3つの容器がコックでつながっており、最初の状態からコックを開閉していくことで、容器内の気体の圧力と絶対温度がどのように変化するかを求める問題です。 (1) 容器1と容器2に封入されている気体の絶対温度をそれぞれ求める。 (2) コックBを閉じたままコックAを開いたとき、容器1と2の気体の圧力と絶対温度を求める。 (3) 次にコックAを開いたままコックBを開いたとき、容器1、2、3の気体の圧力と絶対温度を求める。

応用数学理想気体状態方程式熱力学エネルギー保存則
2025/5/29

1. 問題の内容

3つの容器がコックでつながっており、最初の状態からコックを開閉していくことで、容器内の気体の圧力と絶対温度がどのように変化するかを求める問題です。
(1) 容器1と容器2に封入されている気体の絶対温度をそれぞれ求める。
(2) コックBを閉じたままコックAを開いたとき、容器1と2の気体の圧力と絶対温度を求める。
(3) 次にコックAを開いたままコックBを開いたとき、容器1、2、3の気体の圧力と絶対温度を求める。

2. 解き方の手順

(1) 理想気体の状態方程式 PV=nRTPV=nRT を用いて、容器1と容器2の絶対温度をそれぞれ求めます。
容器1: P1V1=n1RT1P_1V_1 = n_1RT_1 より、T1=P1V1n1RT_1 = \frac{P_1V_1}{n_1R}
容器2: P2V2=n2RT2P_2V_2 = n_2RT_2 より、T2=P2V2n2RT_2 = \frac{P_2V_2}{n_2R}
(2) コックAを開くと、容器1と容器2の気体が混合します。このとき、気体の総物質量は n1+n2n_1 + n_2 となり、体積は V1+V2V_1 + V_2 となります。混合後の圧力と温度をそれぞれ PP'TT' とします。
エネルギー保存則より、混合後の内部エネルギーは混合前の内部エネルギーの和に等しくなります。単原子理想気体の内部エネルギーは U=32nRTU=\frac{3}{2}nRT で与えられるので、
32(n1+n2)RT=32n1RT1+32n2RT2\frac{3}{2}(n_1 + n_2)RT' = \frac{3}{2}n_1RT_1 + \frac{3}{2}n_2RT_2
T=n1T1+n2T2n1+n2T' = \frac{n_1T_1 + n_2T_2}{n_1 + n_2}
T1=P1V1n1RT_1 = \frac{P_1V_1}{n_1R}T2=P2V2n2RT_2 = \frac{P_2V_2}{n_2R}を代入して、
T=n1P1V1n1R+n2P2V2n2Rn1+n2=P1V1R+P2V2Rn1+n2=P1V1+P2V2R(n1+n2)T' = \frac{n_1 \frac{P_1V_1}{n_1R} + n_2 \frac{P_2V_2}{n_2R}}{n_1+n_2} = \frac{\frac{P_1V_1}{R} + \frac{P_2V_2}{R}}{n_1+n_2} = \frac{P_1V_1+P_2V_2}{R(n_1+n_2)}
混合気体の状態方程式より、P(V1+V2)=(n1+n2)RTP'(V_1 + V_2) = (n_1 + n_2)RT'
P=(n1+n2)RTV1+V2P' = \frac{(n_1 + n_2)RT'}{V_1 + V_2}
T=P1V1+P2V2R(n1+n2)T' = \frac{P_1V_1+P_2V_2}{R(n_1+n_2)}を代入して、
P=(n1+n2)RV1+V2×P1V1+P2V2R(n1+n2)=P1V1+P2V2V1+V2P' = \frac{(n_1+n_2)R}{V_1+V_2} \times \frac{P_1V_1+P_2V_2}{R(n_1+n_2)} = \frac{P_1V_1+P_2V_2}{V_1+V_2}
(3) 次にコックBを開くと、容器1、2、3の気体が混合します。このとき、気体の総物質量は n1+n2n_1 + n_2 となり、体積は V1+V2+V3V_1 + V_2 + V_3 となります。混合後の圧力と温度をそれぞれ PP''TT'' とします。
エネルギー保存則より、
32(n1+n2)RT=32n1RT1+32n2RT2\frac{3}{2}(n_1 + n_2)RT'' = \frac{3}{2}n_1RT_1 + \frac{3}{2}n_2RT_2
これは(2)と同じ結果なので、T=TT''=T'
混合気体の状態方程式より、P(V1+V2+V3)=(n1+n2)RTP''(V_1 + V_2 + V_3) = (n_1 + n_2)RT''
P=(n1+n2)RTV1+V2+V3P'' = \frac{(n_1 + n_2)RT''}{V_1 + V_2 + V_3}
T=P1V1+P2V2R(n1+n2)T'' = \frac{P_1V_1+P_2V_2}{R(n_1+n_2)}を代入して、
P=(n1+n2)RV1+V2+V3×P1V1+P2V2R(n1+n2)=P1V1+P2V2V1+V2+V3P'' = \frac{(n_1+n_2)R}{V_1+V_2+V_3} \times \frac{P_1V_1+P_2V_2}{R(n_1+n_2)} = \frac{P_1V_1+P_2V_2}{V_1+V_2+V_3}

3. 最終的な答え

(1) 容器1の絶対温度: T1=P1V1n1RT_1 = \frac{P_1V_1}{n_1R}
容器2の絶対温度: T2=P2V2n2RT_2 = \frac{P_2V_2}{n_2R}
(2) 圧力: P=P1V1+P2V2V1+V2P' = \frac{P_1V_1 + P_2V_2}{V_1 + V_2}
絶対温度: T=P1V1+P2V2R(n1+n2)T' = \frac{P_1V_1+P_2V_2}{R(n_1+n_2)}
(3) 圧力: P=P1V1+P2V2V1+V2+V3P'' = \frac{P_1V_1 + P_2V_2}{V_1 + V_2 + V_3}
絶対温度: T=P1V1+P2V2R(n1+n2)T'' = \frac{P_1V_1+P_2V_2}{R(n_1+n_2)}

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