問題6.3.1：次の数列の極限値を求め、また $|a_n - \alpha| < 10^{-2}$ ($n \geq N$)が成り立つための$N$の条件を調べよ。ただし$\alpha \in \mathbb{R}$とする。 (1) $a_n = 2^{-n}$ (2) $a_n = \frac{n}{n+1}$ (3) $a_1 = a, a_{n+1} = \frac{a_n}{2} + 1$

1. 問題の内容

問題6.3.1：次の数列の極限値を求め、また $|a_n - \alpha| < 10^{-2}$ ($n \geq N$)が成り立つための$N$の条件を調べよ。ただし$\alpha \in \mathbb{R}$とする。

(1) $a_n = 2^{-n}$

(2) $a_n = \frac{n}{n+1}$

(3) $a_1 = a, a_{n+1} = \frac{a_n}{2} + 1$

2. 解き方の手順

(1) $a_n = 2^{-n}$の場合:

極限値は0である。つまり$\alpha = 0$。

$|a_n - \alpha| = |2^{-n} - 0| = 2^{-n} < 10^{-2}$を満たす$N$を求める。

$2^{-n} < 10^{-2}$は$2^n > 10^2 = 100$と同値。

$2^6 = 64$, $2^7 = 128$なので、$n \geq 7$であれば良い。よって、$N = 7$。

(2) $a_n = \frac{n}{n+1}$の場合:

極限値は1である。つまり$\alpha = 1$。

$|a_n - \alpha| = |\frac{n}{n+1} - 1| = |\frac{n - (n+1)}{n+1}| = |\frac{-1}{n+1}| = \frac{1}{n+1} < 10^{-2}$を満たす$N$を求める。

$\frac{1}{n+1} < 10^{-2}$は$n+1 > 10^2 = 100$と同値。

よって、$n > 99$。$n \geq 100$であれば良い。よって、$N = 100$。

(3) $a_1 = a, a_{n+1} = \frac{a_n}{2} + 1$の場合:

もし極限$\alpha$が存在するとすれば、漸化式より

$\alpha = \frac{\alpha}{2} + 1$を満たす必要がある。

これを解くと、$\frac{\alpha}{2} = 1$より、$\alpha = 2$。

$|a_n - 2| < 10^{-2}$となる$N$を求める。

$b_n = a_n - 2$とおくと、$b_{n+1} = a_{n+1} - 2 = \frac{a_n}{2} + 1 - 2 = \frac{a_n}{2} - 1 = \frac{a_n - 2}{2} = \frac{b_n}{2}$となる。

したがって、$b_n = \frac{b_1}{2^{n-1}}$。よって、$a_n - 2 = \frac{a-2}{2^{n-1}}$

$|a_n - 2| = |\frac{a-2}{2^{n-1}}| < 10^{-2}$を満たす$N$を求める。

$\frac{|a-2|}{2^{n-1}} < 10^{-2}$は$2^{n-1} > 100|a-2|$と同値。

$n-1 > \log_2(100|a-2|)$。よって、$n > \log_2(100|a-2|) + 1$。

$N = \lceil \log_2(100|a-2|) + 1 \rceil$ ($\lceil x \rceil$ は $x$ 以上の最小の整数)。

3. 最終的な答え

(1) 極限値: 0, $N = 7$

(2) 極限値: 1, $N = 100$

(3) 極限値: 2, $N = \lceil \log_2(100|a-2|) + 1 \rceil$