$n$ は自然数、$a, b$ は $|a| + |b| \le 1$ を満たす実数とする。関数 $f(x) = ax^n + b$ について、方程式 $f(x) = x$ の実数解で $-1 \le x \le 1$ の範囲にあるものが存在することを示せ。

1. 問題の内容

$n$ は自然数、$a, b$ は $|a| + |b| \le 1$ を満たす実数とする。関数 $f(x) = ax^n + b$ について、方程式 $f(x) = x$ の実数解で $-1 \le x \le 1$ の範囲にあるものが存在することを示せ。

2. 解き方の手順

まず、$g(x) = f(x) - x$ とおく。つまり、$g(x) = ax^n + b - x$ である。

$g(x) = 0$ が $-1 \le x \le 1$ の範囲に解を持つことを示すには、中間値の定理を使う。

$g(-1)$ と $g(1)$ の符号が異なれば、$-1 < x < 1$ の範囲に $g(x) = 0$ となる $x$ が存在する。

$g(-1) = a(-1)^n + b - (-1) = a(-1)^n + b + 1$

$g(1) = a(1)^n + b - 1 = a + b - 1$

$g(-1) + g(1) = a((-1)^n + 1) + 2b$

ここで、$|a| + |b| \le 1$ より、$-1 \le a \le 1$ かつ $-1 \le b \le 1$ である。

また、$b \le |b| \le 1 - |a|$ より、$b \le 1 - |a|$ である。

$g(1) = a + b - 1$ より、$g(1) \le |a| + |b| - 1 \le 0$ である。

一方、$g(-1) = a(-1)^n + b + 1$ について考える。

場合分けをする。

(1) $g(1) = 0$ の場合、$f(1) = 1$ なので、$x=1$ が $f(x) = x$ の解である。

(2) $g(1) < 0$ の場合、$f(1) < 1$ である。

$g(-1) = a(-1)^n + b + 1$ について考える。

(i) nが偶数の場合、$g(-1) = a + b + 1$

(ii) nが奇数の場合、$g(-1) = -a + b + 1$

$g(-1) + g(1) = a((-1)^n + 1) + 2b$ と

$g(-1) - g(1)$ を計算すると

$g(-1) - g(1) = a((-1)^n - 1) + 2$ となる。

ここで、$|a| + |b| \le 1$ を用いる。

$|a| + |b| \le 1$ より、$-1 \le a + b \le 1$ かつ $-1 \le -a + b \le 1$ が成り立つ。

つまり、$-1 - a \le b \le 1 - a$ かつ $-1 + a \le b \le 1 + a$ が成り立つ。

$g(1) = a + b - 1$ で、$g(1) < 0$ より、$a + b < 1$ である。

(i) $n$ が偶数のとき、$g(-1) = a + b + 1 > a + b - 1 + 2 > 0$。

$g(1) < 0$ かつ $g(-1) > 0$ なので、中間値の定理より $-1 < x < 1$ の範囲に解が存在する。

(ii) $n$ が奇数のとき、$g(-1) = -a + b + 1$。

$g(-1) = -a + b + 1 \ge -|a| - |b| + 1 \ge 0$ とは限らない。

$g(-1) + g(1) = 2b \ge -2|a|$ なので、$g(-1) + g(1) \ge -2|a|$

$g(1) = a+b-1$ より $a + b = g(1) + 1 < 1$

$-a + b + 1 + a + b - 1 > 0 \iff 2b > 0 \iff b>0$

$-a + b + 1 > 0 \iff -a > -b - 1$

つまり、$g(-1) + g(1)$

もし $f(-1) \ge -1$ であるならば、$g(-1) \ge 0$ である。

よって、$f(1) \le 1$ かつ $f(-1) \ge -1$ ならば、中間値の定理より、$-1 \le x \le 1$ の範囲に $f(x) = x$ となる $x$ が存在する。

$g(1) + g(-1) = a + b - 1 -a + b + 1 = 2b$

$|a| + |b| \le 1$

$g(1) \le 0$ より $f(1) = a + b \le 1$

$g(-1) = a(-1)^n + b + 1$

$f(x) - x = g(x)$

$f(-1) - (-1) = g(-1) = a(-1)^n + b + 1$

$a(-1)^n + b = f(-1)$

$|-a| + |b| \le |a| + |b| \le 1$

3. 最終的な答え

$-1 \le x \le 1$ の範囲に、方程式 $f(x) = x$ の実数解が存在する。