線形写像 $f: V \to W$ が与えられており、$V$ の基底 $\{a_1, a_2, a_3\}$、$W$ の基底 $\{t_1, t_2, t_3\}$ に関する $f$ の表現行列 $A$ が $$A = \begin{pmatrix} 1 & 1 & -1 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 1 \end{pmatrix}$$ で与えられている。このとき、$\text{Ker} f$ と $\text{Im} f$ の基底をそれぞれ決定する。

代数学線形写像表現行列カーネルイメージ線形代数
2025/6/8

1. 問題の内容

線形写像 f:VWf: V \to W が与えられており、VV の基底 {a1,a2,a3}\{a_1, a_2, a_3\}WW の基底 {t1,t2,t3}\{t_1, t_2, t_3\} に関する ff の表現行列 AA
A=(111010011)A = \begin{pmatrix} 1 & 1 & -1 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 1 \end{pmatrix}
で与えられている。このとき、Kerf\text{Ker} fImf\text{Im} f の基底をそれぞれ決定する。

2. 解き方の手順

(1) Kerf\text{Ker} f を求める。
Kerf={vVf(v)=0}\text{Ker} f = \{v \in V \mid f(v) = 0\} である。vVv \in Vv=x1a1+x2a2+x3a3v = x_1 a_1 + x_2 a_2 + x_3 a_3 と表すと、f(v)f(v) は表現行列 AA を用いて次のように表される。
f(v)=x1f(a1)+x2f(a2)+x3f(a3) f(v) = x_1 f(a_1) + x_2 f(a_2) + x_3 f(a_3)
ここで f(a1),f(a2),f(a3)f(a_1), f(a_2), f(a_3)WW の基底 {t1,t2,t3}\{t_1, t_2, t_3\} で展開されたときの係数が表現行列 AA の各列に対応する。すなわち、
(f(a1)f(a2)f(a3))=(t1t2t3)(111010011) \begin{pmatrix} f(a_1) \\ f(a_2) \\ f(a_3) \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} t_1 \\ t_2 \\ t_3 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 1 & -1 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 1 \end{pmatrix}
従って、f(v)=0f(v) = 0 となるのは、
A(x1x2x3)=(000) A \begin{pmatrix} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}
となるときである。この連立一次方程式を解く。
(111010011)(x1x2x3)=(000) \begin{pmatrix} 1 & 1 & -1 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}
第2式より x2=0x_2 = 0、第3式より x2+x3=0x_2 + x_3 = 0。従って x3=0x_3 = 0。第1式より x1+x2x3=0x_1 + x_2 - x_3 = 0 なので、x1=0x_1 = 0
しかし、これはx1=x2=x3=0x_1=x_2=x_3=0という自明な解しか持たない。
行列式を計算すると、A=1(1101)=10|A|=1*(1*1-0*1)=1 \neq 0なので、AAは正則行列であり、解は自明な解のみである。
したがって、Ker f = {0}である。
(2) Imf\text{Im} f を求める。
Imf={f(v)vV}\text{Im} f = \{f(v) \mid v \in V\} である。表現行列 AA の列ベクトルは Imf\text{Im} f の基底を与える。
f(a1)=t1,f(a2)=t1+t2+t3,f(a3)=t1+t3f(a_1) = t_1, \quad f(a_2) = t_1 + t_2 + t_3, \quad f(a_3) = -t_1 + t_3
Imf\text{Im} ff(a1),f(a2),f(a3)f(a_1), f(a_2), f(a_3) で張られる。
AAのランクは3なので、Imf\text{Im} fの次元は3である。
したがって、f(a1),f(a2),f(a3)f(a_1), f(a_2), f(a_3)WWの基底{t1,t2,t3}\{t_1,t_2,t_3\}を用いて表現されているので、Imf\text{Im} f の基底は{t1,t1+t2+t3,t1+t3}\{t_1, t_1 + t_2 + t_3, -t_1 + t_3\}で与えられる。
あるいは、AAが正則なので、Imf=W\text{Im} f = Wである。したがって、Imf\text{Im} fの基底は{t1,t2,t3}\{t_1, t_2, t_3\}となる。

3. 最終的な答え

Kerf\text{Ker} f の基底:{0}\{0\} (またはなし)
Imf\text{Im} f の基底:{t1,t2,t3}\{t_1, t_2, t_3\} (または{t1,t1+t2+t3,t1+t3}\{t_1, t_1 + t_2 + t_3, -t_1 + t_3\})

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