ヘリウムガスを断熱準静的に体積が半分になるまで圧縮したときの、比熱比、温度変化、圧力変化、および水素ガスを使った場合との圧力変化の違いについて答える問題です。 (1) ヘリウムガスの比熱比 $\gamma$ を求める。 (2) 1. 温度が何倍になるか求める。 2. 圧力が何倍になるか求める。 (3) ヘリウムの代わりに水素に対して同様の圧縮を行ったとき、圧縮後の圧力はヘリウムと比べてどうなるか答える。

応用数学熱力学理想気体断熱過程比熱比
2025/5/31

1. 問題の内容

ヘリウムガスを断熱準静的に体積が半分になるまで圧縮したときの、比熱比、温度変化、圧力変化、および水素ガスを使った場合との圧力変化の違いについて答える問題です。
(1) ヘリウムガスの比熱比 γ\gamma を求める。
(2)

1. 温度が何倍になるか求める。

2. 圧力が何倍になるか求める。

(3) ヘリウムの代わりに水素に対して同様の圧縮を行ったとき、圧縮後の圧力はヘリウムと比べてどうなるか答える。

2. 解き方の手順

(1)
ヘリウムガスは単原子分子理想気体なので、定積モル比熱 CV=32RC_V = \frac{3}{2}R、定圧モル比熱 CP=CV+R=52RC_P = C_V + R = \frac{5}{2}R となります。比熱比 γ\gammaγ=CPCV=52R32R=53\gamma = \frac{C_P}{C_V} = \frac{\frac{5}{2}R}{\frac{3}{2}R} = \frac{5}{3} となります。
(2)

1. 断熱準静的過程では $TV^{\gamma-1} = 一定$ が成り立つので、$T_1 V_1^{\gamma-1} = T_2 V_2^{\gamma-1}$。ここで、$V_2 = \frac{1}{2}V_1$ なので、

T2=T1(V1V2)γ1=T1(2)γ1=T1(2)531=T1(2)23T1×1.587T_2 = T_1 (\frac{V_1}{V_2})^{\gamma-1} = T_1 (2)^{\gamma-1} = T_1 (2)^{\frac{5}{3}-1} = T_1 (2)^{\frac{2}{3}} \approx T_1 \times 1.587
したがって、温度は約1.6倍になります。

2. 断熱準静的過程では $PV^{\gamma} = 一定$ が成り立つので、$P_1 V_1^{\gamma} = P_2 V_2^{\gamma}$。ここで、$V_2 = \frac{1}{2}V_1$ なので、

P2=P1(V1V2)γ=P1(2)γ=P1(2)53P1×3.175P_2 = P_1 (\frac{V_1}{V_2})^{\gamma} = P_1 (2)^{\gamma} = P_1 (2)^{\frac{5}{3}} \approx P_1 \times 3.175
したがって、圧力は約3.2倍になります。
(3)
水素は二原子分子なので、定積モル比熱 CV=52RC_V = \frac{5}{2}R、定圧モル比熱 CP=CV+R=72RC_P = C_V + R = \frac{7}{2}R となります。比熱比 γ=CPCV=72R52R=75\gamma' = \frac{C_P}{C_V} = \frac{\frac{7}{2}R}{\frac{5}{2}R} = \frac{7}{5} となります。断熱変化では PVγ=一定PV^\gamma=一定 より P2=P1(V1/V2)γP_2=P_1 (V_1/V_2)^\gammaとなります。体積変化が同じ場合、V1/V2V_1/V_2が等しくなるので、γ\gammaが大きいほどP2P_2が大きくなります。ヘリウムの比熱比は5/3、水素の比熱比は7/5なので、ヘリウムの比熱比の方が大きいです。したがって、同じ圧縮比に対して、ヘリウムの方が圧力が高くなります。よって、水素に対して同様の圧縮を行ったとき、圧縮後の圧力はヘリウムのときより低くなります。

3. 最終的な答え

(1) γ=53\gamma = \frac{5}{3} (選択肢5)
(2)

1. 1.6倍 (選択肢e)

2. 3.2倍 (選択肢b)

(3) ヘリウムのときより低い (選択肢1)

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