(1) 20人の生徒の小テストの点数分布が与えられている。このデータの平均値と分散を求め、さらに、1人の生徒の得点を $a$ から $b$ に変更したとき、全体の平均が3、分散が2になるような $a, b$ の値を求める。 (2) 確率変数 $X$ と $Y$ が独立であり、それぞれの平均と分散が与えられている。このとき、$aX + bY$ の平均と分散を求める。 (3) 確率変数 $X_1, X_2, ..., X_n, X_{n+1}$ が互いに独立であり、$T_n = \frac{1}{n}(X_1 + X_2 + ... + X_n)$ の平均と分散が与えられている。$X_{n+1}$ の平均と分散が与えられたとき、$T_{n+1} = \frac{1}{n+1}(X_1 + X_2 + ... + X_n + X_{n+1})$ の平均と分散を求める。

確率論・統計学平均分散確率変数独立性期待値標本平均
2025/6/5

1. 問題の内容

(1) 20人の生徒の小テストの点数分布が与えられている。このデータの平均値と分散を求め、さらに、1人の生徒の得点を aa から bb に変更したとき、全体の平均が3、分散が2になるような a,ba, b の値を求める。
(2) 確率変数 XXYY が独立であり、それぞれの平均と分散が与えられている。このとき、aX+bYaX + bY の平均と分散を求める。
(3) 確率変数 X1,X2,...,Xn,Xn+1X_1, X_2, ..., X_n, X_{n+1} が互いに独立であり、Tn=1n(X1+X2+...+Xn)T_n = \frac{1}{n}(X_1 + X_2 + ... + X_n) の平均と分散が与えられている。Xn+1X_{n+1} の平均と分散が与えられたとき、Tn+1=1n+1(X1+X2+...+Xn+Xn+1)T_{n+1} = \frac{1}{n+1}(X_1 + X_2 + ... + X_n + X_{n+1}) の平均と分散を求める。

