複素数 $α = 1 + \sqrt{3}i$ を極形式で表し、複素数平面上で原点を中心とする半径1の円周上を動く点 $z$ について、$|z - α|$ の最大値や $z - 2$ の偏角の最大値を求めます。また、そのときの $z_1$ に対して $\frac{z_1}{α}$ を計算します。

代数学複素数極形式複素数平面絶対値偏角
2025/6/1

1. 問題の内容

複素数 α=1+3iα = 1 + \sqrt{3}i を極形式で表し、複素数平面上で原点を中心とする半径1の円周上を動く点 zz について、zα|z - α| の最大値や z2z - 2 の偏角の最大値を求めます。また、そのときの z1z_1 に対して z1α\frac{z_1}{α} を計算します。

2. 解き方の手順

(1) α=1+3iα = 1 + \sqrt{3}i を極形式で表します。
α=12+(3)2=1+3=4=2|α| = \sqrt{1^2 + (\sqrt{3})^2} = \sqrt{1 + 3} = \sqrt{4} = 2
α=2(12+32i)=2(cosπ3+isinπ3)α = 2(\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i) = 2(\cos{\frac{π}{3}} + i\sin{\frac{π}{3}})
したがって、キ=2, ク=3
zz が原点を中心とする半径1の円周上を動くので、z=1|z| = 1 が成り立ちます。選択肢を見ると、②がこれに該当するので、ケ=②
zα|z - α| の最大値を求めます。
zαz+α=1+2=3|z - α| \le |z| + |α| = 1 + 2 = 3
zα|z - α| の最大値は3。よって、コ=3
(2) zz は原点を中心とする半径1の円周上を動く点なので、z=cosθ+isinθz = \cos{θ} + i\sin{θ} と表せます。
z2=(cosθ2)+isinθz - 2 = (\cos{θ} - 2) + i\sin{θ} の偏角を ϕ\phi とすると、
tanϕ=sinθcosθ2\tan{\phi} = \frac{\sin{θ}}{\cos{θ} - 2}
ϕ\phi が最大となるのは、cosθ2<0\cos{θ} - 2 < 0 より、sinθcosθ2|\frac{\sin{θ}}{\cos{θ} - 2}| が最大になる時なので、sinθcosθ2\frac{\sin{θ}}{\cos{θ} - 2} が最大になる時です。
ddθ(sinθcosθ2)=cosθ(cosθ2)sinθ(sinθ)(cosθ2)2=cos2θ2cosθ+sin2θ(cosθ2)2=12cosθ(cosθ2)2\frac{d}{dθ}(\frac{\sin{θ}}{\cos{θ} - 2}) = \frac{\cos{θ}(\cos{θ} - 2) - \sin{θ}(-\sin{θ})}{(\cos{θ} - 2)^2} = \frac{\cos^2{θ} - 2\cos{θ} + \sin^2{θ}}{(\cos{θ} - 2)^2} = \frac{1 - 2\cos{θ}}{(\cos{θ} - 2)^2}
ddθ(sinθcosθ2)=0\frac{d}{dθ}(\frac{\sin{θ}}{\cos{θ} - 2}) = 0 となるのは 12cosθ=01 - 2\cos{θ} = 0 より cosθ=12\cos{θ} = \frac{1}{2} のときです。
したがって、θ=π3θ = \frac{π}{3} または θ=5π3θ = \frac{5π}{3} のときです。
θ=π3θ = \frac{π}{3} のとき、tanϕ=32122=3232=33\tan{\phi} = \frac{\frac{\sqrt{3}}{2}}{\frac{1}{2} - 2} = \frac{\frac{\sqrt{3}}{2}}{-\frac{3}{2}} = -\frac{\sqrt{3}}{3} となり、ϕ\phi は第4象限の角になります。
θ=5π3θ = \frac{5π}{3} のとき、tanϕ=32122=3232=33\tan{\phi} = \frac{-\frac{\sqrt{3}}{2}}{\frac{1}{2} - 2} = \frac{-\frac{\sqrt{3}}{2}}{-\frac{3}{2}} = \frac{\sqrt{3}}{3} となり、ϕ\phi は第1象限の角になります。
θ=5π3θ = \frac{5π}{3} のとき、z=cos5π3+isin5π3=1232iz = \cos{\frac{5π}{3}} + i\sin{\frac{5π}{3}} = \frac{1}{2} - \frac{\sqrt{3}}{2}i
z2=12232i=3232iz - 2 = \frac{1}{2} - 2 - \frac{\sqrt{3}}{2}i = -\frac{3}{2} - \frac{\sqrt{3}}{2}i
tanϕ=3232=33\tan{\phi} = \frac{-\frac{\sqrt{3}}{2}}{-\frac{3}{2}} = \frac{\sqrt{3}}{3}
ϕ=arctan33+π=π6+π=7π6\phi = \arctan{\frac{\sqrt{3}}{3}} + π = \frac{π}{6} + π = \frac{7π}{6}
θθの値からz2z-2の偏角を求めます。
cosθ=12\cos\theta = \frac{1}{2}のとき、z=12+32iz = \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2} i
z2=122+32i=32+32iz - 2 = \frac{1}{2} - 2 + \frac{\sqrt{3}}{2} i = -\frac{3}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2} i
arg(z2)=arctan3232=arctan33=5π6\arg(z-2) = \arctan{\frac{\frac{\sqrt{3}}{2}}{-\frac{3}{2}}} = \arctan{-\frac{\sqrt{3}}{3}} = \frac{5π}{6}
よって、サ=5π6\frac{5π}{6}
このとき、z1=12+32iz_1 = \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i
α=1+3i=2(12+32i)α = 1 + \sqrt{3}i = 2(\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i)
z1α=12+32i1+3i=12+32i2(12+32i)=12\frac{z_1}{α} = \frac{\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i}{1 + \sqrt{3}i} = \frac{\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i}{2(\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i)} = \frac{1}{2}
z1α=12=12+0i\frac{z_1}{α} = \frac{1}{2} = \frac{1}{2} + 0i
シス=1, セ=0, ソ=2

3. 最終的な答え

キ=2, ク=3, ケ=②, コ=3, サ=⑤(5π6\frac{5π}{6}), シス=1, セ=0, ソ=2

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