1, a_2, a_3 が満たす関係式を求めます。
a3=αa1+βa2a_3 = \alpha a_1 + \beta a_2 とおくと、
(43114)=α(2123)+β(2011)\begin{pmatrix} 4 \\ 3 \\ 11 \\ 4 \end{pmatrix} = \alpha \begin{pmatrix} 2 \\ -1 \\ -2 \\ -3 \end{pmatrix} + \beta \begin{pmatrix} 2 \\ 0 \\ 1 \\ -1 \end{pmatrix}
2α+2β=42\alpha + 2\beta = 4
α=3-\alpha = 3
2α+β=11-2\alpha + \beta = 11
3αβ=4-3\alpha - \beta = 4
α=3\alpha = -3
2(3)+2β=42(-3) + 2\beta = 4, 2β=102\beta = 10, β=5\beta = 5
2(3)+5=11-2(-3) + 5 = 11
3(3)5=4-3(-3) - 5 = 4
したがって、a3=3a1+5a2a_3 = -3a_1 + 5a_2
3a15a2+a3=03a_1 - 5a_2 + a_3 = 0
この関係式は、a1,a2,a3a_1, a_2, a_3 が同一平面上にあることを表しています。
(3) (c) a=11a=11のとき、(a)の条件は b1+6b22b3=0b_1 + 6b_2 - 2b_3 = 0 かつ b45b2+b3=0b_4 - 5b_2 + b_3 = 0でした。これは4次元空間内の2つの超平面の交わりを表すので、2次元平面となります。
(3) (d) a=11a = 11のとき AAの階数は2であり、解を持つためには条件 b1+6b22b3=0b_1+6b_2-2b_3=0 かつ b45b2+b3=0b_4-5b_2+b_3 = 0 が必要です。
解は x=3zb2,y=b32b25zx = 3z - b_2, y = b_3 - 2b_2 - 5z より、
x=(3zb2)a1+(b32b25z)a2+za3x = (3z - b_2)a_1 + (b_3 - 2b_2 - 5z)a_2 + za_3
x=z(3a15a2+a3)b2a1+(b32b2)a2x = z(3a_1 - 5a_2 + a_3) - b_2a_1 + (b_3 - 2b_2)a_2
x=b2a1+(b32b2)a2x = - b_2a_1 + (b_3 - 2b_2)a_2 (∵ 3a15a2+a3=03a_1 - 5a_2 + a_3 = 0)
(4) f(x)=bf(x)=bが一般に必ず解を持つかどうか。
(2)でa11a \neq 11 の時、AAのランクは3なので、解が一意に定まります。
(3)でa=11a = 11 の時、解を持つための条件は、b1+6b22b3=0b_1 + 6b_2 - 2b_3 = 0 かつ b45b2+b3=0b_4 - 5b_2 + b_3 = 0でした。したがって、bb がこれらの条件を満たさない場合、解は存在しません。
結論として、方程式f(x)=bf(x)=bは、一般には必ず解を持つとは限りません。

3. 最終的な答え

(1) (22410321a314)\begin{pmatrix} 2 & 2 & 4 \\ -1 & 0 & 3 \\ -2 & 1 & a \\ -3 & -1 & 4 \end{pmatrix}
(2) a11a \neq 11
(3) (a) b1+6b22b3=0b_1 + 6b_2 - 2b_3 = 0 かつ b45b2+b3=0b_4 - 5b_2 + b_3 = 0, 解は (3zb2,b32b25z,z)(3z - b_2, b_3 - 2b_2 - 5z, z) (zは任意)
(b) 3a15a2+a3=03a_1 - 5a_2 + a_3 = 0, a1,a2,a3a_1, a_2, a_3 は同一平面上にある
(c) 2次元平面
(d) 確認済み
(4) 一般には必ず解を持つとは限らない

「代数学」の関連問題

次の式を計算します。 $\frac{8}{3} \sqrt[6]{9} + \sqrt[3]{-24} + \sqrt[3]{\frac{1}{9}}$

根号式の計算指数
2025/5/27

6. $-\frac{2}{3}x^2y \div \frac{1}{3}x$ を計算する。 7. $a=-3$, $b=2$ のとき、$6(a+2b) - 5(2a+3b)$ の式の値を求める。 8...

式の計算単項式多項式代入
2025/5/27

問題は、行列に対する基本変形(行に関する操作)についてです。具体的には、以下の3つの操作に関する問題があります。 * 操作1:ある行を定数倍する。 * 操作2:ある行の定数倍を別の行に足す。 ...

線形代数行列基本変形一次独立線形変換
2025/5/27

不等式 $4 + \frac{1}{5}(n-4) > \frac{1}{2}n$ を満たす最大の自然数 $n$ を求める。

不等式一次不等式自然数
2025/5/27

## 問題の回答

計算式変形方程式
2025/5/27

与えられた分数式の和を計算する問題です。 与えられた式は $\frac{x-2}{2x^2-5x+3} + \frac{3x-1}{2x^2+x-6} + \frac{2x-5}{x^2+x-2}$ ...

分数式因数分解式の計算代数
2025/5/27

与えられた2組の行列について、それぞれの組が行列の積に関して可換であるかどうかを調べる問題です。 (1) の行列は $ \begin{bmatrix} 0 & 1 & 0 \\ 1 & 0 & a \...

行列行列の積可換線形代数
2025/5/27

3つの変数A, B, Cに関する以下の連立方程式を解く問題です。 $A \div B \div C = 5$ $A \div B - C = 12$ $A - B = 84$

連立方程式代数計算
2025/5/27

与えられた式 $\frac{x}{x+1} + \frac{3x-1}{x^2 - 2x}$ を簡略化して、最も簡単な形にすることを目標とします。

式の簡略化分数式代数
2025/5/27

画像にある数学の問題を解きます。具体的には、 1. $(-2) \times (-6)$ の計算

四則演算式の展開連立方程式反比例角度
2025/5/27