$n$ を2以上の整数とする。$\alpha = \cos \frac{2\pi}{n} + i \sin \frac{2\pi}{n}$ のとき、1の $n$ 乗根が $1, \alpha, \alpha^2, \alpha^3, \dots, \alpha^{n-1}$ で与えられることを示せ。

代数学複素数1のn乗根ド・モアブルの定理代数学の基本定理
2025/5/27

1. 問題の内容

nn を2以上の整数とする。α=cos2πn+isin2πn\alpha = \cos \frac{2\pi}{n} + i \sin \frac{2\pi}{n} のとき、1の nn 乗根が 1,α,α2,α3,,αn11, \alpha, \alpha^2, \alpha^3, \dots, \alpha^{n-1} で与えられることを示せ。

2. 解き方の手順

まず、α\alpha が1の nn 乗根であることを示す。次に、1,α,α2,,αn11, \alpha, \alpha^2, \dots, \alpha^{n-1} が互いに異なることを示す。最後に、複素数平面上の単位円において、これらの点が等間隔に配置されていることを示す。
ステップ1: α\alpha が1の nn 乗根であることを示す。
ド・モアブルの定理より、
αn=(cos2πn+isin2πn)n=cos(n2πn)+isin(n2πn)=cos2π+isin2π=1+0i=1 \alpha^n = \left( \cos \frac{2\pi}{n} + i \sin \frac{2\pi}{n} \right)^n = \cos \left( n \cdot \frac{2\pi}{n} \right) + i \sin \left( n \cdot \frac{2\pi}{n} \right) = \cos 2\pi + i \sin 2\pi = 1 + 0i = 1
したがって、α\alpha は1の nn 乗根である。
ステップ2: 1,α,α2,,αn11, \alpha, \alpha^2, \dots, \alpha^{n-1} が互いに異なることを示す。
0j<kn10 \le j < k \le n-1 であるような整数 j,kj, k を考える。もし αj=αk\alpha^j = \alpha^k ならば、αkj=1\alpha^{k-j} = 1 である。ここで、 0<kjn10 < k-j \le n-1 である。
αkj=cos2π(kj)n+isin2π(kj)n=1\alpha^{k-j} = \cos \frac{2\pi (k-j)}{n} + i \sin \frac{2\pi (k-j)}{n} = 1 となるためには、2π(kj)n=2πm\frac{2\pi (k-j)}{n} = 2\pi m となる整数 mm が存在する必要がある。すなわち、kj=nmk-j = nm。しかし、0<kjn10 < k-j \le n-1 より、kjk-jnn の整数倍になりえない。したがって、αjαk\alpha^j \ne \alpha^k である。
よって、1,α,α2,,αn11, \alpha, \alpha^2, \dots, \alpha^{n-1} は互いに異なる。
ステップ3: xn=1x^n = 1 の解は nn 個存在し、それは 1,α,α2,,αn11, \alpha, \alpha^2, \dots, \alpha^{n-1} であることを示す。
方程式 xn=1x^n = 1 は、複素数平面上で nn 個の解を持つ。
ステップ1とステップ2の結果より、1,α,α2,,αn11, \alpha, \alpha^2, \dots, \alpha^{n-1} は互いに異なる nn 個の解であることがわかった。したがって、これらが1の nn 乗根のすべてである。

3. 最終的な答え

nn を2以上の整数とする。α=cos2πn+isin2πn\alpha = \cos \frac{2\pi}{n} + i \sin \frac{2\pi}{n} のとき、1の nn 乗根は 1,α,α2,,αn11, \alpha, \alpha^2, \dots, \alpha^{n-1} で与えられる。

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