1. 問題の内容
正方行列 がべき零であるとき、 が正則でないことを示す。
2. 解き方の手順
べき零行列の定義から、 となる正の整数 が存在します。ここで は零行列を表します。
もし が正則であると仮定すると、逆行列 が存在します。
の両辺に を左から掛けると、
となります。ここで は単位行列です。
一方、 です。
したがって、 となります。
しかし、 が零行列であれば、 なので、べき零行列の定義を満たします。
この場合、 が正則であるとすると、 が存在し、 ですが、
なので、 となり、 となります。
これは矛盾なので、 は正則ではありません。
あるいは、
もし が正則だと仮定すると、 である。
しかし、 より、。
また、行列式の性質から、 である。
したがって、 となるので、 となる。
これは という仮定に矛盾するので、 は正則ではない。
3. 最終的な答え
正方行列 がべき零であるとき、 は正則ではない。