問題は次の2つの事柄を示すことです。 (1) 正方行列 $A$ に対して、ある自然数 $n$ が存在して $A^n = E$ となるとき、$A$ は正則行列である。 (2) 正方行列 $A$ に対して、ある自然数 $n$ が存在して $A^n = O$ となるとき、$A$ は正則行列でない。
2025/6/2
1. 問題の内容
問題は次の2つの事柄を示すことです。
(1) 正方行列 に対して、ある自然数 が存在して となるとき、 は正則行列である。
(2) 正方行列 に対して、ある自然数 が存在して となるとき、 は正則行列でない。
2. 解き方の手順
(1) となる自然数 が存在すると仮定します。このとき、 の逆行列が存在することを示せば、 が正則行列であることが示されます。
の両辺に を掛けると、
となることから、 が の逆行列であることがわかります。したがって、 です。よって、 は正則行列です。
(2) となる自然数 が存在すると仮定します。ここで、 が正則行列であると仮定し、矛盾を導きます。もし が正則行列であるならば、 が存在します。
の両辺に を掛けると、
となりますが、これは単位行列 が零行列 と等しいことを意味し、矛盾です。したがって、 は正則行列ではありません。
3. 最終的な答え
(1) ならば、 は正則行列である。
(2) ならば、 は正則行列でない。