質量 $m_1$ と $m_2$ の2つの質点がばね定数 $k$, 自然長 $l_0$ のばねで結ばれている状況を考える。 時刻 $t=0$ に重心を原点から初速度 $v_0 = (v_{x0}, v_{y0})$ で斜方投射した。 重力加速度は $g = (0, -g)$ である。 (a) 各質点の運動方程式を求めよ。 (b) 重心運動の運動方程式と相対運動 $r_1 - r_2$ の運動方程式を求めよ。 (c) 重心運動について、最高到達点の $y$ 座標 $H$, 落下点の $x$ 座標 $R$ を求めよ。 また、$xy$ 平面における重心の軌跡を $H, R, x$ を用いて表せ。落下点の導出において、ばねの大きさは無視できるとする。 (d) 上記の結果に基づき、2つの質点がしめす運動を定性的に説明せよ。

応用数学力学運動方程式重心運動相対運動斜方投射ばね
2025/6/11

1. 問題の内容

質量 m1m_1m2m_2 の2つの質点がばね定数 kk, 自然長 l0l_0 のばねで結ばれている状況を考える。
時刻 t=0t=0 に重心を原点から初速度 v0=(vx0,vy0)v_0 = (v_{x0}, v_{y0}) で斜方投射した。
重力加速度は g=(0,g)g = (0, -g) である。
(a) 各質点の運動方程式を求めよ。
(b) 重心運動の運動方程式と相対運動 r1r2r_1 - r_2 の運動方程式を求めよ。
(c) 重心運動について、最高到達点の yy 座標 HH, 落下点の xx 座標 RR を求めよ。
また、xyxy 平面における重心の軌跡を H,R,xH, R, x を用いて表せ。落下点の導出において、ばねの大きさは無視できるとする。
(d) 上記の結果に基づき、2つの質点がしめす運動を定性的に説明せよ。

