質量 $M$ の物体Aと質量 $m$ の物体Bが、定滑車を通して繋がれている。物体Bは地面に接しており、物体Aは空中に静止している。$M > m$ であり、重力加速度の大きさを $g$ とする。物体Aを静かに離したとき、物体Aの加速度の大きさと、Aをつるしている糸の張力の大きさを求める問題。

応用数学力学運動方程式重力張力加速度物理
2025/6/9

1. 問題の内容

質量 MM の物体Aと質量 mm の物体Bが、定滑車を通して繋がれている。物体Bは地面に接しており、物体Aは空中に静止している。M>mM > m であり、重力加速度の大きさを gg とする。物体Aを静かに離したとき、物体Aの加速度の大きさと、Aをつるしている糸の張力の大きさを求める問題。

2. 解き方の手順

まず、物体AとBそれぞれについて、働く力を書き出す。物体Aには下向きに重力 MgMg、上向きに糸の張力 TT が働く。物体Bには上向きに糸の張力 TT、下向きに重力 mgmg、上向きに垂直抗力 NN が働く。
物体Aについて、下向きを正として運動方程式を立てる。
Ma=MgTMa = Mg - T (1)
物体Bについて、物体Bは地面から離れないので、加速度は0である。したがって、力のつり合いの式を立てる。
N+T=mgN + T = mg (2)
ここで、物体Aが動き出すためには、物体Aの重力 MgMg が物体Bの重力 mgmg よりも大きくなければならない。物体Bが地面に接している状態を維持するためには、 Mg>TMg > T が必要である。物体Aが動き始めると、物体Bは地面に押し付けられ、垂直抗力 NN が働く。
物体Aが動き出す瞬間、Aの加速度をaaとする。糸は滑車を介してつながっているので、AとBに働く張力は等しい。
物体Bについて、地面からの垂直抗力 NN が働いているため、糸の張力 TTmgmg よりも小さくなる。
物体Aと物体Bを一体として考えると、加速度 aa で運動する系の運動方程式は、
Ma=MgTMa = Mg - T (Aの運動方程式)
0=T+Nmg0 = T + N - mg (Bの力のつり合い)
となる。
N0N \ge 0 より、TmgT \le mg。また、M>mM > m より、Mg>mgMg > mg であるから、Mg>TMg > T は成り立つ。
ここで、物体Bが地面から離れない条件から、
N=mgT0N = mg - T \ge 0 (3)
である。
物体Aの加速度を求めるために、(1)式を変形する。
T=MgMaT = Mg - Ma (4)
(4)式を(3)式に代入する。
mg(MgMa)0mg - (Mg - Ma) \ge 0
MaMgmgMa \ge Mg - mg
agmMga \ge g - \frac{m}{M}g
物体Bが地面から離れないためには、式(2)より、N=mgT0N = mg - T \ge 0を満たす必要がある。T=mgT = mgの時、N=0N=0となり、Bは地面から離れる直前となる。
したがって、mg=MgMamg = Mg - Ma
Ma=(Mm)gMa = (M - m)g
a=MmMga = \frac{M-m}{M}g
次に、糸の張力 TT を求める。
T=MgMa=MgMMmMg=Mg(Mm)g=MgMg+mg=mgT = Mg - Ma = Mg - M \frac{M-m}{M}g = Mg - (M-m)g = Mg - Mg + mg = mg

3. 最終的な答え

Aの加速度の大きさ: MmMg\frac{M-m}{M}g
Aをつるしている糸の張力の大きさ: mgmg

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