問題は以下の3つです。 (1) $0 < x_1, x_2 < \pi$ を満たす任意の実数 $x_1, x_2$ に対して、不等式 $\sin(\frac{x_1+x_2}{2}) \geq \sqrt{\sin x_1 \sin x_2}$ を証明し、等号が成立する場合を示せ。 (2) $0 < x_1, x_2, x_3 < \pi$ を満たす任意の実数 $x_1, x_2, x_3$ に対して、不等式 $\sin(\frac{x_1+x_2+x_3}{3}) \geq \sqrt[3]{\sin x_1 \sin x_2 \sin x_3}$ を証明し、等号が成立する場合を示せ。 (3) 半径 $R$ の円に内接する三角形の面積の最大値を求めよ。

解析学三角関数不等式イェンセンの不等式相加相乗平均幾何学
2025/3/27

1. 問題の内容

問題は以下の3つです。
(1) 0<x1,x2<π0 < x_1, x_2 < \pi を満たす任意の実数 x1,x2x_1, x_2 に対して、不等式 sin(x1+x22)sinx1sinx2\sin(\frac{x_1+x_2}{2}) \geq \sqrt{\sin x_1 \sin x_2} を証明し、等号が成立する場合を示せ。
(2) 0<x1,x2,x3<π0 < x_1, x_2, x_3 < \pi を満たす任意の実数 x1,x2,x3x_1, x_2, x_3 に対して、不等式 sin(x1+x2+x33)sinx1sinx2sinx33\sin(\frac{x_1+x_2+x_3}{3}) \geq \sqrt[3]{\sin x_1 \sin x_2 \sin x_3} を証明し、等号が成立する場合を示せ。
(3) 半径 RR の円に内接する三角形の面積の最大値を求めよ。

2. 解き方の手順

(1)
相加相乗平均の不等式を利用します。a,b>0a, b > 0 に対して a+b2ab\frac{a+b}{2} \geq \sqrt{ab} が成り立ちます。また、0<x<π0 < x < \pi において sinx>0\sin x > 0 であることと、f(x)=sinxf(x)=\sin x0<x<π0 < x < \pi で上に凸な関数である(すなわち、イェンセンの不等式 sin(x1+x22)sinx1+sinx22\sin(\frac{x_1+x_2}{2}) \geq \frac{\sin x_1 + \sin x_2}{2}が成り立つ)ことを利用します。
sinx\sin x が上に凸な関数であることより、イェンセンの不等式から、
sin(x1+x22)sinx1+sinx22\sin\left(\frac{x_1+x_2}{2}\right) \geq \frac{\sin x_1 + \sin x_2}{2}
また、相加相乗平均の不等式より、
sinx1+sinx22sinx1sinx2\frac{\sin x_1 + \sin x_2}{2} \geq \sqrt{\sin x_1 \sin x_2}
したがって、
sin(x1+x22)sinx1+sinx22sinx1sinx2\sin\left(\frac{x_1+x_2}{2}\right) \geq \frac{\sin x_1 + \sin x_2}{2} \geq \sqrt{\sin x_1 \sin x_2}
sin(x1+x22)sinx1sinx2\sin(\frac{x_1+x_2}{2}) \geq \sqrt{\sin x_1 \sin x_2}
が成り立ちます。
等号が成立するのは、sinx1=sinx2\sin x_1 = \sin x_2 すなわち x1=x2x_1 = x_2 のときです。
(2)
(1)と同様に、イェンセンの不等式と相加相乗平均の不等式を利用します。
sin(x1+x2+x33)sinx1+sinx2+sinx33\sin(\frac{x_1+x_2+x_3}{3}) \geq \frac{\sin x_1 + \sin x_2 + \sin x_3}{3}
sinx1+sinx2+sinx33sinx1sinx2sinx33\frac{\sin x_1 + \sin x_2 + \sin x_3}{3} \geq \sqrt[3]{\sin x_1 \sin x_2 \sin x_3}
したがって、
sin(x1+x2+x33)sinx1sinx2sinx33\sin(\frac{x_1+x_2+x_3}{3}) \geq \sqrt[3]{\sin x_1 \sin x_2 \sin x_3}
が成り立ちます。
等号が成立するのは、sinx1=sinx2=sinx3\sin x_1 = \sin x_2 = \sin x_3 すなわち x1=x2=x3x_1 = x_2 = x_3 のときです。
(3)
半径 RR の円に内接する三角形の面積を SS とします。三角形の3つの内角を A,B,CA, B, C とすると、A+B+C=πA+B+C = \pi です。
S=12absinC=12(2RsinA)(2RsinB)sinC=2R2sinAsinBsinCS = \frac{1}{2}ab\sin C = \frac{1}{2}(2R\sin A)(2R\sin B)\sin C = 2R^2\sin A \sin B \sin C
SS を最大化するには、sinAsinBsinC\sin A \sin B \sin C を最大化すればよいです。
(2)の結果から、sin(A+B+C3)sinAsinBsinC3\sin(\frac{A+B+C}{3}) \geq \sqrt[3]{\sin A \sin B \sin C}
sin(π3)=32sinAsinBsinC3\sin(\frac{\pi}{3}) = \frac{\sqrt{3}}{2} \geq \sqrt[3]{\sin A \sin B \sin C}
(32)3sinAsinBsinC(\frac{\sqrt{3}}{2})^3 \geq \sin A \sin B \sin C
338sinAsinBsinC\frac{3\sqrt{3}}{8} \geq \sin A \sin B \sin C
したがって、sinAsinBsinC\sin A \sin B \sin C の最大値は 338\frac{3\sqrt{3}}{8} です。
このとき、A=B=C=π3A = B = C = \frac{\pi}{3} であり、三角形は正三角形です。
S=2R2338=334R2S = 2R^2 \frac{3\sqrt{3}}{8} = \frac{3\sqrt{3}}{4}R^2

3. 最終的な答え

(1) sin(x1+x22)sinx1sinx2\sin(\frac{x_1+x_2}{2}) \geq \sqrt{\sin x_1 \sin x_2}。等号成立は x1=x2x_1 = x_2 のとき。
(2) sin(x1+x2+x33)sinx1sinx2sinx33\sin(\frac{x_1+x_2+x_3}{3}) \geq \sqrt[3]{\sin x_1 \sin x_2 \sin x_3}。等号成立は x1=x2=x3x_1 = x_2 = x_3 のとき。
(3) 334R2\frac{3\sqrt{3}}{4}R^2

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