問題1: 関数 $y = \frac{1}{x}$ が $x = 1$ で連続であることを、$\epsilon$-$\delta$ 論法を用いて示してください。 問題2: 関数 $f: \mathbb{R} \to \mathbb{R}$ と関数 $g: \mathbb{R} \to \mathbb{R}$ の合成関数 $g \circ f: \mathbb{R} \to \mathbb{R}$ について、以下の命題が正しければ証明し、正しくない場合は反例を挙げてください。 (1) $g \circ f$ が連続関数ならば、$f$ も連続関数である。 (2) $g \circ f$ が連続関数ならば、$g$ も連続関数である。

解析学連続性ε-δ論法合成関数反例
2025/5/27

1. 問題の内容

問題1: 関数 y=1xy = \frac{1}{x}x=1x = 1 で連続であることを、ϵ\epsilon-δ\delta 論法を用いて示してください。
問題2: 関数 f:RRf: \mathbb{R} \to \mathbb{R} と関数 g:RRg: \mathbb{R} \to \mathbb{R} の合成関数 gf:RRg \circ f: \mathbb{R} \to \mathbb{R} について、以下の命題が正しければ証明し、正しくない場合は反例を挙げてください。
(1) gfg \circ f が連続関数ならば、ff も連続関数である。
(2) gfg \circ f が連続関数ならば、gg も連続関数である。

2. 解き方の手順

問題1:
ϵ\epsilon-δ\delta 論法で連続性を示すには、任意の ϵ>0\epsilon > 0 に対して、ある δ>0\delta > 0 が存在し、x1<δ|x - 1| < \delta ならば f(x)f(1)<ϵ|f(x) - f(1)| < \epsilon が成り立つことを示せばよい。
f(x)=1xf(x) = \frac{1}{x} なので、f(1)=1f(1) = 1 である。よって、f(x)f(1)=1x1=1xx=x1x|f(x) - f(1)| = |\frac{1}{x} - 1| = |\frac{1 - x}{x}| = \frac{|x - 1|}{|x|} となる。
x1<δ|x - 1| < \delta と仮定する。まず、δ12\delta \leq \frac{1}{2} となるように δ\delta を小さく取る。このとき、112<x<1+121 - \frac{1}{2} < x < 1 + \frac{1}{2} となり、12<x<32\frac{1}{2} < x < \frac{3}{2} である。
したがって、1x<2\frac{1}{|x|} < 2 である。
よって、f(x)f(1)=x1x<2x1<2δ|f(x) - f(1)| = \frac{|x - 1|}{|x|} < 2|x - 1| < 2\delta となる。
ここで、2δϵ2\delta \leq \epsilon となるように δ\delta を選べばよい。すなわち、δϵ2\delta \leq \frac{\epsilon}{2} である。
したがって、δ=min{12,ϵ2}\delta = \min\{\frac{1}{2}, \frac{\epsilon}{2}\} とすれば、x1<δ|x - 1| < \delta ならば f(x)f(1)<ϵ|f(x) - f(1)| < \epsilon が成り立つ。
問題2:
(1) この命題は正しくない。反例を示す。
f(x)={0(x0)1(x=0)f(x) = \begin{cases} 0 & (x \neq 0) \\ 1 & (x = 0) \end{cases}
g(x)=0g(x) = 0
と定義する。
このとき、g(f(x))=0g(f(x)) = 0 であり、これは連続関数である。
しかし、f(x)f(x)x=0x=0 で連続でない。
(2) この命題も正しくない。反例を示す。
f(x)={0(x0)1(x<0)f(x) = \begin{cases} 0 & (x \geq 0) \\ 1 & (x < 0) \end{cases}
g(x)={0(x=0)1(x0)g(x) = \begin{cases} 0 & (x = 0) \\ 1 & (x \neq 0) \end{cases}
と定義する。
このとき、g(f(x))=1g(f(x)) = 1 であり、これは連続関数である。
しかし、g(x)g(x)x=0x=0 で連続でない。

3. 最終的な答え

問題1:
任意の ϵ>0\epsilon > 0 に対して、δ=min{12,ϵ2}\delta = \min\{\frac{1}{2}, \frac{\epsilon}{2}\} とすれば、x1<δ|x - 1| < \delta ならば f(x)f(1)<ϵ|f(x) - f(1)| < \epsilon が成り立つので、y=1xy = \frac{1}{x}x=1x = 1 で連続である。
問題2:
(1) 正しくない。反例は、f(x)={0(x0)1(x=0)f(x) = \begin{cases} 0 & (x \neq 0) \\ 1 & (x = 0) \end{cases}, g(x)=0g(x) = 0
(2) 正しくない。反例は、f(x)={0(x0)1(x<0)f(x) = \begin{cases} 0 & (x \geq 0) \\ 1 & (x < 0) \end{cases}, g(x)={0(x=0)1(x0)g(x) = \begin{cases} 0 & (x = 0) \\ 1 & (x \neq 0) \end{cases}

「解析学」の関連問題

定積分 $\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} x^2 \sin x \, dx$ を計算します。

定積分部分積分三角関数
2025/5/27

$f(x)$ と $g(x)$ は区間 $[a, b]$ で連続な関数である。 $f(a) > g(a)$ かつ $f(b) < g(b)$ であるとき、方程式 $f(x) = g(x)$ は $a ...

中間値の定理連続関数方程式の解
2025/5/27

方程式 $\sin x + x \cos x + 1 = 0$ が、区間 $0 < x < \pi$ で少なくとも一つの実数解を持つことを示す問題です。

中間値の定理三角関数実数解連続関数
2025/5/27

$\theta$ の範囲が $-\pi \le \theta < \pi$ のとき、次の(1)の方程式と(2)の不等式を解く問題です。 (1) $2\cos^2\theta + \sqrt{3}\si...

三角関数三角方程式三角不等式解の公式tansincos
2025/5/27

与えられた問題は、極限を計算することです。 $$ \lim_{x \to 2} \frac{x^2}{x-2} $$ この極限を求めます。

極限関数の極限発散
2025/5/27

与えられた積分 $\int \frac{1}{4x^2 + 1} dx$ を計算します。

積分逆正接関数置換積分
2025/5/27

$t$ は0以下の実数とし、$S(t) = \int_{-1}^{0} x|x-t| dx$ とする。 $-1 \le t \le 0$ のとき、$S(t) = \frac{1}{\boxed{1}}...

定積分絶対値積分計算
2025/5/27

この問題は、以下の3つのパートに分かれています。 (1) 数列 $\{a_n\}_{n=1}^{\infty}$ に関する問題です。 (a) 数列 $\{a_n\}_{n=1}^{\infty}$...

数列級数関数の連続性関数の微分可能性導関数合成関数の微分対数微分
2025/5/27

与えられた3つの定積分を計算します。 (1) $\int_{-1}^{1} \sqrt{1-x^2} dx$ (2) $\int_{-1}^{\sqrt{3}} \sqrt{4-x^2} dx$ (3...

定積分積分置換積分
2025/5/27

関数 $y = -2x + 3$ の導関数を求めます。

導関数微分一次関数
2025/5/27