正方行列 $A$ について、$A^m = E$ となる自然数 $m$ が存在するとき、$A$ の固有値はすべて $1$ の $m$ 乗根であることを示す。ここで、$E$ は単位行列を表す。

代数学線形代数固有値固有ベクトル行列
2025/6/11
## 問題10

1. 問題の内容

正方行列 AA について、Am=EA^m = E となる自然数 mm が存在するとき、AA の固有値はすべて 11mm 乗根であることを示す。ここで、EE は単位行列を表す。

2. 解き方の手順

AA の固有値を λ\lambda、対応する固有ベクトルを vv とすると、Av=λvAv = \lambda v が成り立つ。この両辺に AAm1m-1 回かけると、
Amv=λmvA^m v = \lambda^m v
Am=EA^m = E より、
Ev=λmvE v = \lambda^m v
v=λmvv = \lambda^m v
(1λm)v=0(1 - \lambda^m)v = 0
vv は固有ベクトルなので v0v \neq 0。したがって、
1λm=01 - \lambda^m = 0
λm=1\lambda^m = 1
これは λ\lambda が 1 の mm 乗根であることを示す。

3. 最終的な答え

したがって、AA の固有値 λ\lambda はすべて 1 の mm 乗根である。
## 問題11

1. 問題の内容

対角化可能なべき零行列は零行列に限ることを示す。

2. 解き方の手順

AA をべき零行列とする。すなわち、Ak=0A^k = 0 となる自然数 kk が存在する。
AA が対角化可能であると仮定すると、ある正則行列 PP が存在して、A=PDP1A = PDP^{-1} と表せる。ここで、DD は対角行列である。
Ak=(PDP1)k=PDkP1=0A^k = (PDP^{-1})^k = PD^kP^{-1} = 0 であるから、Dk=0D^k = 0 となる。
DD は対角行列であるから、DkD^k も対角行列であり、その対角成分は DD の対応する対角成分の kk 乗である。
したがって、Dk=0D^k = 0 であるためには、DD のすべての対角成分が 0 でなければならない。
つまり、DD は零行列である。
よって、A=PDP1=P0P1=0A = PDP^{-1} = P0P^{-1} = 0 となり、AA は零行列である。

3. 最終的な答え

対角化可能なべき零行列は零行列に限る。
## 問題12

1. 問題の内容

A2=AA^2 = A を満たす正方行列 AA の固有値は 0 か 1 であることを示す。このような行列をべき等行列という。

2. 解き方の手順

AA の固有値を λ\lambda、対応する固有ベクトルを vv とすると、Av=λvAv = \lambda v が成り立つ。
A2=AA^2 = A より、A2v=AvA^2 v = A v である。
A2v=A(Av)=A(λv)=λ(Av)=λ(λv)=λ2vA^2 v = A(Av) = A(\lambda v) = \lambda (Av) = \lambda (\lambda v) = \lambda^2 v である。
したがって、λ2v=λv\lambda^2 v = \lambda v が成り立つ。
(λ2λ)v=0(\lambda^2 - \lambda) v = 0
λ(λ1)v=0\lambda (\lambda - 1) v = 0
vv は固有ベクトルなので v0v \neq 0。したがって、
λ(λ1)=0\lambda (\lambda - 1) = 0
λ=0\lambda = 0 または λ=1\lambda = 1

3. 最終的な答え

A2=AA^2 = A を満たす正方行列 AA の固有値は 0 か 1 である。

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