実数 $c$ に対して、関数 $f(x)$ と $g(x)$ が $(-\infty, c) \cup (c, \infty)$ で定義されている。 (1) $\lim_{x \to c} f(x) = A$ の $\epsilon-\delta$ 論法による定義を記述する。 (2) $\lim_{x \to c} f(x) = A$, $\lim_{x \to c} g(x) = B$ であり、$f(x) < g(x) + |x-c|$ が $(-\infty, c) \cup (c, \infty)$ 上で成り立つとき、$A \le B$ であることを $\epsilon-\delta$ 論法を用いて証明する。

1. 問題の内容

実数 $c$ に対して、関数 $f(x)$ と $g(x)$ が $(-\infty, c) \cup (c, \infty)$ で定義されている。

(1) $\lim_{x \to c} f(x) = A$ の $\epsilon-\delta$ 論法による定義を記述する。

(2) $\lim_{x \to c} f(x) = A$, $\lim_{x \to c} g(x) = B$ であり、$f(x) < g(x) + |x-c|$ が $(-\infty, c) \cup (c, \infty)$ 上で成り立つとき、$A \le B$ であることを $\epsilon-\delta$ 論法を用いて証明する。

2. 解き方の手順

(1) $\lim_{x \to c} f(x) = A$ の $\epsilon-\delta$ 論法による定義は次の通りです。

任意の $\epsilon > 0$ に対して、ある $\delta > 0$ が存在し、$0 < |x - c| < \delta$ を満たす全ての $x$ に対して、$|f(x) - A| < \epsilon$ が成り立つ。

(2) $A \le B$ であることを証明するために、背理法を用います。

$A > B$ と仮定します。

$\epsilon = \frac{A - B}{2} > 0$ とします。

$\lim_{x \to c} f(x) = A$ なので、ある $\delta_1 > 0$ が存在し、$0 < |x - c| < \delta_1$ を満たす全ての $x$ に対して、$|f(x) - A| < \epsilon$ が成り立ちます。

したがって、$A - \epsilon < f(x) < A + \epsilon$ が成り立ちます。

特に、$f(x) > A - \epsilon = A - \frac{A-B}{2} = \frac{A + B}{2}$ が成り立ちます。

$\lim_{x \to c} g(x) = B$ なので、ある $\delta_2 > 0$ が存在し、$0 < |x - c| < \delta_2$ を満たす全ての $x$ に対して、$|g(x) - B| < \epsilon$ が成り立ちます。

したがって、$B - \epsilon < g(x) < B + \epsilon$ が成り立ちます。

特に、$g(x) < B + \epsilon = B + \frac{A-B}{2} = \frac{A + B}{2}$ が成り立ちます。

$\delta = \min(\delta_1, \delta_2)$ とします。

すると、$0 < |x - c| < \delta$ を満たす全ての $x$ に対して、$f(x) > \frac{A + B}{2}$ かつ $g(x) < \frac{A + B}{2}$ が成り立ちます。

仮定より、$f(x) < g(x) + |x - c|$ ですから、$f(x) < g(x) + |x - c| < \frac{A + B}{2} + |x-c|$ となります。

ここで、$\delta' = \min(\delta_1, \delta_2, \frac{A - B}{2})$ と選びます。

$0 < |x - c| < \delta'$ とすると、$|x - c| < \frac{A-B}{2}$ が成り立ちます。

したがって、$f(x) < g(x) + |x - c| < \frac{A + B}{2} + \frac{A - B}{2} = A$ が成り立ちます。

一方、$0 < |x - c| < \delta'$ であれば、$f(x) > A - \epsilon = \frac{A + B}{2}$ でもあります。

さて、$f(x) > \frac{A + B}{2}$ と $g(x) < \frac{A + B}{2}$ より、$f(x) < g(x) + |x-c|$ と $|x-c| \geq 0$ を考慮すると、$f(x) < g(x) + |x-c| < \frac{A + B}{2} + |x-c|$ である。

ここで、$|x-c| < \frac{A-B}{2}$ とすると、$f(x) < \frac{A+B}{2} + \frac{A-B}{2} = A$ である。

これは矛盾です。

よって、$A \le B$ が成り立ちます。

3. 最終的な答え

$A \le B$