水平面と角 $\theta$ をなす粗い斜面上に質量 $m$ の物体が静止している。物体は斜面を下り、物体と斜面の静止摩擦係数は $\mu$、動摩擦係数は $\mu'$、重力加速度の大きさは $g$ である。 (1) 物体にはたらく力を図示する。 (2) 物体が斜面から受ける垂直抗力の大きさと、物体の加速度の大きさをそれぞれ求める。 (3) 物体を静かに離してから、斜面上を $l$ だけ下るのにかかった時間と、そのときの物体の速さを求める。

1. 問題の内容

水平面と角 $\theta$ をなす粗い斜面上に質量 $m$ の物体が静止している。物体は斜面を下り、物体と斜面の静止摩擦係数は $\mu$、動摩擦係数は $\mu'$、重力加速度の大きさは $g$ である。

(1) 物体にはたらく力を図示する。

(2) 物体が斜面から受ける垂直抗力の大きさと、物体の加速度の大きさをそれぞれ求める。

(3) 物体を静かに離してから、斜面上を $l$ だけ下るのにかかった時間と、そのときの物体の速さを求める。

2. 解き方の手順

(1) 物体にはたらく力は、重力、垂直抗力、摩擦力である。

- 重力：鉛直下向きに $mg$

- 垂直抗力：斜面に垂直な方向に $N$

- 摩擦力：斜面に沿って上向きに $f$

(2)

- 斜面に平行な方向の運動方程式を立てる。

- 斜面に垂直な方向の力のつり合いを考える。

- 運動方程式：$ma = mg\sin\theta - f$

- 垂直方向のつり合い：$N = mg\cos\theta$

- 動摩擦力：$f = \mu'N = \mu'mg\cos\theta$

- 加速度：$a = g\sin\theta - \mu'g\cos\theta = g(\sin\theta - \mu'\cos\theta)$

(3)

- 等加速度運動の公式を使う。

- $x = v_0t + \frac{1}{2}at^2$

- $v = v_0 + at$

- 初期条件：$v_0 = 0, x = l$

- $l = \frac{1}{2}at^2$ より $t = \sqrt{\frac{2l}{a}} = \sqrt{\frac{2l}{g(\sin\theta - \mu'\cos\theta)}}$

- $v = at = g(\sin\theta - \mu'\cos\theta)\sqrt{\frac{2l}{g(\sin\theta - \mu'\cos\theta)}} = \sqrt{2lg(\sin\theta - \mu'\cos\theta)}$

3. 最終的な答え

(1) 力の図示は省略（上記説明参照）

(2) 垂直抗力：$N = mg\cos\theta$, 加速度：$a = g(\sin\theta - \mu'\cos\theta)$

(3) 時間：$t = \sqrt{\frac{2l}{g(\sin\theta - \mu'\cos\theta)}}$, 速度：$v = \sqrt{2lg(\sin\theta - \mu'\cos\theta)}$