(i) 厚さ12mmのガラス板の熱貫流率から、面積1.0 $m^2$、温度差10℃のときの熱流H [W]を求める。ガラスの熱伝導率は0.55 W/(m・K)。 (ii) 熱貫流率$\lambda_1$, $\lambda_2$の2枚の板を張り合わせた合板の熱貫流率$\lambda$を求める。 (iii) 厚さ10mmのアルミ板と20mmの銅板を張り合わせた板の熱貫流率を求める。

応用数学熱伝導熱貫流率熱流物理
2025/5/31

1. 問題の内容

(i) 厚さ12mmのガラス板の熱貫流率から、面積1.0 m2m^2、温度差10℃のときの熱流H [W]を求める。ガラスの熱伝導率は0.55 W/(m・K)。
(ii) 熱貫流率λ1\lambda_1, λ2\lambda_2の2枚の板を張り合わせた合板の熱貫流率λ\lambdaを求める。
(iii) 厚さ10mmのアルミ板と20mmの銅板を張り合わせた板の熱貫流率を求める。

2. 解き方の手順

(i)
熱貫流率λ\lambdaλ=kL\lambda = \frac{k}{L}で与えられる。ここで、kkは熱伝導率、LLは厚さである。
この問題では、ガラスの熱伝導率 k=0.55k = 0.55 W/(m・K)、厚さ L=12L = 12 mm = 0.012 mである。
よって、ガラス板の熱貫流率は、
λ=0.550.01245.83\lambda = \frac{0.55}{0.012} \approx 45.83 W/(m2^2・K)
熱流HはH=λAΔTH = \lambda A \Delta Tで与えられる。ここで、Aは面積、ΔT\Delta Tは温度差である。
この問題では、A=1.0A = 1.0 m2^2ΔT=10\Delta T = 10℃である。
よって、H=45.83×1.0×10=458.3H = 45.83 \times 1.0 \times 10 = 458.3 W
(ii)
(a)
板1の外面の温度をT1T_1、板2の外面の温度をT2T_2、板の接合面の温度をTT'とする。
板1を通過する熱流 H1=λ1AT1TL1H_1 = \lambda_1 A \frac{T_1 - T'}{L_1}
板2を通過する熱流 H2=λ2ATT2L2H_2 = \lambda_2 A \frac{T' - T_2}{L_2}
合板を通り抜ける熱量はどちらの板を通り抜けるときも同じ値であるので、H1=H2=HH_1 = H_2 = H
したがって、λ1T1TL1=λ2TT2L2\lambda_1 \frac{T_1 - T'}{L_1} = \lambda_2 \frac{T' - T_2}{L_2}
(b)
TT'を消去する。
T1T=HL1λ1AT_1 - T' = \frac{H L_1}{\lambda_1 A}
TT2=HL2λ2AT' - T_2 = \frac{H L_2}{\lambda_2 A}
上記二式を足し合わせると、
T1T2=HL1λ1A+HL2λ2AT_1 - T_2 = \frac{H L_1}{\lambda_1 A} + \frac{H L_2}{\lambda_2 A}
T1T2=H(L1λ1A+L2λ2A)=HA(L1λ1+L2λ2)T_1 - T_2 = H(\frac{L_1}{\lambda_1 A} + \frac{L_2}{\lambda_2 A}) = \frac{H}{A}(\frac{L_1}{\lambda_1} + \frac{L_2}{\lambda_2})
よって、合板の熱貫流率λ\lambdaλ=HA(T1T2)=1L1λ1+L2λ2\lambda = \frac{H}{A(T_1 - T_2)} = \frac{1}{\frac{L_1}{\lambda_1} + \frac{L_2}{\lambda_2}}
一方、熱貫流率λ\lambdaの定義λ=k/L\lambda = k/Lから、L/λ=L2/kL/\lambda = L^2 /k.
したがって、1λ=1kL=Lk\frac{1}{\lambda} = \frac{1}{\frac{k}{L}} = \frac{L}{k}.
上記の式λ=HA(T1T2)=1L1λ1+L2λ2\lambda = \frac{H}{A(T_1 - T_2)} = \frac{1}{\frac{L_1}{\lambda_1} + \frac{L_2}{\lambda_2}}は、1λ=L1k1+L2k2\frac{1}{\lambda} = \frac{L_1}{k_1} + \frac{L_2}{k_2}.
もし、L1=L2=LL_1 = L_2 = L, k1=λ1L,k2=λ2Lk_1 = \lambda_1 L, k_2 = \lambda_2 Lであれば、
1λ=1λ1+1λ2\frac{1}{\lambda} = \frac{1}{\lambda_1} + \frac{1}{\lambda_2}を満たさない。
1λ=L1λ1+L2λ2\frac{1}{\lambda} = \frac{L_1}{\lambda_1} + \frac{L_2}{\lambda_2}
(iii)
アルミニウムの熱伝導率 kAl=237k_{Al} = 237 W/(m・K) (参考値)
銅の熱伝導率 kCu=401k_{Cu} = 401 W/(m・K) (参考値)
アルミニウム板の厚さ LAl=10L_{Al} = 10 mm = 0.01 m
銅板の厚さ LCu=20L_{Cu} = 20 mm = 0.02 m
λAl=kAlLAl=2370.01=23700\lambda_{Al} = \frac{k_{Al}}{L_{Al}} = \frac{237}{0.01} = 23700 W/(m2^2・K)
λCu=kCuLCu=4010.02=20050\lambda_{Cu} = \frac{k_{Cu}}{L_{Cu}} = \frac{401}{0.02} = 20050 W/(m2^2・K)
1λ=LAlkAl+LCukCu=0.01237+0.024010.00004219+0.00004988=0.00009207\frac{1}{\lambda} = \frac{L_{Al}}{k_{Al}} + \frac{L_{Cu}}{k_{Cu}} = \frac{0.01}{237} + \frac{0.02}{401} \approx 0.00004219 + 0.00004988 = 0.00009207
λ=10.0000920710861.5\lambda = \frac{1}{0.00009207} \approx 10861.5 W/(m2^2・K)

3. 最終的な答え

(i) H=458.3H = 458.3 W
(ii) 1λ=L1λ1+L2λ2\frac{1}{\lambda} = \frac{L_1}{\lambda_1} + \frac{L_2}{\lambda_2}
(iii) λ10861.5\lambda \approx 10861.5 W/(m2^2・K)

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