正方行列 $A$ がべき零であるとき、$A$ が正則でないことを示す。

代数学線形代数行列べき零行列正則行列行列式
2025/6/5

1. 問題の内容

正方行列 AA がべき零であるとき、AA が正則でないことを示す。

2. 解き方の手順

べき零行列の定義から、Ak=OA^k = O となる正の整数 kk が存在します。ここで OO は零行列を表します。
もし AA が正則であると仮定すると、逆行列 A1A^{-1} が存在します。
Ak=OA^k = O の両辺に (A1)k1(A^{-1})^{k-1} を左から掛けると、
(A1)k1Ak=(A1)k1O(A^{-1})^{k-1} A^k = (A^{-1})^{k-1} O
(A1)k1Ak=A(A1)k1Ak1=A(A1A)k1=AI=A(A^{-1})^{k-1} A^k = A (A^{-1})^{k-1} A^{k-1} = A (A^{-1} A)^{k-1} = A I = A となります。ここで II は単位行列です。
一方、(A1)k1O=O(A^{-1})^{k-1} O = O です。
したがって、A=OA = O となります。
しかし、AA が零行列であれば、A1=OA^1 = O なので、べき零行列の定義を満たします。
この場合、AA が正則であるとすると、A1A^{-1} が存在し、AA1=IA A^{-1} = I ですが、
A=OA = O なので、OA1=IO A^{-1} = I となり、O=IO = I となります。
これは矛盾なので、AA は正則ではありません。
あるいは、
もし AA が正則だと仮定すると、det(A)0\det(A) \ne 0 である。
しかし、Ak=OA^k = O より、det(Ak)=det(O)=0\det(A^k) = \det(O) = 0
また、行列式の性質から、det(Ak)=(det(A))k\det(A^k) = (\det(A))^k である。
したがって、(det(A))k=0 (\det(A))^k = 0 となるので、det(A)=0\det(A) = 0 となる。
これは det(A)0\det(A) \ne 0 という仮定に矛盾するので、AA は正則ではない。

3. 最終的な答え

正方行列 AA がべき零であるとき、AA は正則ではない。

「代数学」の関連問題

$\frac{x+2}{x^2 + 4x + 3}$ を部分分数分解してください。

部分分数分解分数式因数分解
2025/6/6

与えられた分数式 $\frac{x+2}{x^2+4x+3}$ を部分分数分解する問題です。

部分分数分解分数式因数分解
2025/6/6

点($\frac{1}{2}$, 2)を通る反比例の式を求めよ。

反比例関数比例定数
2025/6/6

与えられた式 $\frac{3}{x^2+x-6}$ を可能な限り簡単にします。

分数式因数分解式の簡略化
2025/6/6

与えられた分数式 $\frac{3}{x^2+x-6}$ を部分分数分解する問題です。

部分分数分解分数式因数分解
2025/6/6

与えられた行列による変換で、平面 $2x + 3y - 3z - 6 = 0$ がどのような図形になるかを求める問題です。行列は $ \begin{pmatrix} 1 & -1 & 0 \\ 0 &...

線形代数行列平面逆行列座標変換
2025/6/6

行列 $\begin{pmatrix} 4 & -3 \\ -2 & 2 \end{pmatrix}$ による変換で直線 $L$ が直線 $x + 2y - 6 = 0$ に移されたとき、変換前の直線...

線形代数行列一次変換逆行列直線
2025/6/6

与えられた式 $x(x+1)(x+2)(x+3)$ を展開せよ。

式の展開多項式
2025/6/6

与えられた式 $(x)(x+1)(x+2)(x+3)$ を展開しなさい。

多項式展開因数分解代数
2025/6/6

問題は以下の通りです。 $A = \frac{4}{\sqrt{5}-1}$, $B = \frac{2}{3-\sqrt{5}}$とする。 (1) $A$の分母を有理化し、簡単にしなさい。 (2) ...

有理化平方根整数部分小数部分式の計算
2025/6/6