ベクトル空間 $R^3$ の部分集合 $W$ が与えられたとき、それが部分空間かどうかを判定する問題です。具体的には、以下の2つの集合 $W$ について判定を行います。 (1) $W = \{x \in R^3 \mid x_1 + x_2 - x_3 = 0, 3x_1 + x_2 + 2x_3 = 0\}$ (2) $W = \{x \in R^3 \mid 3x_1 + x_2 + 2x_3 \leq 1, 2x_1 - 3x_2 + x_3 \leq 1\}$

1. 問題の内容

ベクトル空間 $R^3$ の部分集合 $W$ が与えられたとき、それが部分空間かどうかを判定する問題です。具体的には、以下の2つの集合 $W$ について判定を行います。

(1) $W = \{x \in R^3 \mid x_1 + x_2 - x_3 = 0, 3x_1 + x_2 + 2x_3 = 0\}$

(2) $W = \{x \in R^3 \mid 3x_1 + x_2 + 2x_3 \leq 1, 2x_1 - 3x_2 + x_3 \leq 1\}$

2. 解き方の手順

部分空間であるための条件は、以下の3つを満たすことです。

(1) 零ベクトル $0$ が $W$ に含まれる。

(2) $W$ の任意の元 $x, y$ に対して、$x + y$ が $W$ に含まれる（加法について閉じている）。

(3) $W$ の任意の元 $x$ と任意のスカラー $c$ に対して、$cx$ が $W$ に含まれる（スカラー倍について閉じている）。

(1)の場合：

まず、零ベクトル $(0, 0, 0)$ が $W$ に含まれるか確認します。

$0 + 0 - 0 = 0$ および $3(0) + 0 + 2(0) = 0$ なので、零ベクトルは $W$ に含まれます。

次に、加法について閉じているか確認します。$x, y \in W$ とすると、

$x_1 + x_2 - x_3 = 0$, $3x_1 + x_2 + 2x_3 = 0$

$y_1 + y_2 - y_3 = 0$, $3y_1 + y_2 + 2y_3 = 0$

このとき、$x+y = (x_1+y_1, x_2+y_2, x_3+y_3)$ が $W$ に含まれるかを確かめます。

$(x_1+y_1) + (x_2+y_2) - (x_3+y_3) = (x_1 + x_2 - x_3) + (y_1 + y_2 - y_3) = 0 + 0 = 0$

$3(x_1+y_1) + (x_2+y_2) + 2(x_3+y_3) = (3x_1 + x_2 + 2x_3) + (3y_1 + y_2 + 2y_3) = 0 + 0 = 0$

したがって、$x+y \in W$ となり、加法について閉じています。

最後に、スカラー倍について閉じているか確認します。$x \in W$ と任意のスカラー $c$ に対して、$cx \in W$ かを確かめます。

$x_1 + x_2 - x_3 = 0$ および $3x_1 + x_2 + 2x_3 = 0$

$cx = (cx_1, cx_2, cx_3)$

$cx_1 + cx_2 - cx_3 = c(x_1 + x_2 - x_3) = c(0) = 0$

$3(cx_1) + cx_2 + 2(cx_3) = c(3x_1 + x_2 + 2x_3) = c(0) = 0$

したがって、$cx \in W$ となり、スカラー倍について閉じています。

以上より、(1) の $W$ は部分空間です。

(2)の場合：

まず、零ベクトル $(0, 0, 0)$ が $W$ に含まれるか確認します。

$3(0) + 0 + 2(0) = 0 \leq 1$ および $2(0) - 3(0) + 0 = 0 \leq 1$ なので、零ベクトルは $W$ に含まれます。

次に、スカラー倍について閉じているかを調べます。

例えば、ベクトル $x=(0,0,0)$は$W$に含まれます。しかし、$c$ をスカラーとしたとき、$cx = (0,0,0)$ は常に $W$ に含まれます。

しかし、$W$ の任意の元 $x,y$ に対し、$x+y$ が $W$ に含まれるか調べます。$x=(1,0,-1)$ と $y=(1,0,-1)$ を考えると、

$3x_1 + x_2 + 2x_3 = 3(1) + 0 + 2(-1) = 1 \leq 1$

$2x_1 - 3x_2 + x_3 = 2(1) - 3(0) + (-1) = 1 \leq 1$

なので、$x \in W$ です。同様に $y \in W$ です。

$x+y=(2,0,-2)$ に対して

$3(2) + 0 + 2(-2) = 2 > 1$ となるので、$x+y \notin W$ です。

したがって、(2) の $W$ は部分空間ではありません。

3. 最終的な答え

(1) 部分空間である。

(2) 部分空間ではない。