2. 解き方の手順

(a) 各質点の運動方程式
質点1の運動方程式は
m1r¨1=k(r1r2l0)r1r2r1r2+m1gm_1 \ddot{r}_1 = -k (|r_1 - r_2| - l_0) \frac{r_1 - r_2}{|r_1 - r_2|} + m_1 g
質点2の運動方程式は
m2r¨2=k(r1r2l0)r1r2r1r2+m2gm_2 \ddot{r}_2 = k (|r_1 - r_2| - l_0) \frac{r_1 - r_2}{|r_1 - r_2|} + m_2 g
(b) 重心運動と相対運動
重心の位置ベクトル rG=m1r1+m2r2m1+m2r_G = \frac{m_1 r_1 + m_2 r_2}{m_1 + m_2}
重心運動の運動方程式は
(m1+m2)r¨G=m1r¨1+m2r¨2=(m1+m2)g(m_1 + m_2) \ddot{r}_G = m_1 \ddot{r}_1 + m_2 \ddot{r}_2 = (m_1 + m_2) g
したがって、
r¨G=g\ddot{r}_G = g
相対運動ベクトル ξ=r1r2\xi = r_1 - r_2
相対運動の運動方程式は
ξ¨=r¨1r¨2=km1(r1r2l0)r1r2r1r2+gkm2(r1r2l0)r1r2r1r2g\ddot{\xi} = \ddot{r}_1 - \ddot{r}_2 = -\frac{k}{m_1} (|r_1 - r_2| - l_0) \frac{r_1 - r_2}{|r_1 - r_2|} + g - \frac{k}{m_2} (|r_1 - r_2| - l_0) \frac{r_1 - r_2}{|r_1 - r_2|} - g
ξ¨=k(1m1+1m2)(ξl0)ξξ\ddot{\xi} = -k (\frac{1}{m_1} + \frac{1}{m_2}) (|\xi| - l_0) \frac{\xi}{|\xi|}
ξ¨=km1+m2m1m2(ξl0)ξξ\ddot{\xi} = -k \frac{m_1 + m_2}{m_1 m_2} (|\xi| - l_0) \frac{\xi}{|\xi|}
(c) 重心運動について
重心の運動は通常の斜方投射である。
初期条件は rG(0)=(0,0)r_G(0) = (0,0), r˙G(0)=(vx0,vy0)\dot{r}_G(0) = (v_{x0}, v_{y0})
r¨G=g=(0,g)\ddot{r}_G = g = (0,-g)
したがって、
r˙G=(vx0,vy0gt)\dot{r}_G = (v_{x0}, v_{y0} - gt)
rG=(vx0t,vy0t12gt2)r_G = (v_{x0} t, v_{y0} t - \frac{1}{2}gt^2)
最高到達点では y˙G=vy0gt=0\dot{y}_G = v_{y0} - gt = 0, したがって t=vy0gt = \frac{v_{y0}}{g}
最高到達点の yy 座標は H=vy0vy0g12g(vy0g)2=vy022gH = v_{y0} \frac{v_{y0}}{g} - \frac{1}{2} g (\frac{v_{y0}}{g})^2 = \frac{v_{y0}^2}{2g}
落下点では yG=vy0t12gt2=0y_G = v_{y0} t - \frac{1}{2}gt^2 = 0, したがって t=2vy0gt = \frac{2v_{y0}}{g}
落下点の xx 座標は R=vx02vy0g=2vx0vy0gR = v_{x0} \frac{2v_{y0}}{g} = \frac{2v_{x0}v_{y0}}{g}
重心の軌跡は放物線で、y=g2vx02x2+vy0vx0xy = -\frac{g}{2v_{x0}^2} x^2 + \frac{v_{y0}}{v_{x0}}x.
y=g2vx02(x22vx0vy0gx)=g2vx02(x2Rx)y = -\frac{g}{2v_{x0}^2} (x^2 - \frac{2v_{x0}v_{y0}}{g}x) = -\frac{g}{2v_{x0}^2} (x^2 - Rx)
y=g2vx02(xR2)2+g2vx02(R2)2=g2vx02(xR2)2+g2vx02R24y = -\frac{g}{2v_{x0}^2} (x - \frac{R}{2})^2 + \frac{g}{2v_{x0}^2} (\frac{R}{2})^2 = -\frac{g}{2v_{x0}^2} (x - \frac{R}{2})^2 + \frac{g}{2v_{x0}^2} \frac{R^2}{4}
y=g2vx02(xR2)2+vy022g=g2vx02(xR2)2+Hy = -\frac{g}{2v_{x0}^2} (x - \frac{R}{2})^2 + \frac{v_{y0}^2}{2g} = -\frac{g}{2v_{x0}^2} (x - \frac{R}{2})^2 + H
(d) 定性的な説明
重心は通常の斜方投射運動をする。
2つの質点は、重心の周りをばねの力によって振動しながら、全体としては重心運動に従う放物運動を行う。

3. 最終的な答え

(a)
m1r¨1=k(r1r2l0)r1r2r1r2+m1gm_1 \ddot{r}_1 = -k (|r_1 - r_2| - l_0) \frac{r_1 - r_2}{|r_1 - r_2|} + m_1 g
m2r¨2=k(r1r2l0)r1r2r1r2+m2gm_2 \ddot{r}_2 = k (|r_1 - r_2| - l_0) \frac{r_1 - r_2}{|r_1 - r_2|} + m_2 g
(b)
r¨G=g\ddot{r}_G = g
ξ¨=km1+m2m1m2(ξl0)ξξ\ddot{\xi} = -k \frac{m_1 + m_2}{m_1 m_2} (|\xi| - l_0) \frac{\xi}{|\xi|}
(c)
H=vy022gH = \frac{v_{y0}^2}{2g}
R=2vx0vy0gR = \frac{2v_{x0}v_{y0}}{g}
y=g2vx02(xR2)2+Hy = -\frac{g}{2v_{x0}^2} (x - \frac{R}{2})^2 + H
(d)
重心は通常の斜方投射運動をする。2つの質点は重心の周りを振動しながら放物運動を行う。

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