2. 解き方の手順

(1)
まず、平均値を計算する。
平均 μ\mu は、
μ=01+12+25+34+46+5220=0+2+10+12+24+1020=5820=2.9\mu = \frac{0 \cdot 1 + 1 \cdot 2 + 2 \cdot 5 + 3 \cdot 4 + 4 \cdot 6 + 5 \cdot 2}{20} = \frac{0 + 2 + 10 + 12 + 24 + 10}{20} = \frac{58}{20} = 2.9
次に、分散 σ2\sigma^2 を計算する。
σ2=(02.9)21+(12.9)22+(22.9)25+(32.9)24+(42.9)26+(52.9)2220\sigma^2 = \frac{(0-2.9)^2 \cdot 1 + (1-2.9)^2 \cdot 2 + (2-2.9)^2 \cdot 5 + (3-2.9)^2 \cdot 4 + (4-2.9)^2 \cdot 6 + (5-2.9)^2 \cdot 2}{20}
=8.41+2(3.61)+5(0.81)+4(0.01)+6(1.21)+2(4.41)20= \frac{8.41 + 2(3.61) + 5(0.81) + 4(0.01) + 6(1.21) + 2(4.41)}{20}
=8.41+7.22+4.05+0.04+7.26+8.8220=35.820=1.79= \frac{8.41 + 7.22 + 4.05 + 0.04 + 7.26 + 8.82}{20} = \frac{35.8}{20} = 1.79
1人の得点が aa から bb に変更された後の平均が3、分散が2である。
変更後の合計点は、58a+b58 - a + b であり、平均は 58a+b20=3\frac{58 - a + b}{20} = 3
よって、58a+b=6058 - a + b = 60 つまり、a+b=2-a + b = 2
変更後の分散は、
σ2=120i=120(xi3)2=2\sigma^2 = \frac{1}{20} \sum_{i=1}^{20} (x_i - 3)^2 = 2
i=120(xi3)2=40\sum_{i=1}^{20} (x_i - 3)^2 = 40
変更前の i=120(xi2.9)2=35.8\sum_{i=1}^{20} (x_i - 2.9)^2 = 35.8
変更後の i=120(xi3)2=i=120((xi2.9)0.1)2\sum_{i=1}^{20} (x_i - 3)^2 = \sum_{i=1}^{20} ((x_i - 2.9) - 0.1)^2
=i=120(xi2.9)22(0.1)i=120(xi2.9)+20(0.1)2= \sum_{i=1}^{20} (x_i - 2.9)^2 - 2(0.1) \sum_{i=1}^{20} (x_i - 2.9) + 20(0.1)^2
=35.80.2(5820(2.9))+20(0.01)=35.80.2(0)+0.2=36= 35.8 - 0.2 (58 - 20(2.9)) + 20(0.01) = 35.8 - 0.2(0) + 0.2 = 36
元の得点が aa の生徒の得点が bb に変わったので、
(xi3)2(a3)2+(b3)2=40\sum (x_i - 3)^2 - (a-3)^2 + (b-3)^2 = 40
35.8(a2.9)2+(b2.9)22(0.1)(a+b)=4035.8 - (a-2.9)^2 + (b-2.9)^2 - 2(0.1)(-a+b) = 40
(a3)2+(b3)2=4035.8=4.2-(a-3)^2 + (b-3)^2 = 40 - 35.8 = 4.2
(ba)(b+a6)=4.2(b-a)(b+a-6) = 4.2
a+b=2-a + b = 2 より、b=a+2b = a + 2
2(a+2+a6)=4.22(a+2+a-6) = 4.2
2(2a4)=4.22(2a - 4) = 4.2
4a8=4.24a - 8 = 4.2
4a=12.24a = 12.2
a=3.05a = 3.05
b=5.05b = 5.05
a,ba, b は整数でなければならないので、近似で、a=3,b=5a = 3, b = 5
(2)
E[aX+bY]=aE[X]+bE[Y]=amx+bmyE[aX + bY] = aE[X] + bE[Y] = am_x + bm_y
V[aX+bY]=a2V[X]+b2V[Y]+2abCov[X,Y]V[aX + bY] = a^2V[X] + b^2V[Y] + 2abCov[X, Y]
XXYY は独立なので Cov[X,Y]=0Cov[X, Y] = 0
V[aX+bY]=a2vx+b2vyV[aX + bY] = a^2v_x + b^2v_y
(3)
E[Tn+1]=E[1n+1(X1+X2+...+Xn+Xn+1)]=1n+1(E[X1]+...+E[Xn]+E[Xn+1])E[T_{n+1}] = E[\frac{1}{n+1} (X_1 + X_2 + ... + X_n + X_{n+1})] = \frac{1}{n+1} (E[X_1] + ... + E[X_n] + E[X_{n+1}])
=1n+1(nm+m)=nm+mn+1= \frac{1}{n+1} (nm + m') = \frac{nm + m'}{n+1}
V[Tn]=V[1n(X1+X2+...+Xn)]=1n2V[X1+...+Xn]=1n2(V[X1]+...+V[Xn])V[T_n] = V[\frac{1}{n}(X_1 + X_2 + ... + X_n)] = \frac{1}{n^2} V[X_1 + ... + X_n] = \frac{1}{n^2} (V[X_1] + ... + V[X_n])
=1n2(nv)=vn= \frac{1}{n^2} (nv) = \frac{v}{n}
V[Tn+1]=V[1n+1(X1+X2+...+Xn+Xn+1)]=1(n+1)2V[X1+...+Xn+Xn+1]V[T_{n+1}] = V[\frac{1}{n+1} (X_1 + X_2 + ... + X_n + X_{n+1})] = \frac{1}{(n+1)^2} V[X_1 + ... + X_n + X_{n+1}]
=1(n+1)2(V[X1]+...+V[Xn]+V[Xn+1])=1(n+1)2(nv+v)=nv+v(n+1)2= \frac{1}{(n+1)^2} (V[X_1] + ... + V[X_n] + V[X_{n+1}]) = \frac{1}{(n+1)^2} (nv + v') = \frac{nv + v'}{(n+1)^2}

3. 最終的な答え

(1) 平均: 2.9, 分散: 1.79, a=3a=3, b=5b=5
(2) 平均: amx+bmyam_x + bm_y, 分散: a2vx+b2vya^2v_x + b^2v_y
(3) 平均: nm+mn+1\frac{nm + m'}{n+1}, 分散: nv+v(n+1)2\frac{nv + v'}{(n+1)^2}

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